「これって、うつ病?」似ている病気との違いがわからず、不安なあなたへ

「これって、うつ病?」と悩む読者に向けた記事のアイキャッチ。「適応障害」「双極性障害」「新型うつ」と書かれた付箋を案内役のななころさんが指し示し、似た病気との違いをやさしく整理する記事の内容を象徴しています。
本記事には広告を含む場合がありますが、信頼できる情報の提供に努めています。
この記事は、「自分のこの症状は、うつ病?それとも他の病気かな…?」と不安に感じているあなたのために書きました。

・うつ病の代表的なタイプ
・うつ病と間違えやすい病気との「違い」の目安
・一人で抱え込まず、どこに相談すればいいかのヒント

がわかります。
あなたの心が少しでも軽くなるための一歩になれば嬉しいです。

【はじめにお読みください】
この記事に書かれていることは、あくまで一般的な情報です。ご自身の判断でお薬を変えたり、治療をやめたりすることは絶対にしないでください。気になる症状がある場合は、必ず精神科・心療内科などの専門の病院で相談してください。正しい診断は、医師にしかできません。

まずは知っておきたい「うつ病」の基本的な症状

うつ病と他の病気をくらべる前に、まずは基本となる「うつ病」の症状を知っておきましょう。

一般的には、下のような症状が2週間以上、ほとんど毎日続く状態をいいます。(出典:こころの情報サイト|国立精神・神経医療研究センター)

  • 一日中気分が落ちこんでいる、ゆううつな気持ちになる
  • 今まで楽しめていたことに、興味がわかない
  • 食欲がなかったり、逆に食べ過ぎたりする
  • なかなか眠れなかったり、逆に寝すぎたりする
  • 話し方や動きがゆっくりになる、またはイライラして落ち着かない
  • 疲れやすく、何もする気力がない
  • 「自分はダメだ」と責めたり、自分に価値がないと感じたりする
  • 集中できず、物事を決められない
  • 「消えてしまいたい」とくり返し考えてしまう
ななころ
ななころ
教科書にはこうありますが、私の感覚では「世界から色が消えて、すべてが灰色に見える」ようでした。楽しいはずのことも、まるで分厚いガラスごしに見ているみたいで、心が動かないんです。
※これはあくまで、私の個人的な感覚を言葉にした比喩表現です。

うつ病の代表的な2つのタイプ

「うつ病」とひとことで言っても、症状の出かたによっていくつかのタイプに分けられます。ここでは代表的な2つのタイプを紹介しますね。

一般的にイメージされるうつ病(定型うつ病)

真面目で責任感が強く、几帳面な性格の人がなりやすいと言われてきたタイプです。

  • 何に対しても興味がわかず、気分が落ちこんでいる
  • 特に朝方に落ちこみが激しい
  • 食欲がなく、体重が減る
  • 眠りが浅く、朝早くに目が覚めてしまう
  • 自分を責める気持ちが強い

近年注目されているタイプ(非定型うつ病)

「新型うつ」と呼ばれることもあります。先ほどのタイプとは少し違う特徴があります。

一番の違いは、「気分の反応」です。
一日中ずっと落ち込んでいるわけではなく、何か良いことや楽しいことがあると、一時的に気分が明るくなるのが特徴です。

その他にも、こんな特徴が挙げられます。

  • 食欲が増して、特に甘いものが食べたくなる
  • いくら寝ても眠い、一日中寝てしまう
  • 体が鉛のように重く、だるく感じる
  • 他の人のささいな言葉に、ひどく傷ついて落ちこむ

※これらの特徴は一例で、症状の出かたには個人差があります。

Aさん
Aさん
仕事のことは考えられないけど、好きなアイドルのDVDなら見られる…って、やっぱり「甘え」なんでしょうか…?
ななころ
ななころ
大丈夫、それは決して「甘え」ではありませんよ。周りから誤解されやすいのが、このタイプのつらいところなんです。あなたのそのつらさは、あなたのせいなんかじゃありません。自分を責めないでくださいね。

その他、特定の状況で起こるうつ病

ここまで紹介したタイプの他に、特定の季節やライフイベントがきっかけとなって起こるうつ病もあります。

例えば、秋から冬にかけて気分が落ちこむ「冬季うつ病」については、こちらの記事で詳しく解説しています。

【大切なお願い】
ここからの解説は、あくまで一般的な傾向です。ご自身の判断で「私は〇〇だ」と決めつけず、参考情報の一つとしてお読みください。正しい診断は、医師との対話の中で行われるものです。

一目でわかる!うつ病と“間違えやすい”こころの病気【比較一覧表】

うつ病にはタイプがある一方で、症状が似ていて“間違えやすい”他の病気もたくさんあります。
代表的なものを一覧表にまとめました。あくまで目安として、全体像をつかむ参考にしてください。

病名主な原因・きっかけ気分の波当事者から見た感覚(一例)
うつ病
(定型・非定型など)
ストレス、環境の変化、脳の働きなど、様々な要因が重なる持続的な気分の落ちこみ(タイプにより反応性の違いあり)「世界から色が消えたみたい」
「常に重い鎧を着ている」
適応障害はっきりとしたストレス(例:仕事、人間関係)原因から離れると、良くなることが多い「あの場所に行ければ、普通でいられるのに…」
双極性障害
(躁うつ病)
脳の機能的な特性などが関係していると考えられている気分の落ちこみ(うつ状態)と、高ぶり(躁状態)をくり返す「絶望の底と、根拠のない万能感が交互にやってくる」
不安障害過度な不安や恐怖が、症状の中心特定の状況や対象への、強い不安・恐怖が主「まだ起きてもいない未来のことが、不安でたまらない」
自律神経失調症(※)ストレス、不規則な生活など気分の浮き沈みより、体の不調が目立つことが多い「病院で検査しても、どこも悪くないと言われる…」
大人の発達障害
(ASD/ADHD)
生まれつきの脳の働きの特性気分の波は、二次的に起こることが多い「昔からずっと、周りと同じようにできなくて生きづらい」

※自律神経失調症は、医学的には正式な病名として扱われない場合もあります。

【症状別】うつ病と似ている病気との違い

ここからは、それぞれの病気について、うつ病との違いをもう少しだけ詳しく見ていきましょう。

適応障害との違い|ストレスの原因が“はっきり”しているか

適応障害は、ある特定の状況や出来事が強いストレスとなり、心や体に不調があらわれる状態です。

うつ病との大きな違いは、「特定のストレス原因とのはっきりした関連」です。
原因となっているストレスから離れると、症状が良くなることが多いと言われています。(出典:MSDマニュアル)
ななころ
ななころ
例えば「会社に行こうとすると体が動かないけど、休日は少し楽」という場合は、適応障害の可能性も考えられます。ただ、この状態が長く続くと、うつ病につながることもあるので注意が必要です。

双極性障害(躁うつ病)との違い|“元気すぎる時期”はなかったか

双極性障害は、気分がとても落ちこむ「うつ状態」と、気分が異常なくらい高ぶる「躁(そう)状態」をくり返す病気です。

うつ病との大きな違いは、「躁状態があるかどうか」です。
必ずしも全員ではありませんが、躁状態のときは本人に病気の自覚がないことも多く、むしろ「絶好調だ」と感じるため、まわりから気づかれにくい特徴があります。(出典:国立精神・神経医療研究センター)

例えば、こんな経験はありませんか?

  • ほとんど眠らなくても平気で、ずっと活動し続けられた時期がある
  • 「自分は何でもできる」と、根拠のない自信に満ちあふれていた
  • いつもよりおしゃべりになり、人の話をさえぎってまで話してしまった
ななころ
ななころ
つらい「うつ状態」のときに病院へ行くと、この「躁状態」の時期のことを自分から話さないかぎり、うつ病と診断されてしまうことがあります。お薬が合わないと感じたら、過去の自分の状態を正直に医師へ伝えることが、とても大切です。

不安障害との違い|主役が“不安”か“気分の落ち込み”か

不安障害は、日常生活に影響が出るほどの強い不安や恐怖を感じる病気の総称です。

うつ病との大きな違いは、「症状の中心が“未来への過剰な不安”であること」です。
うつ病でも不安は感じますが、それは気分の落ちこみに伴う症状の一つです。不安障害では、不安そのものが主役になります。
ななころ
ななころ
感覚的な違いで言うと、うつ病は「終わった過去をくよくよ悩む」ことが多いのに対し、不安障害は「まだ起きてもいない未来を心配しすぎる」ことが多いように感じます。もちろん、両方が同時に起こることもあります。

自律神経失調症との違い|体の不調が続いていないか

自律神経失調症は、ストレスなどで自律神経のバランスが乱れ、心や体にいろいろな不調があらわれる状態を指します。厳密には正式な病名ではなく、検査をしても異常が見つからない様々な不調をまとめた「状態」を指す言葉として使われることが多いです。

うつ病との大きな違いは、「気分の落ちこみよりも、原因がわからない“体の不調”が目立つこと」です。
ただ、この二つは深く関係していて、はっきりと区別するのが難しい場合も多いです。
ななころ
ななころ
私もそうでしたが、まず体の不調で内科などを受診し、「検査では異常ありません」と言われてしまうことが少なくありません。いくつかの病院を回っても原因がわからないときは、心療内科や精神科に相談することも、選択肢の一つです。

大人の発達障害との違い|困難さが“生まれつき”のものか

大人の発達障害は、生まれつきの脳の働きの特性によって、周りの人とのコミュニケーションや、仕事の進めかたなどで困難を感じやすい状態を指します。(出典:こころの情報サイト|国立精神・神経医療研究センター)

うつ病との大きな違いは、「生きづらさや困難さが、子どもの頃からずっと続いている“特性”であること」です。
発達障害の特性によって、周りとうまくいかない経験をくり返すことで、二次的にうつ病になってしまう(二次障害)ケースが、とても多いことが知られています。
ななころ
ななころ
もしあなたが、「昔からずっと人間関係が苦手だった」「うっかりミスが多くて、いつも怒られてきた」と感じているなら、その不調の根本には発達障害の特性が隠れている可能性もあります。

大切なのは、診断名よりも「今つらい」というあなたの気持ち

ここまで色々な病気との違いを見てきましたが、一番大切なことをお伝えします。

それは、診断名さがしに、こだわりすぎないでほしい、ということです。

診断名は、あなたの状態を理解して、合う治療法を見つけるための「手がかり」でしかありません。
一番大切なのは、病名が何であれ、「今あなたが、とてもつらい思いをしている」という事実です。

その気持ちを一人で抱えこまず、専門家につなげることが何よりも重要です。

「どこに相談すればいいかわからない」という場合は、公的な相談窓口があります。匿名で、無料で相談できる場所もたくさんあります。

専門の相談員さんが、あなたの状況に合ったサポートを一緒に考えてくれます。

まとめ:あなたの「つらい」気持ちは、あなただけの大切なサインです

今回は、うつ病のタイプと、症状が似ている病気との違いについて、お話ししました。

  • うつ病には、いくつかのタイプがある
  • うつ病と似た病気もたくさんあり、それぞれに特徴がある
  • 自分で判断せず、必ず専門の医師に相談することが大切
  • 診断名以上に、「今つらい」という自分の気持ちを認めてあげることが第一歩

あなたのその苦しみは、決して「気のせい」でも「甘え」でもありません。
この記事が、あなたが自分自身を理解して、適切なサポートにつながるための、ほんの小さなお守りになれたらと心から願っています。

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