深夜2時。
新しいドラム式洗濯機が、驚くほど静かに回っています。
これまでは「深夜に回すのは近所迷惑」と諦めていたけれど、今は電気代が安い時間にタイマーをセットできるようになりました。
朝、目が覚めたときに乾燥まで終わっている。
その「当たり前」の景色を手に入れるまでの、少しだけ必死だった数日間の記録です。
まだ壊れていない、けれど「今」だった
10年使い続けた縦型洗濯機は、まだ元気に動いています。
「壊れていないものを買い替えるなんて」
そんな声がどこからか聞こえてきそうで、指先が少し震えました。
けれど、最近の妻はどこか疲れているように見えました。
仕事から帰って家事に追われ、自分の時間が削られていく後ろ姿。
冬季うつの影響で寝込む日が多い私には、代わって家事をすべて引き受ける体力も気力もありません。

27万円という数字は、今の私たちにとって決して軽いものではありません。
けれど、これは単なる家電の買い替えではありません。
妻の健康と、私たちのこれからの時間を守るための、今の私にできる精一杯の「投資」でした。
情けなさと、必死のチェックリスト
買い物への道のりも、今の私にとっては高いハードルでした。
我が家には車がありません。
40歳を過ぎて、親に「家電量販店まで送ってほしい」と頼む自分。
そんな情けなさを飲み込んででも、この洗濯機を妻に届けたかった。
お店に着いても、戦いは続きます。
情報過多になるとすぐにパニックになってしまう私は、事前にネットで調べた情報を一枚の「チェックリスト」にまとめて持ち込みました。
- 防水パンのサイズ(ここが一番の壁でした)
- ヒートポンプ式であること(乾燥機能の質)
- 深夜でも回せる静音性
- 洗剤の自動投入機能
必死にメモを取る私に、店員さんは「ここまで準備してくる人は初めてです」と驚いていました。
でも、そうでもしないと、私は情報の波に飲み込まれて、何を選べばいいか分からなくなってしまうのです。
本当は一番欲しかったメーカーがありましたが、防水パンのサイズが数ミリ合いませんでした。
結局、我が家の設置環境にぴったりだったメーカーに決めました。
理想とは少し違ったけれど、その「ギリギリの選択」すら、今の私にはやり遂げた証のように思えました。
畳む手触りと、心のゆとり
数日後、家に届いた洗濯機が初めて乾燥まで終わったとき、その衣類の「温かさ」に驚きました。
「干さなくていい、取り込まなくていい」
たったそれだけのことで、妻の顔に少しだけ余裕が生まれた気がします。
深夜、乾燥まで終わった山のような洗濯物を、私はゆっくりと畳みます。
体が動くときに、自分にできる範囲の分担をする。
これまでは「全部やらなきゃ」と焦っていたけれど、ドラム式洗濯機が家事のハードルを下げてくれたおかげで、私の心にも少しだけ隙間ができました。

春を迎える準備として
うつ病の冬は、暗くて長くて、とても寒いです。
寝込んで何もできない日もあるけれど、この静かな洗濯機の音を聞きながら、「今日は少しだけ良いことができた」と自分を許してみようと思います。
春は、もうすぐ。
それまで、温かい洗濯物を一緒に畳みながら、ゆっくり歩いていこうと思います。
追伸:
27万円の領収書は、しばらく見ないように引き出しの奥にしまいました(笑)
でも、妻の笑顔には変えられませんね。



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