この記事でわかること
- 傷病手当金がもらえるための具体的な「4つの条件」
- 申請書の準備から提出までの「手続きの全流れ」
- 支給額や期間の目安、退職後の扱いなど「よくある疑問」
- 当事者がつまずきやすい「注意点」と、その解決策
「うつ病で、もう働けない…」
治療に専念したくても、頭をよぎるのはお金の不安。
「会社を休んだら、生活はどうなるんだろう…」
「誰にも迷惑をかけたくない…」
そんな焦りや罪悪感が、あなたの心をさらに追い詰めていませんか?
大丈夫です。
今のあなたの生活を守るための制度は、きちんと用意されています。
この記事では、うつ病の治療を支える公的な支援制度の中から、多くの方が最初に検討する選択肢の一つ「傷病手当金」について、私の体験談も交えながら、一つの安心材料としてご紹介します。
この記事を読めば、お金の不安が和らぎ、安心して「休む」ことに専念するための具体的な知識が身につきます。
傷病手当金とは?あなたの生活を守る選択肢の一つ
傷病手当金は、うつ病などの病気やケガで仕事を休むことになった際、あなたが加入している健康保険から、生活を支えるためのお金が支給される制度です。
ただし、この制度を利用するには、いくつかの大切な条件があります。
支給されるための「4つの条件」
傷病手当金を受け取るには、以下の4つの条件をすべて満たす必要があります。
- 業務外の病気やケガで療養中であること
うつ病はこれに該当します。仕事中のケガや通勤災害は「労災保険」の対象となり、傷病手当金とは別の制度になります。 - 働くことができない状態であること
あなた自身ではなく、医師が「労務不能」であると判断することが必要です。 - 連続して3日間休んでいること(待期期間)
最初に連続して3日間休んだ後、4日目からが支給の対象となります。この最初の3日間を「待期期間」と呼び、有給休暇や土日祝日も含まれます。 - 休業中、会社から給与の支払いがないこと
会社から給与が支払われている場合、傷病手当金は受け取れません。ただし、支払われる給与が傷病手当金の額より少ない場合は、その差額分を受け取ることができます。

【体験談でわかる】傷病手当金のよくある質問(Q&A)
ここからは、あなたが疑問に思うであろう点を、Q&A形式で解説していきます。
Q1. どうやって申請すればいいの?
- STEP.1会社と主治医に相談する
まず、会社の担当者(人事部など)に「傷病手当金の申請を検討している」と伝え、手続きについて確認します。同時に、主治医にもその旨を伝え、診断書の記入をお願いできるか相談しておきましょう。
- STEP.2申請書を入手・作成する
申請書は、会社の担当者からもらうか、ご自身が加入している健康保険組合のウェブサイトからダウンロードします。申請書は「本人記入用」「会社記入用」「医師記入用」の3つのパートに分かれているので、それぞれ記入・依頼します。
- STEP.3健康保険組合に提出する
すべての記入が終わったら、申請書を健康保険組合に提出します。会社が代行してくれる場合と、ご自身で直接提出する場合がありますので、担当者に確認しましょう。
Q2. 具体的に、いくらもらえるの?
正確には「支給開始日以前の12ヶ月間の各月の標準報酬月額※を平均した額 ÷ 30日 × 2/3」という計算式で決まります。
※標準報酬月額:健康保険料や支給額を計算するために、給与などの月収を一定の範囲で区切った金額のこと。
例えば、月収(額面)が30万円の方なら、1日あたり約6,670円、月額で約20万円が支給される計算になります。
Q3. いつから、どのくらいの期間もらえるの?
- いつから?:最初に連続3日間休んだ後の「4日目」から支給が始まります。
- どのくらい?:支給が始まった日から、通算で原則として最長1年6ヶ月です。途中で一度復職し、同じ病気で再度休職した場合でも、残りの期間分を受け取ることができます。
Q4. 退職した後でも、もらえるって本当?
以下の2つの条件を両方満たしている必要があります。
- 退職日までに、健康保険に継続して1年以上加入していること。
- 退職日に、傷病手当金を受け取っているか、受け取れる状態であること。
退職日に挨拶などのために少しでも出勤してしまうと、「働ける状態」とみなされ、退職後の受給資格を失ってしまう可能性があります。挨拶や私物の整理は、退職日の前日までに済ませるか、電話やメールで対応するようにしましょう。
傷病手当金がもらえないケースと注意点
制度を利用する上で、対象外となる代表的なケースも知っておきましょう。
- 国民健康保険に加入している場合
自営業やフリーランスの方が加入する国民健康保険には、原則として傷病手当金の制度はありません。(一部の市区町村や組合では独自の制度がある場合も) - 障害年金など、他の公的年金を受け取っている場合
障害年金などを受け取っている場合、傷病手当金の支給額が調整(減額または停止)されることがあります。 - 申請内容に不備がある、または医師の指示に従っていない場合
療養に専念していないと判断されると、支給が認められないこともあります。
まとめ:傷病手当金は、安心して休むための一つの選択肢
うつ病で働けなくなった時の生活を支える選択肢の一つ、「傷病手当金」についてご紹介しました。
手続きは少し複雑に感じるかもしれませんが、あなたの療養生活を守るための、大切な制度です。
この記事のポイント
- 傷病手当金は、うつ病で会社を休んだ時の生活を支える公的な制度の一つ。
- 給料のおよそ3分の2が、原則として最長1年6ヶ月支給される。
- 手続きの第一歩は、会社の担当者と主治医に相談することから始まる。
- お金の不安について専門家に相談できると知ることで、治療に専念しやすくなる。
「こういう制度があるんだ」と知っておくだけでも、いざという時のお守りになります。
まずは会社の担当窓口や主治医に「傷病手当金について少し聞きたいのですが」と、気軽に尋ねてみることから始めてみてはいかがでしょうか。
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