この記事でわかること
- 「うつ病の種類」に関する情報の正しい整理のしかた
- 医学的に定義されているうつ病の仲間
- 「新型うつ」や「コロナうつ」といった言葉の正体
- うつ病と間違えやすい代表的な病気
「うつ病って、新型とか季節性とか、いろんな種類があってよくわからない…」
「『コロナうつ』や『介護うつ』って、正式な病名なの?」
「うつ」をめぐる言葉はたくさんあって、どれが医学的な話で、どれが俗称なのか、混乱してしまいますよね。
その気持ち、とてもよくわかります。
この記事では、その複雑に絡み合った情報をスッキリと整理整頓していきます。
まずは、この記事全体の「地図」を見て、頭の中をクリアにしてみましょう。
まず、この3つのカテゴリを明確に区別することが、混乱をなくすための第一歩です。
(医師が診断し、治療する「病名」)
- 大うつ病性障害
- 持続性抑うつ障害
- 双極症 など
(状況や原因を表す「ニックネーム」)
- 新型うつ
- コロナうつ
- 五月病 など
(うつ病とは異なる「別の病気」)
- 適応障害
- 不安障害
- 甲状腺機能低下症 など
この記事では、この3つのカテゴリに沿って、一つひとつ丁寧に解説していきます。
(1) まず知っておきたい、医学的に定義される「うつ病」とその仲間
ここでは、国際的な診断基準などに基づいて定義されている、正式な病名について解説します。
ここが「うつ病の種類」を理解する上での土台となります。
大うつ病性障害
これがいわゆる「うつ病」の正式名称です。
気分の落ち込みや興味の喪失といった精神症状のほか、睡眠や食欲の問題、疲労感などの身体症状が現れます。
さらに、症状の特徴によっていくつかのタイプに分けられます。
- メランコリー型: いわゆる典型的なうつ病。真面目で責任感の強い人がなりやすいとされ、自責の念が強い、早朝に目が覚めるなどの特徴があります。
- 非定型: 良いことがあると気分が明るくなる一方、他人の言動に過敏に反応して気分が沈むのが特徴。過食や過眠を伴うことも多いです。
- 季節性: 特定の季節に毎年うつ症状が現れるタイプ。特に日照時間の短くなる冬に発症する「冬季うつ病」がよく知られています。
- 周産期(産後)うつ: 出産後のホルモンバランスの急激な変化や、育児のストレスなどが引き金となります。以前は「産後うつ」と呼ばれていましたが、妊娠中から症状が現れることもあるため、現在は「周産期うつ」という呼び方が一般的です。
持続性抑うつ障害(気分変調症)
大うつ病性障害ほど重くはないものの、憂うつな気分が2年以上(子どもの場合は1年以上)と、長期間にわたって続くのが特徴です。
自分でも「もともとこういう性格だから」と思い込み、病気だと気づきにくいことがあります。
双極症(双極性障害・躁うつ病)
気分が極端に高揚する「躁状態」と、ひどく落ち込む「うつ状態」を繰り返す病気です。
「障害」という言葉が持つイメージを考慮し、近年では「双極症」という呼称への変更が進んでいます。
うつ状態の症状がうつ病と似ているため間違われやすいですが、うつ病とは全く異なる病気であり、治療法も異なります。
そのため、専門医による正確な診断が非常に重要になります。
(2) 「新型うつ」って何? 特定の状況を表す「通称(造語)」たち
医学的には、これらの多くは「適応障害」や、先ほど解説した「大うつ病性障害」などに該当することが多いとされています。
😀 新型うつ・現代型うつ
2000年代後半からメディアなどで使われるようになった言葉です。
従来のうつ病(メランコリー型)とは異なり、仕事など特定の状況では強く落ち込むものの、プライベートなど好きな活動は楽しめる、他人のせいにする傾向がある、といった特徴が挙げられます。
🦠🏢 コロナうつ・テレワークうつ
新型コロナウイルスの流行に伴う生活様式の変化や、先行きの見えない不安、テレワークによる孤独感などがストレスとなり、うつ状態になることを指します。
🏠 介護うつ
家族の介護による身体的・精神的な負担が長く続くことで発症するうつ状態です。
「介護を投げ出すわけにはいかない」という責任感から、一人で抱え込んでしまうケースが少なくありません。
🎓 五月病・六月病
新しい環境に適応できないストレスから、ゴールデンウィーク明け頃に無気力や憂うつな気分になる状態を指します。
多くは一時的なものですが、症状が長引く場合は「適応障害」や「うつ病」の可能性があります。
また、同様の症状が6月に現れたり、長引いたりすることを「六月病」と呼ぶこともあります。
👶 マタニティブルー
出産後、数日から2週間程度の間に見られる一時的な気分の落ち込みや涙もろさなどを指します。
ホルモンバランスの変動が主な原因とされ、ほとんどは自然に回復します。
これが長引いたり、重症化したりすると「周産期うつ」が疑われます。

(3) もしかして別の病気? うつ病と間違えやすい代表的な病気
「気分が落ち込む=うつ病」とは限りません。
似たような症状を示す、他の代表的な病気も知っておきましょう。
自己判断せず、専門医に相談するきっかけとしてください。
病名 | うつ病との主な違い |
---|---|
適応障害 | 特定のストレス原因から離れると、症状が比較的速やかに改善する。 |
不安障害 | 気分の落ち込みよりも、過剰な不安や恐怖、パニック発作などが症状の中心となる。 |
統合失調症 | うつ病には見られない幻覚や妄想といった症状が現れることがある。 |
甲状腺機能低下症 | 身体の病気が原因。血液検査で甲状腺ホルモンの値を調べることで診断できる。 |
まとめ:言葉を知ることは、自分を理解する第一歩
今回は、複雑な「うつ」をめぐる言葉たちを3つのカテゴリに分けて整理しました。
- 医学的な分類: 治療の対象となる正式な病名
- 通称(造語): 状況を分かりやすく伝えるための言葉
- 似た症状の病気: うつ病とは原因や治療法が異なるもの
たくさんの種類があって混乱するかもしれませんが、大切なのは、今あなたが感じている「つらさ」に、無理に名前をつけようとしないことです。
言葉を知ることは、自分や周りの人を客観的に理解し、専門家と話すための「共通言語」を持つ助けになります。
ご自身のストレス状態が気になりますか?
もしあなたが今、暗いトンネルの中にいるように感じているなら、この記事がそのトンネルの出口を照らす、小さな光の一つになればと願っています。
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