「このままじゃ、来月の家賃が払えない…」
「明日からの生活費を考えると、不安で眠れない…」
うつ病で思うように働けず、経済的な不安が日に日に心を重くしていく。
でも、安心してください。そんなあなたを支えるために、家賃や生活費を補う「公的支援制度」が用意されています。
この記事では、複雑に見える公的な支援制度を、図やフローチャートでどこよりもやさしく解きほぐします。
「今のあなたに合う制度はどれか」「次に何をすればいいか」が明確にわかるはずです。
大丈夫。一緒に、安心への一歩を踏み出しましょう。
ではさっそく、あなたに合う制度を確認してみましょう。
【結論】あなたはどっち?フローチャートでわかる最適な制度
「家賃」と「生活費」、2つの制度の役割を図で理解しよう
【家賃の支援】住宅確保給付金とは?(もらえるお金)
住宅確保給付金は、離職や収入の減少によって家賃の支払いが困難になった方に対して、自治体が家賃相当額を支給してくれる制度です。
最大のポイントは、原則として返済が不要な「給付」である点です。
どんな人が対象になるの?(支給要件)
主な要件は以下の通りです。
細かい基準は自治体によって異なるため、必ずお住まいの地域の窓口で確認してください。
- 離職・廃業から2年以内、または収入が本人の責任なく減少し、離職・廃業と同程度の状況にあること
- 直近の月の世帯収入が、基準額(※)以下であること
- 世帯の預貯金合計額が、基準額の6ヶ月分(ただし100万円を超えない額)以下であること
- ハローワークに求職の申込みをし、誠実かつ熱心に求職活動を行うこと
いくら、どのくらいの期間もらえるの?(支給額・期間)
- 支給額:お住まいの地域の家賃上限額の範囲内で、実際の家賃額が支給されます。
- 支給期間:原則3ヶ月です。ただし、一定の要件を満たせば、2回まで延長申請ができ、最長で9ヶ月間受給できる可能性があります。
申請から支給までの流れ【4ステップ】
- 自立相談支援機関に相談:まずはお住まいの地域の「自立相談支援機関」に相談します。
- 申請書類の準備・提出:支援機関のアドバイスを受けながら、申請書や必要書類を準備して提出します。
- 審査:提出した書類をもとに、自治体で審査が行われます。
- 支給決定・振込:支給が決定されると、自治体から大家さんや不動産会社の口座へ直接家賃が振り込まれます。
知っておきたい注意点
【生活費の支援】生活福祉資金貸付制度とは?(かりるお金)
生活福祉資金貸付制度は、低所得者や高齢者、障害者世帯などに対して、資金の貸付と必要な相談支援を行う制度です。
うつ病などで一時的に生活が苦しい場合、「総合支援資金」という種類の貸付を利用できる可能性があります。
こちらは「貸付」なので、原則として返済(償還)が必要になります。
しかし、連帯保証人なしでも無利子で借りられるなど、民間のローンとは全く異なるセーフティネットとしての役割を持っています。
どんな人が対象になるの?(貸付要件)
- 貸付により自立が見込まれる世帯であること
- 低所得世帯など、資金の貸付とあわせて支援を受けることで自立が見込まれる世帯であること
- 他の公的給付や貸付制度を利用できないこと
いくら、どのくらいの期間借りられるの?(貸付額・期間)
総合支援資金(生活支援費)の場合、以下の金額が上限となります。
- 貸付額(月額):単身世帯は15万円以内、二人以上の世帯は20万円以内
- 貸付期間:原則3ヶ月以内(延長の可能性あり)
申請から貸付までの流れ【4ステップ】
- 自立相談支援機関に相談:住宅確保給付金と同じく、まずはお住まいの地域の「自立相談支援機関」への相談から始まります。
- 社会福祉協議会で申請:支援機関との相談後、お住まいの地域の「市区町村社会福祉協議会」で正式な申請手続きを行います。
- 審査:提出書類をもとに、都道府県社会福祉協議会で審査が行われます。
- 貸付決定・送金:貸付が決定すると、指定したあなたの口座にお金が振り込まれます。
知っておきたい注意点
モデルケースで見る|制度活用のリアルな道のり
ここでは、状況の異なる2つのモデルケースを通して、制度をどのように活用できるか具体的に見ていきましょう。
ケース1:Aさん(20代・一人暮らし)|住宅確保給付金で家賃の不安を解消
Aさんはまず「自立相談支援機関」に相談し、「住宅確保給付金」を申請することに。

ケース2:Bさん(40代・3人家族)|2制度の併用で生活全体を立て直す
Bさん一家は自立相談支援機関で家計全体の相談を行い、「住宅確保給付金」で家賃の負担をなくし、さらに「生活福祉資金(総合支援資金)」を借りて当面の生活費に充てる、という併用プランを立てました。
その結果、日々の生活費の心配から解放され、Bさんは安心して治療に専念できるようになりました。

【FAQ】申請前の不安や疑問を解消しよう
Q1. 住宅確保給付金と生活福祉資金は、同時に利用できますか?
はい、併用は可能です。ただし、それぞれの制度で審査があるため、必ず両方利用できるとは限りません。まずは自立相談支援機関で、あなたの状況に合ったプランを相談することが大切です。
Q2. うつ病の診断書は必要ですか?
必須ではありません。しかし、うつ病が原因で働けない状況などを説明する上で、診断書があった方がスムーズに話が進む場合があります。
Q3. 貯金が少しある場合でも申請できるの?
はい、できます。それぞれの制度には資産の上限額が定められており、それを超えなければ申請は可能です。「貯金がゼロにならないと使えない」わけではないので、早めに相談しましょう。
Q4. 家族や会社に知られずに手続きできますか?
はい。相談や申請の秘密は守られます。基本的に、窓口からあなたの家族や以前の職場に連絡がいくことはありませんので、安心して相談してください。
Q5. 申請してから、お金が振り込まれるまでどのくらいかかりますか?
状況や自治体によりますが、申請から決定まで数週間〜1ヶ月以上かかることもあります。その間の生活費なども含めて、早めに相談を開始することが非常に重要です。
Q6. 申請に必要な書類には、具体的にどんなものがありますか?
一般的に、以下のような書類が必要になります。
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 収入が確認できる書類(給与明細など)
- 預貯金額が確認できる書類(すべての通帳の写しなど)
- 賃貸借契約書の写し(住宅確保給付金の場合)
一度に全部揃えられなくても大丈夫です。まずは「あるものだけ」を持って相談に行きましょう。
Q7. 住んでいる自治体によって、条件や金額はかなり違いますか?
はい、異なります。特に、収入や資産の基準額、家賃の上限額などは自治体の規模や物価水準によって変わります。必ず、あなたがお住まいの地域の情報を確認するようにしてください。
Q8. もし申請が通らなかったら、もう打つ手はないのでしょうか?
諦めないでください。もし不承認となった場合でも、その理由を確認し、書類の不備などであれば再申請できる可能性があります。また、これらの制度が難しい場合でも、最後のセーフティネットとして「生活保護制度」があります。まずは相談窓口の担当者に、次にどうすれば良いかを引き続き相談することが大切です。
最初の一歩:まずはお近くの「自立相談支援機関」へ
ここまで読んで、「手続きが難しそう…」と感じたかもしれません。
でも、心配しないでください。あなた一人ですべてを抱える必要はありません。
住宅確保給付金も、生活福祉資金貸付制度も、スタート地点は共通しています。
それは、お住まいの地域にある「自立相談支援機関」に相談することです。
ここは、生活に困っているあらゆる方の相談に乗り、あなたに合った支援制度を一緒に探し、手続きのサポートまでしてくれる、いわば「暮らしの保健室」のような場所です。
相談に行く前に準備しておくと安心なことリスト
【持ち物リスト(わかる範囲で大丈夫!)】
- 本人確認ができるもの(免許証、保険証など)
- 収入がわかるもの(給与明細など)
- 預貯金の状況がわかるもの(通帳など)
【話すことメモ(うまく話せなくてもOK!)】
- 今の状況(うつ病で働けない、収入が減った など)
- 何に一番困っているか(家賃、生活費 など)
- これからどうしていきたいか(治療に専念したい、短時間の仕事を探したい など)
完璧に準備できなくても全く問題ありません。
「何から話せばいいかわからない」と正直に伝えるだけでも、相談員の方が優しく話を聞いてくれます。
心が限界で動けないあなたへ
玄関のドアを開けることさえ、山を動かすように感じられる日もあるでしょう。
もし今日動けなくても、自分を責めないでください。
まずは電話で問い合わせてみる、ホームページを見てみる、それだけでも立派な一歩です。
助けを求めることは、決して恥ずかしいことではありません。
それは、あなたが生きるために必死に頑張っている証であり、あなたに与えられた正当な権利です。
どうか、そのことを忘れないでください。
全国の相談窓口を探す
お近くの相談窓口は、以下のページから検索できます。
電話一本、またはウェブサイトの確認から、あなたの次の一歩を始めてみませんか。
まとめ:一人で抱え込まず、セーフティネットはあなたのためにあります
今回は、うつ病で生活に困った時に頼りになる2つの公的支援制度について解説しました。
これらの制度は、あなたが安心して治療に専念し、人生を立て直すための「時間」と「心の余裕」を確保するためにあります。
今回ご紹介した制度以外にも、あなたの状況を支える公的支援はたくさんあります。
傷病手当金や自立支援医療など、お金の悩みに寄り添う制度の全体像を知りたい方は、ぜひこちらの記事もあわせてお読みください。
社会から取り残されたように感じ、孤独に苛まれているかもしれません。
しかし、あなたを見守り、支えようとする仕組みは、必ずここにあります。
まずは電話一本、ホームページを確認するだけでも大丈夫です。
どうか一人で抱え込まず、その手を専門の窓口に伸ばしてみてください。
そこから、きっと新しい道が開けるはずです。
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