精神障害者保健福祉手帳を使って税金を軽くする方法|申請のしかたと控除額をわかりやすく解説【2025年版】

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こんなお悩みありませんか?

「障害者控除って、自分は対象になるの?」
「年末調整や確定申告で、どうやって申請すればいいの?」

障害者控除は、納税者本人またはご家族が障害者である場合に、所得税や住民税の負担を軽くできる、とても大切な制度です。手続きは少し複雑に感じるかもしれませんが、正しく理解すれば、家計の大きな助けになります。

この記事でわかること
  • あなたが障害者控除の対象になるか
  • 所得税・住民税の負担が「いくら」減るかの計算方法
  • 年末調整・確定申告での具体的な申請手順
  • 扶養親族に関する注意点やよくある質問

この記事を書いている私自身も障害者手帳を持ち、会社員時代だった頃は、この制度を利用していましたさらに、このブログで長年、当事者として制度の活用法を発信し続けてきました。

国税庁のホームページにあるような難しい言葉ではなく、「当事者が本当につまずくポイント」を先回りして解説しますので、税金の知識に自信がない方もご安心ください。

この記事を最後まで読めば、制度の全体像から具体的な手続きまで、迷わず一人で完結できるようになります。一緒に確認していきましょう。

  1. 【スタート】あなたに合った申請方法を見つけよう
  2. 障害者控除のきほん
    1. 障害者控除とは?
    2. 障害者控除の対象になる人
    3. 障害者控除の控除額はいくら?
      1. 所得税の控除額
      2. 住民税の控除額
  3. 【3つのケースで見る】障害者控除シミュレーション
    1. ケース1:Aくん(本人が控除を受ける場合)
    2. ケース2:Bくん(親を扶養している場合)
    3. ケース3:Cさん(配偶者が控除を受ける場合)
  4. 障害者控除の申請方法
    1. 会社員・パートの申請方法(年末調整)
    2. 個人事業主・無職の方・会社に知られたくない方の申請方法(確定申告)
    3. 【重要】生計を同一にする配偶者・親族がいる場合
    4. 過去5年分を遡って申請(還付申告)する方法
  5. 障害者控除に関する よくある質問(Q&A)
    1. 年の途中で手帳をもらいました。その年の控除は受けられますか?
    2. 離れて暮らす親を扶養しています。控除の対象になりますか?
    3. 障害年金をもらっていますが、障害者控除も受けられますか?
    4. 手帳の等級と、控除の「特別障害者」は同じ意味ですか?
    5. どうしても会社には知られたくありません。どうすればいいですか?
    6. 扶養している親に、少し年金収入があります。控除は受けられますか?
    7. 申請に必要な書類は何ですか?手帳のコピーだけでいいの?
    8. パート主婦です。「103万円の壁」と関係ありますか?
  6. まとめ:障害者控除を正しく理解して、賢く活用しよう

【スタート】あなたに合った申請方法を見つけよう

あなたの状況と希望に、一番近いものはどれですか?
下のボタンを押すと、詳しい説明にジャンプします。

A. 会社員・パートで、会社の「年末調整」で申請したい
男性A
Aくん

僕みたいな会社員はこれだね!

会社に提出する書類の書き方を解説します。最も一般的な手続きです。

B. 会社員・パートだが、会社に知られたくない
男性A
Aくん

会社に知られたくない気持ち、わかる…

年末調整では申請せず、ご自身で「確定申告」を行う手順を解説します。

C. 個人事業主・フリーランス、または無職の方
ななころ
ななころ

ご自身で確定申告する方はこちらです

確定申告書を作成する手順を解説します。

D. 家族の扶養に入っている

 

男性B
Bくん

僕のケースはこれ!

女性B
Cさん

私もね。

 

あなたではなく「扶養しているご家族」が申請します。まずは誰が申請すべきかを確認しましょう。

【過去の申請忘れ】に気づいた方
ななころ
ななころ

あきらめないで!5年以内なら間に合います

税金の還付を受けられる可能性があります。「更正の請求」という手続きを確認してください。

障害者控除のきほん

まずは「障害者控除って、いったい何?」というところから、優しく解説していきますね。

障害者控除とは?

障害者控除は、納税者自身、または生活を支えているご家族が、所得税法上の障害者に当てはまる場合に受けられる「所得控除」というものです。
むずかしい言葉ですが、要するに「障害のある方やそのご家族は、税金の計算でちょっとだけ助けます」という、国からの優しい配慮だと思ってください。

障害者控除の対象になる人

じゃあ、どんな人が対象になるんでしょうか?
国税庁のきまりでは、以下の8つのケースが当てはまります。

  • 精神上の障害で、常に判断が難しい状態の方(成年被後見人など)
  • 知的障害と判定された方(療育手帳を持っているなど)
  • 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方
  • 身体障害者手帳の交付を受けている方
  • 戦傷病者手帳の交付を受けている方
  • 原子爆弾被爆者健康手帳の交付を受けている方
  • 65歳以上で、障害の程度が上記に準ずると市町村から認定された方
  • 6か月以上寝たきりで、複雑な介護が必要な方

障害者控除の控除額はいくら?

控除額は「障害者」と「特別障害者」の2つの区分があって、所得税と住民税で金額が変わります。

「特別障害者」って?
身体障害者手帳の1級・2級、療育手帳A、精神障害者保健福祉手帳1級など、障害の程度が特に重いと認められた方のことです。

所得税の控除額

区分 控除額
障害者 27万円
特別障害者 40万円
同居特別障害者 75万円

住民税の控除額

区分 控除額
障害者 26万円
特別障害者 30万円
同居特別障害者 53万円

※同居特別障害者とは、特別障害者であるご家族(扶養親族)といつも一緒に暮らしている場合に適用される、一番手厚い控除です。

ここまでのポイント

  • 障害者控除は、税金の負担を軽くしてくれる優しい制度。
  • 障害者手帳などを持っている人が対象。
  • 控除額は、障害の程度や税金の種類によって変わる。

「だいたいわかった!」という方は、次のシミュレーションに進みましょう!

【3つのケースで見る】障害者控除シミュレーション

ここからは、Aくん、Bくん、Cさんという3人のモデルケースを見て、もっと具体的にイメージをつかんでいきましょう!きっと、あなたに近いケースが見つかるはずです。

ケース1:Aくん(本人が控除を受ける場合)

Aくんの状況
独身で一人暮らしの会社員。精神障害者保健福祉手帳2級を持っている。

男性A
Aくん

自分の税金がどれくらい軽くなるのかな。年末調整で申請すればいいんだっけ?書き方、難しくないといいけど…

Aくんのように、本人が障害者手帳を持っていてお仕事をしている場合、年末調整や確定申告で障害者控除を申請すると、ご自身の所得税や住民税の負担が軽くなります。Aくんは手帳が2級なので「障害者」区分になり、所得税で27万円、住民税で26万円の所得控除が受けられます。

ケース2:Bくん(親を扶養している場合)

Bくんの状況
実家で両親と暮らす会社員。お父さんが身体障害者手帳1級を持っている。

男性B
Bくん

お父さんのために、僕が申請できるんだ。一緒に住んでいるし、『同居特別障害者』っていう一番大きい控除が使えるのかな?だとしたら、すごく助かる!

Bくんのように、生活を支えているご家族が障害者である場合も、控除の対象になります。Bくんのお父さんは手帳が1級なので「特別障害者」。さらに同居しているので「同居特別障害者」に該当し、所得税で75万円、住民税で53万円という、非常に大きな所得控除をBくんが受けることができます。

ケース3:Cさん(配偶者が控除を受ける場合)

女性B
Cさん

精神障害者保健福祉手帳3級を持っています。
最近パートを始めたのですが、夫の扶養内で働くには年収をいくらに抑えればいいのか分からなくて…。障害者控除を利用すると税の負担が減るって本当ですか?

ななころ
ななころ

障害者控除、少しややこしいですよね。
Cさんのケースで、どれくらい税金の負担が変わるのか、一緒に見ていきましょう。

Cさんの場合、障害者控除の区分は「障害者」に該当します。
このケースでは、夫が年末調整で「控除対象配偶者」としてCさんを申告することで、夫の税金の負担が軽くなります。
障害者控除を受けると、Cさんのパート年収が103万円を超えても、201万6千円未満であれば夫は配偶者控除を受けられるのです。

たとえばCさんのパート年収が130万円だった場合、障害者控除を利用しないと夫は配偶者控除を受けられませんが、利用すれば夫の所得税が約1.9万円、住民税が約3.3万円、合計で約5.2万円も負担が軽くなる計算になります。(夫の年収が500万円の場合)

障害者控除の申請方法

さあ、いよいよ申請の方法です。フローチャートで選んだ自分のタイプに合わせて、確認していきましょう。

会社員・パートの申請方法(年末調整)

会社員やパートの方は、年末に会社から配られる「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」という紙に書くだけ。C欄「障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」の「障害者」にチェックを入れて、障害の状況などをちょこっと書けば完了です。とっても簡単ですね。

個人事業主・無職の方・会社に知られたくない方の申請方法(確定申告)

個人事業主やフリーランスの方、または「会社には知られたくないな…」という会社員の方は、ご自身で確定申告をします。確定申告書の第二表「本人に関する事項」や「配偶者や親族に関する事項」の「障害者」のところにマルをつけ、第一表の「障害者控除」の欄に控除額の数字を書きます。

【重要】生計を同一にする配偶者・親族がいる場合

BくんやCさんのように、ご家族のために申請する場合のポイントは、なんといっても「生計を同一にしている(お財布が一緒)」ことです。これは、必ずしも一緒に住んでいる必要はなくて、たとえば離れて暮らす親に毎月仕送りをしている、といった場合でも認められます。

過去5年分を遡って申請(還付申告)する方法

「しまった!何年も申請し忘れてた…」という方も、あきらめないで!
過去5年以内であれば、「更正の請求」または「還付申告」という手続きで、納めすぎた税金を取り戻せる可能性があります。くわしくは、お近くの税務署に電話で聞いてみるのが一番ですよ。

申請のポイント
  • 会社員は、年末調整の紙にチェックするだけ!
  • 確定申告なら、会社に知られずに申請できる。
  • 過去5年分は、さかのぼって申請できる!

手続きは意外と簡単です。あと一息ですよ!

障害者控除に関する よくある質問(Q&A)

年の途中で手帳をもらいました。その年の控除は受けられますか?

はい、大丈夫ですよ。障害者控除は、その年の終わり(12月31日)の状態で判断されるルールです。たとえ12月に手帳をもらったとしても、その年1年分の控除がしっかり受けられますので、年末調整や確定申告で忘れずに申請してくださいね。

離れて暮らす親を扶養しています。控除の対象になりますか?

はい、同居していなくても対象になるケースは多いです。ポイントは「お財布が一緒(生計が同一)」と認められるかどうか。たとえば、あなたが親御さんに毎月生活費を仕送りしている、といった場合なら大丈夫です。別々に暮らしている場合は、この「生活費の援助」が一番のポイントになります。

障害年金をもらっていますが、障害者控除も受けられますか?

はい、まったく問題なく両方受けられます。障害年金は税金のかからない「非課税」のお金なので、税金の計算にはまったく影響しません。障害年金と障害者控除はそれぞれ別の制度ですので、ぜひセットで活用してください。

手帳の等級と、控除の「特別障害者」は同じ意味ですか?

これは少しややこしいのですが、必ずしもイコールではありません。たとえば、身体障害者手帳の1級・2級や、精神障害者保健福祉手帳の1級の方は「特別障害者」になります。でも、手帳の種類で基準が変わってくるので、ご自身のケースはもう一度この記事の「控除額はいくら?」の章でチェックしてみてくださいね。

どうしても会社には知られたくありません。どうすればいいですか?

そのお気持ち、よくわかります。年末調整で申請すると、どうしても会社に伝わってしまいます。もしそれを避けたいなら、会社の年末調整では障害者控除の欄はあえて何も書かずに提出し、年が明けてからご自身で「確定申告」をすればOKです。この方法なら、会社に知られることなく控除を受けられますよ。

扶養している親に、少し年金収入があります。控除は受けられますか?

はい、親御さんの年収が一定額以下であれば控除を受けられます。ポイントは親御さんの合計所得が48万円以下であることです。公的年金だけをもらっている方の場合、65歳未満なら年収108万円以下、65歳以上なら年収158万円以下であれば、この条件をクリアできますよ。

申請に必要な書類は何ですか?手帳のコピーだけでいいの?

基本的には、年末調整の用紙(扶養控除等申告書)や確定申告書に、障害者控除を受ける人の情報を記入するだけでOKです。多くの場合、手帳のコピーを会社に提出する必要はありません。ただし、会社の方針によっては提示を求められることもあるので、気になる場合は経理担当の方にそっと確認してみると安心です。

パート主婦です。「103万円の壁」と関係ありますか?

はい、とても良い質問です。現在の制度では、障害者控除を受けると、税金上の扶養に入れる年収の上限が103万円から201万6千円未満に引き上がります。 つまり、103万円を超えて働いても、夫(または妻)の税金の負担を軽くできるメリットがあります。ただし、社会保険の扶養(いわゆる130万円の壁)とは別の話なので、そこは注意してくださいね。

※「年収の壁」の制度は、今後、法改正によって金額などが変わる可能性があります。この記事は現在の制度に基づいており、常に最新の情報をご確認いただくようお願いいたします。

まとめ:障害者控除を正しく理解して、賢く活用しよう

今回は、障害者控除の基本から具体的な申請方法まで、Aくんたちの例を見ながら、できるだけ分かりやすく解説してみました。
少しは「自分にもできそう!」と思ってもらえたでしょうか?

障害者控除は、国が用意してくれた、私たちが使える正当な権利です。
「知らなかった」は、本当にもったいないこと。
この記事が、あなたがほんの少しでも日々の暮らしの負担を軽くする、その一歩を踏み出すきっかけになれたなら、これほど嬉しいことはありません。

分からないことがあれば、いつでもこの記事に戻ってきてくださいね。

お気軽に感想をどうぞ

  1. 行政サービスや税金控除などは知っている人だけが受けられるものがたくさんあります。
    ななころさんのように情報提供してくれる方がいると救われる人がたくさん居ると思います。
    滅入っている時はちょっとしたことが大きく影響するときがありますから。

    • ゆうやさん、コメントありがとうございます。

      確かに行政サービスは知らない人も多く、活用しにくいですよね。
      私は今年から申告するつもりでいます。

      ぜひ、皆さんのお力に少しでもなれたら嬉しいです♪

  2. こんにちは。
    ブログ、拝見させていただきました。

    私も精神障害者手帳3級あるので、とても参考になりました。

    特に住民税は参考にできそうです。

    ありがとうございます!

    • コージさん、コメントありがとうございます。

      手帳で活用できる制度って調べてみると、案外難しいんですよね。
      私も今年に申請するつもりです。
      おかねの不安はメンタルにも悪いですからね。

      ぜひ参考にしていただけると嬉しいです♪

  3. いつもブログを読んで参考にさせてもらってます。

    難しい字や内容で、イマイチ理解できてなかった障害者控除の記事を分かりやすく書いてあって理解が深まりました。

    例えもとても参考になりました!

    これからも読ませて貰います。
    頑張ってください!

    • とうふさん、コメントありがとうございます。
      「精神障害者保健福祉手帳」の記事では、インタビューに答えてくれて感謝しています。
      「なるべくわかりやすく」をモットーに書いているので、それが伝わってなによりです。
      他にも気になる記事や内容などあれば、バシバシご要望ください!

      これからもぜひぜひ遊びに来てくれることをお待ちしています(^^)