うつ病になったら医療費の負担が減る自立支援医療制度を活用しよう!

うつ病になったら医療費の負担が減る自立支援医療制度を活用しよう!のアイキャッチ 役に立つ制度
この記事は約8分で読めます。
記事内に広告が含まれています。
やおこ
やおこ

はぁ、うつ病の治療費もばかにならないなぁ。診察代、おくすり代、交通費…

ななころ
ななころ

休職中や仕事をやめた人は、ただでさえ経済的に厳しいのに医療費の負担は大きいよね。この記事では、自立支援医療制度について解説するよ。

自立支援医療制度(精神通院医療)とは

自立支援医療制度(精神通院医療)の概要

  • 自立支援医療制度とは心身の障害の医療費軽減のために、主に都道府県主体で運用
  • 対象となる疾患は様々ですが、メンタル疾患(ここではうつ病)にも適用されます
  • 通常、保険適用で3割負担の医療費が1割負担になります
  • 所得区分(収入や納税額)によって、上限額があり、それを超えた分は自己負担になりません(下表)
1ヵ月の自己負担の上限額
所得区分 負担上限 「重度かつ継続」の負担上限
生活保護

0円 0円
所得区分1 市町村民税が非課税、かつ本人年収80万円以下 2,500円 2,500円
所得区分2 市町村民税が非課税、かつ本人年収80万円超 5,000円 5,000円
中間所得1 市町村民税が33,000円未満 高額療養費制度
の限度額が上限
5,000円
中間所得2 市町村民税が33,000円以上235,000円未満 10,000円
一定所得以上 市町村民税が235,000円以上 対象外 20,000円
やおこ
やおこ

医療費の3割が1割負担になるのは助かるわね!しかも、自己負担の1ヶ月の上限額が設定されてるのね。でも申請するの大変なんじゃないの?

ななころ
ななころ

そんなに難しくないよ。簡単な申請の流れをわかりやすく説明するね。

自立支援医療制度(精神通院医療)の申請方法

  1. 主治医に自立支援医療制度を申請したいと伝えて許可をもらいます
  2. 診断書を書いてもらいます(診断書の発行費がかかります)
  3. 自立支援医療制度で利用する「医療機関」「薬局」を決めます
  4. 住んでいる自治体の役所に行き、申請書と必要書類を提出します
  5. 2ヶ月ほどしたら、家に郵便で受給者証が届きます

自立支援医療制度(精神通院医療)の注意点

自立支援医療制度(精神通院医療)の注意点

主治医の許可が必要です

自治体に申請して医療費負担を減らす(つまり公費を使う)わけですから、主治医の許可が必要です。
うつ病などのメンタル疾患の疑いがある段階で、診断名がついてない場合は許可が出ない場合もありますから、まずは主治医に相談しましょう

必要書類の事前準備が必要です

自立支援医療制度(精神通院医療)の必要書類は以下の5点です。

  • 診断書
    • 書式は自治体によって異なります。まず自治体の書式を手に入れる必要があります。直接、取りに行ってもいいですし、電話で郵送してもらえる場合もあります。また、医療機関によってはその書式を電子データで用意されてるところもあるので、その場合は用意する必要はありません。
  • 課税証明書などの収入がわかるもの
    • 役所で手に入ります。(住民票がその自治体にある場合
  • 健康保険証
  • マイナンバーがわかるもの
  • 印鑑(自治体によっては不要)

更新申請の場合は、

  • 現在、お持ちの自立支援受給者証
ななころ
ななころ

本人の写真は必要ありません。

医療機関と薬局を決める必要があります

これが落とし穴なんですが、自立支援医療制度を受けるための指定自立支援医療機関(病院やクリニック)と薬局を決める必要があります
そのために、医療機関と薬局が自立支援医療制度に対応しているか、事前に確認をして下さい。

言い換えれば、別の病院で受診した場合や別の薬局でおくすりを処方してもらった場合は、この制度は受けられず通常の3割負担になります。
医療機関と薬局は慎重に選びましょう。
2ヶ所以上の医療機関・薬局は指定できません。
途中で変えたい場合は、変更申請すればいつでも変更できます。

自立支援医療制度の有効期限は1年

有効期限は1年なので、1年経過して延長したい場合は、更新する必要があります。
2年目に更新する場合は、診断書は不要ですが、初回と同じように役所で更新手続きをする必要があります。
3年目以降継続する場合は、また主治医の診断書が必要となります。
2年単位で同じサイクルになります。

申請期間が決められている(いつから申請すればいいか)

初回申請ならばいつでも構いませんが、更新手続きをする場合は有効期限の3ヶ月前から申請できます。
ちなみに、役所から期限が切れる事前連絡は来るかは、自治体によって異なるようです。

診断書を書いてもらう期間、申請しに行く時間、申請してから手元に届くまでの時間を考えると3ヶ月間は長いようで短いです。
継続する場合は早めの申請が必要となります。
役所に申請してから手元に届くまで2ヶ月くらいはみておいた方が良いです。

もし更新する前に有効期限が過ぎてしまったら

私は今までこの経験がないのですが、役所からのお知らせに明記されています。

有効期限が過ぎてから更新手続きをする場合は、主治医の診断書が必要になります

なので、次は2年目だからと安心して、更新手続きを忘れてしまうと診断書の発行費もかかりますし、一定期間は自立支援医療制度の認定期間が途切れることになるので注意して下さい。

社会保険・国民健康保険の更新・変更があった場合は?

休職している方は会社の社会保険(健康保険)に加入しています。
また、退職した方は国民健康保険に加入、または扶養に入っています。

もし、保険証の更新があった場合、または退職して社会保険から国民健康保険に変更した場合は、すぐに市役所に行ってください。
自立支援医療制度は、加入している健康保険に紐づいているため、保険の情報と一致させなくてはいけません。

私の体験談や失敗談などを紹介します

自立支援医療制度(精神通院医療)の失敗談

自立支援医療制度は主治医が必ずしも教えてくれるわけではない

私はうつ病の治療で病院に2年ほど通っていた期間、自立支援医療制度について主治医から一度も教えてくれたことはありませんでした。
そもそも、医者は病気を治療する立場なので経済的な部分はあまり触れてくれません。
「教えてくれた」という声も聞きますが、主治医によります。

ですので、私は発症後2年間は知らずにいました。
偶然、同じうつ病の友人に、この制度を教えてもらいすぐに申請しました。
いま思うともっと早く知りたかったと思います。
もしこれを読んで、治療費に困っている方は、ぜひ活用を検討してみて下さい。

違う薬局で処方してもらったら!?

病院付近はたくさんの薬局がありますよね。
特に深い理由はなく小さな薬局で登録したのですが、そこは夕方17時に閉まってしまうところでした。

ある日、診察が混雑していて夜まで待っていた時がありました。
もう17時は過ぎていました。
仕方がないので夜まで開いている隣の薬局でおくすりを処方してもらったら「自立支援医療制度は受けられません」と言われました。
薬局が登録制なので当然といえば当然ですね…。
結局、3割負担となりました。
ですので、登録する医療機関と薬局は慎重に選んだほうが良いです。
長く通院することも想定して、その医療機関や薬局が自分に合っているかを考えてほしいです。

受給者証の期限が切れても新しい受給者証が届かない!

役所に継続申請をしても手元に届くのには、2ヶ月ほどかかります。
ぎりぎりに申請して新しい受給者証が手元にない状態で受診することがありました。
すでに継続申請はしている旨を伝えましたが、ここは医療機関や薬局によって対応が異なります

まず、申請書の本人控えを見せれば1割負担にしてくれる場合があります。
ですので、新しい受給者証が届くまでは申請書の控えは持ち歩いた方が良いです。
または、新しい受給者証が届くまでは3割負担で支払いし、のちに2割を返還してもらう場合もあります。
結局は1割負担になりますが返金手続きがちょっと面倒ですね。

そういう理由もあって、私は有効期限が切れる3~4ヶ月前になったら早めに更新手続きの準備をするようにしています。

自立支援医療制度の対象・対象外のもの

自立支援医療制度は診断書に記載されている疾患が対象です。

  • 診療代
  • お薬代
  • デイケア代
  • 訪問看護

下の項目は対象外です。

  • 通院のための交通費
  • 診断書の発行費
  • 入院費
  • 他の病気(たとえば風邪)で受診した場合
ななころ
ななころ

交通費の経済的支援は精神障害者保健福祉手帳を持っていれば受けられる場合があります。詳しくは別の記事で紹介しています。

デメリットはないの?

自立支援医療制度を申請するにあたって、デメリットがないか確認しました。
結論から言うと、何もありません

主治医、カウンセラー、役所の方に直接聞きましたので、恐らく間違いないでしょう。
申請している情報を把握しているのは病院・役所のみです。

ひょっとしたら、会社に知られたくない人もいるかもしれませんが、申請する流れに会社に提出するものはないため、知られることもありません。

今まで十数年間活用していますが、私自身に不利益があったことは一度もありません。

うつ病になったら医療費の負担が減る自立支援医療制度を活用しよう!のまとめ

うつ病の人は自立支援医療制度(精神通院医療)は知っておいた方が良いのまとめ

自立支援医療制度はうつ病の治療が長期化する可能性がある方には、ぜひとも知っておいてほしい制度です。
経済的な負担はこころの負担につながります。
私はこの制度を活用させてもらって本当に経済的に助かっています。
申請すること自体に抵抗がある人もいると思いますので、よく検討したうえでご家族や主治医と相談して決めると良いでしょう。

お気軽に感想をどうぞ

  1. ななころさん、こんにちは!
    自立支援医療制度、初めて知りました。
    私の持病の特定疾患の申請と同じような感じなんですね。
    姪っ子が心療内科を受診しているので、自立支援医療制度があることを伝えたいと思います。
    教えてくれて、ありがとうございます。

    • ユートピアさん、またコメントいただけて嬉しいです。
      自立支援医療制度は主治医に相談すれば、きっと相談に乗ってくれますよ。
      医療費の負担はこころの負担につながりますからね…
      ぜひ姪っ子さんに教えてあげて下さいね。おちからになれて良かったです(^^)

  2. 私の場合は、小学生の頃から児童相談所のケースワーカーさん(精神科医さん?)に話を聞いてもらい、高校卒業と同時にその人が総合病院へ移動するからとその人の紹介で別の心療内科へ。
    そこでは自立支援医療もありますよ。と親切に教えてくださったので申請も早くに出来て割かし医療費については助かってます。
    ただ、期限を自分で確認して病院で更新手続きをし自分の住んでる地域の保健所?(私の場合は区役所に隣接してます)へ行って更新と言うのが面倒だなと感じます。
    私は今は症状も落ち着いていて比較的行動的なので苦ではありませんが、鬱がひどい場合に更新手続きを自分で行わなければならないのは苦痛だなぁと。
    頼れる人が居るのならその人に代わりに行ってもらうことも可能のようですが、、、

    • うんぴぃさん、コメントありがとうございます。心療内科の先生が自立支援医療制度のことを教えて下さったんですね。そういうことがもっと当たり前になると嬉しいですね。確かに更新手続きはうつ病治療中の身にはつらいですよね…私の場合は近くに役所がないので、数年間は家族に代理で更新手続きしてもらった時期がありました。郵送やインターネット手続きなどが今後浸透していけばいいなって思っています。

      • お返事ありがとうございます。
        そうですね、こういう制度があるよと病院側から勧めてもらえる環境や手続きにしてもななころさんが仰るようにインターネット、郵送でも出来るように浸透すれば良いですよね。

        因みに生活保護受給者でも、医療券とは別になりますが併用して自立支援の申請が行えます(経験あり)

        生活保護受給者だからいいのかなって思ってる人もケースワーカーさんにも伝えたりと少し面倒ではありますが、医療券と別に申請してもいいと思います。

        私の住む地域では決まった交通機関は手帳を見せれば交通費無料なので病院までの遠い道のり大分と助かってます。特に病気が理由で働けずに生活保護受けてる方は交通費の数百円でも貴重ですしね。今休職されている方も勿論ですが。

        • うんぴぃさん、返信ありがとうございます。
          生活保護の話は聞いたことがありますが自立支援医療制度との併用ができることは初耳でした。教えてくれてありがとうございます。これを機に調べてみようと思います。
          精神障害者手帳があれば交通費を免除してくれるのは嬉しいですよね。治療する交通費は無視できないですからね。私は千葉県から都内まで通院しているので医療費よりも交通費の方が経済的に負担になっています。情報ありがとうございましたm(__)m