- うつ病の本のマンガ形式が好き
- 発症から入院、退院までのリアルな体験談が読みたい
- 将棋に興味がある
「うつ病九段」の書籍レビュー
書籍の情報
- タイトル:うつ病九段
- 原作:先崎学
- マンガ:河井克夫
- 形式:漫画
- 出版日:2020年4月24日
- 出版社: 文藝春秋
- ページ数:208ページ
- 読了目安時間:1~2時間
あらすじ
「頑張らないで、先ちゃん!」――西原理恵子(漫画家)
うつ病で将棋が指せなくなったプロ棋士が
ドン底から現役復帰するまでの軌跡を綴った
ベストセラー体験記をコミカライズ!文春オンライン連載で、累計564万PVの大反響!
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47回目の誕生日の翌日から、日に日に朝が辛く、夜は眠れなくなった。
転がり落ちるように不安感にとらわれて
将棋が指せなくなったプロ棋士・先崎学九段。すぐにうつ病と診断され、入院。
「もう自分なんか終わりだ」といううつ病ならではの弱気な考えと
「自分には将棋しかないんだ」というわずかに残った気力での考えが
頭の中でぶつかり、そのたびに暗黒の世界へ沈んでいく……。人生で最も辛く長かった入院生活を終え、
退院したが、朝コーヒーを買いに行くだけで寝込んでしまう。
いつ将棋を指せるような状態に戻れるのか?
果たして「前の自分」を取り戻せる日が来るのか……?出典:文藝春秋 うつ病九段
読んでみた感想・書評
うつ病の体験本が増えていますが、プロ棋士が書いたものは珍しいですね。
先崎学氏は、棋士でありながらエッセイストでもあり、著書も多いようです。
そんな先崎氏が2017年7月にうつ病を発症し、12月までの壮絶な体験を綴ったのが本書です。
発症してから入院中(一般病棟)の生活の生々しいできごと、入院患者とのやり取り、許可されている外出時間での体験など、うつ病の人ならではの内容が細かく描かれています。
棋士九段という勝負の一流であっても、うつ病になるということ。
そして、一流であるからこそ、何もできなくなったことへの苦痛。
うつ病経験者だけでなく、うつ病でない人が病気の恐ろしさを知るきっかけにも読みやすい本です。
世間では将棋ブームが来ていますよね。
登場人物には有名なプロ棋士たちが登場するので、将棋に興味がある人は、より楽しめること間違いなしです。
実は、本書は2018年に活字版が出版されています。
また、2019年にラジオドラマ化、2020年にテレビドラマ化され、ちょっとした先崎ブームが吹きました。
本で楽しむなら、マンガ版の方が読みやすいと思い、こちらをオススメしています。
出版社(文藝春秋)の公式PVを紹介します。
共感ポイント
先崎氏は将棋界の一流であり、入院先も慶應義塾大学病院です。
お兄さんは優秀な精神科医であり、恵まれた環境なので感情移入しにくいかな?と最初は思いました。
しかし、うつ病に立場は関係ありません。
昨日まで、できていたいたことが、ある日突然できなくなる。
眠れない、食欲がない、身体が動かない、それは一緒です。
また、彼の性格がにじみ出ている場面が数多くあります。
将棋を休場しないことへの強いこだわり、復帰を急ぐ気持ち。
今まで築いてきたものが大きいからこそだと思います。
この本は最後に「前向きに生きていこう」的なハッピーエンドでは終わりません。
あくまで、自伝であり、発症から退院へ向かう過程をありのまま描いています。
まさに、そこが共感ポイント!
うつ病の怖さを伝えつつ、回復までの具体的な道筋を経験談で紹介してくれます。
そんな一人の人間の闘病記として読んでもらえればと思います。
マンガでは描かれていませんが、退院後に2018年6月に将棋界に復帰したようです。
これからの活躍を見守っていたいですね。
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