【もう疲れた人へ】自己肯定感は無理に高めなくていい|苦しむ理由と認める3つのステップ【体験談】

【自己肯定感】無理に高めなくていい。高めるより受け入れて心が軽くなる考え方を示すアイキャッチ画像。 ネットで話題
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「どうして自分は、こんなにダメなんだろう…」

鏡に映る自分を見ては、ため息をつく。
他人の成功をSNSで見ては、胸がズキリと痛む。
眠れない夜には、過去の失敗ばかりが頭を駆け巡る。

かつての私は、そんな「自己肯定感の低さ」に、長年苦しめられてきました。
この記事を読んでくださっているあなたも、もしかしたら、似たような息苦しさを感じているのかもしれません。

このページでは、うつ病と共に18年以上歩んできた私が、試行錯誤の末にたどり着いた「自己肯定感」との向き合い方について、私のすべてをお話ししたいと思います。

結論から言うと、ゴールは自己肯定感を「上げる」ことではありません。
それは、ありのままの自分を、ただ「認める」ことです。

この記事が、あなたの心を少しでも軽くする、小さなきっかけになることを願っています。

自己肯定感とは?低い人の特徴と、あなたが苦しむ本当の理由

「自己肯定感」と「プライド」の決定的な違い【6つの感で理解する】

「自己肯定感」という言葉を、あなたもよく目にしませんか。
実は、自己肯定感とは単一の感情ではなく、いくつかの心の感覚が組み合わさってできています。

この分野の専門家である臨床心理士の中島輝氏は、自己肯定感を支える土台として、以下の「6つの感」がピラミッドのように積み重なっていると説明しています。

自己有用感
「自分は誰かの役に立っている」という感覚
自己決定感
「自分で選択し、決めている」という感覚
自己信頼感
「自分ならできる」と自分を信じられる感覚
自己効力感
「自分には物事を成し遂げる力がある」という感覚
自己受容感
「ありのままの自分を認める」という感覚
自尊感情
「自分には価値がある」と思える感覚

ここで一番お伝えしたいのは、ピラミッドの土台となっている「自尊感情」と「自己受容感」が何よりも重要だということです。

多くの人が混同しがちな「プライド」は、他人との比較がベースにあります。
しかし、本当の自己肯定感とは、良い部分もダメな部分も含めた「ただ、そこに存在する自分」そのものを、無条件に大切に思える感覚なのです。

日本人に多い?自己肯定感が低くなってしまう3つの原因

「ありのままの自分を大切に思う」
それができずに苦しんでいる人は少なくありません。何を隠そう、かつての私もその一人でした。

実は、日本人は諸外国と比べて、自己肯定感が低い傾向にあることがデータで示されています。
内閣府が2018年に行った調査では、「自分自身に満足している」と回答した日本の若者は、調査対象7カ国の中で最も低い数値でした。

「自分自身に満足している」と回答した若者の割合(単位:%)
  • 100
  • 80
  • 60
  • 40
  • 20
  • 0
45.1
日本
71.5
韓国
86.0
アメリカ
83.1
イギリス
80.9
ドイツ
82.7
フランス
74.4
スウェーデン

出典:令和元年版子供・若者白書(全体版) - 内閣府 (PDFリンク)

なぜ、これほどまでに低いのでしょうか。
専門家は、以下のような要因が複雑に絡み合っていると指摘しています。

  • 社会・文化的背景: 謙虚さを美徳とし、他者との協調を重んじる文化。
  • 教育環境: 他者比較や減点方式の評価に慣れてしまい、自分の「できないこと」に目が向きやすい。
  • 認知のゆがみ: 「自分はダメだ」といった、根拠のないネガティブな思考パターン。
認知の歪みに要注意!うつ病にならないための10パターン
認知行動療法でよく耳にする「認知の歪み」とは何か?うつ病との関連性をあるのか?10パターンの説明、具体例や体験談を交えて解説します。

これらの要因が、知らず知らずのうちに私たちの自己肯定感を育むのを難しくしているのです。

【体験談】なぜ「自己肯定感を高めよう」とすると、余計に辛くなるのか

「自己肯定感が低いなら、高めればいいじゃないか」
そう考えて、あなたも様々な方法を試してきたかもしれません。

しかし、その「上げよう」という努力そのものが、かえって自分を苦しめる“ワナ”になることがあります。

なぜなら、「自己肯定感を上げなければならない」という思考は、「今のままの自分はダメだ」という強烈な自己否定から始まっているからです。
「ポジティブにならなきゃ」とプレッシャーをかけるほど、「理想の自分」と「現実の自分」のギャップに、さらに落ち込んでしまうのです。

ゴールは「高める」ではない。「ありのままの自分を認める」という新提案

無理に変わらなくていい。「自己受容」があなたを救う

「自己肯定感を上げよう」とすればするほど、かえって自分を追い詰めてしまう。
では、どうすれば、この息苦しさから抜け出せるのでしょうか。

その答えは、ゴール設定を「上げる」ことから「認める」ことへ、と変えてみることにあります。

無理にポジティブになろうとするのではなく、「長所も短所も、すべて含めて“これが自分なんだ”」と、ありのままの自分を受け入れる。
これを心理学の世界では「自己受容(セルフ・アクセプタンス)」と呼びます。

これは決して「諦め」ではなく、自分の中にある光と影の両方を、優しく見つめる勇気ある一歩です。

「自己肯定感を高められない自分」を責めるのをやめる。
まずは、そんな自分を「そうか、今はそうなんだな」と、ただ認めてあげること。

「自分を変えなきゃ」という強迫観念から解放されたとき、心にはじめて、穏やかなスペースが生まれるのです。

私が「上げる」のをやめて楽になった話【うつと友に】

「自己肯定感を上げる」という目標を、私は一度、完全に手放しました。

最初の数日は、何もしていない罪悪感がありました。「また自分は努力から逃げたんだ」と。
しかし、一ヶ月ほど経つと、不思議な変化が訪れました。
私をガチガチに縛り付けていた「〜ねばならない」というプレッシャーが、少しずつ消えていったのです。

もちろん、今でも自己肯定感が低いと感じる日はたくさんあります。
でも、それでいい。そんな不完全な自分も、間違いなく自分の一部なのだと、今は思えるようになりました。

それはまるで、私がこのブログに『うつと友に(共に)』と名付けた想いと同じでした。
うつ病を無理に消そうとせず、自分の一部として受け入れ、共に生きていく。それと同じように、低い自己肯定感も、弱い自分も、否定せず、ただ「友」として付き合っていく。

自己肯定感を「高める」のは、一生かかってもできないかもしれない。
でも、そんな自分を「認めてあげる」ことなら、今、この瞬間からでも始められます。

もちろん、これは「何もせず、ただ諦めよう」ということではありません。
「ありのままの自分を認める」という安全な土台を築いた上で、そこから一歩を踏み出すための、具体的で、そして無理のないステップがあります。

次の章では、その方法について詳しくお話ししていきましょう。

今日からできる!自分を「認める」ための具体的な3つのステップ

この章では、「自己受容」という安全な土台を築くための、具体的な3つのステップをご紹介します。

STEP1:評価しない。「事実」だけを記録する(セルフ・モニタリング)

私はかつて「褒め療法」に挫折しました。「自分を褒めなきゃ」というプレッシャーが重荷になったからです。

この失敗から、私は「自分を評価する」という行為そのものが、自己肯定感の低い人間には難しいのだと学びました。

そこで、目的をガラリと変えました。「褒める」のをやめて、ただ「事実を記録する」ことにしたのです。

  • (評価する書き方) → 今日は散歩に行けてえらかった。でも掃除はダメだった。
  • (事実だけを記録する書き方) → 今日は10分、散歩に行った。掃除はしなかった。

まるで自分の生態を観察するように、客観的な事実だけを記録していく。
これは心理学で「セルフ・モニタリング」とも呼ばれる、自分を客観視するための有効な手法です。
「何もできなかった」と思っていた日でも、意外と何かをしている自分に気づき、静かな納得感に繋がっていきます。

STEP2:比較しない。「過去の自分」からも自由になる

SNSを開けば、きらびやかな他人の日常が目に飛び込んできます。だからまず、比較する相手を「過去の自分」だけに限定することを私は実践しました。

しかし、この方法にも限界がありました。
うつ病の症状が悪化し、昨日できていたことが、今日はできなくなる。そんな日が続くと、「過去の自分」と比べることすら、猛烈な自己否定に繋がったのです。

そこで、私はようやく、本当の答えにたどり着きました。
それは、比較という土俵から、完全に降りること。

もう、「昨日の自分」とすら比べない。
ただ、「今日を生きる、今の自分」にだけ、焦点を当てる。
「誰とも比べない」という選択こそが、私に本当の意味での心の平穏をもたらしてくれました。

STEP3:レッテルを貼らない。どんな感情も「ただ気づく」

私たちの心には、不安、嫉妬、怒りといったネガティブな感情も浮かびます。
そんな自分を「ダメだ」と責めてしまいがちです。

ここでも、自分の感情や思考に、「良い/悪い」のレッテルを貼るのをやめてみましょう。

不安な気持ちが湧いてきたら、「不安になっちゃダメだ!」と打ち消すのではなく、「ああ、今、私は不安を感じているんだな」と、ただ気づいてあげる。

どんな感情も、あなたの一部です。それを無理に追い出そうとせず、ただ「そこにいること」を許可してあげる。この静かな観察の習慣が、感情の波に飲み込まれず、自分と穏やかに付き合っていく助けとなります。

まとめ:あなたのペースで、あなたと仲直りしていこう

この記事で最も伝えたかったことは、「自己肯定感は、無理に高めなくてもいい」ということです。

むしろ、自己肯定感が低い自分、弱い自分、ダメな自分…。
そんな、あなたが「変えたい」と願っている部分こそ、切り離すのではなく、優しく受け入れ、認めてあげてほしいのです。

今回ご紹介した3つのステップは、そのための具体的な方法です。
でも、焦る必要はまったくありません。できる日から、できることだけで大丈夫です。

自分自身との関係を再構築するのは、時間がかかる、根気のいる旅のようなもの。
このブログが、その長い旅路の、心強い「友」となれることを、心から願っています。


参考文献

  • 何があっても「大丈夫。」と思えるようになる 自己肯定感の教科書 (著)中島輝, 2019, SBクリエイティブ. Amazonで見る
  • 令和元年版子供・若者白書(全体版) 特集 今を生きる若者の意識と生活に関する調査報告書 (内閣府, 2019). PDFリンクで見る

お気軽に感想をどうぞ

  1. Taniです。
    おはようございます。
    自己肯定感について読ませていただきました。真面目な人は、ともすれば自分に厳しく考えがちだと思います。小さな事から、目標を立ててそれを実施する、そして自分を褒める(肯定する)ことは、大切な事だと思います。

    • Taniさん、コメントありがとうございます。
      記事を読んで頂けて嬉しいです。
      私も昔は絵に描いたような生真面目で自分を褒めることが苦手な子供でした。
      最近では少しずつ変化が現れて、自分を認められつつあります。
      小さなことでもできたことを喜ぶことの大切さに気づけました。