「ぐるぐる思考から抜け出せない…」
「認知行動療法に興味はあるけど、どれを選べばいいのか分からない…」
もしあなたがそんな風に感じているなら――この記事がきっと助けになります。
うつ病と19年向き合ってきた私が、実際に試した4種類の認知行動療法(CBT)を、体験談を交えてわかりやすく比較しました。
読み終えるころには、「自分に合うCBTの始め方」がわかり、今日から心が少し軽くなるはずです。
うつ病の経験は19年になります。これまで、病院での集団CBTや個別カウンセリング、書籍での独学、さらには妻との対話を通じたCBTまで、様々な方法を試してきました。その全ての経験を基に、あなたのお役に立てる情報をお届けします。
そもそも認知行動療法(CBT)とは?不安な気分を軽くする仕組みをやさしく解説
認知行動療法(CBT)とは、「考え方のクセ」と「行動」に少し工夫を加えることで、心を軽くしていく心理療法のことです。(出典:国立精神・神経医療研究センター)
例えば、友人からのLINEの返信が遅いとき。
つい考えがちなこと(自動思考):
「何か気に障ることを言ったかな…?嫌われたかもしれない…」
↓
心が苦しくなる…
こんなとき、CBTでは次のように「別の考え方」を試してみます。
別の考えを探してみる:
「忙しいだけかも」「スマホを見ていないだけかも」
↓
心が少し軽くなる!
このように、物事の捉え方を少しだけ変える練習をすることで、つらい気持ちを和らげることができます。
考え方のクセ(認知の歪み)については、こちらの記事でより詳しく解説しています。
【体験談】私が試した4種類の認知行動療法|あなたに合うのはどれ?
CBTには、専門家と一緒に行う方法から、一人で取り組める方法まで、さまざまな形があります。
ここでは、私が実際に試した4つのCBTを、リアルな体験談とともにご紹介します。
1. 集団CBT:仲間の存在が心強い
私が最初に体験したのが、病院で行われた集団CBTでした。
「もし友人が同じことで悩んでいたら、なんて声をかける?」という問いで視点を変える練習をしたのが印象的です。
一番印象に残っているのは、「自分だけじゃなかったんだ」と気づけた瞬間でした。
他の人の悩みや考え方に触れることで、自分の悩みを客観的に見つめ直すことができました。
ただ、元々人が多い場所が苦手な私にとっては、少し緊張する場面もありました。
- 向いている人:同じ悩みを持つ仲間と繋がりたい人、孤独感を和らげたい人
- 費用目安:保険適用で1回1,000円~3,000円程度
- ワンポイント:無理に話さなくても大丈夫。「聞いているだけ」でも大きな学びがあります。
2. 個別CBT:専門家と二人三脚で心の奥底へ
次に試したのが、カウンセラーと1対1で行う個別CBTです。
カウンセリングでは、自分の心の奥深くにある「考え方の根っこ」と向き合いました。
正直、自分の弱さを直視するのは、精神的にかなりハードでした。
でも、専門家が常に隣で支えてくれる安心感の中で、長年の対人不安を少しずつ手放すことができました。
- 向いている人:自分のペースでじっくり悩みと向き合いたい人、プライバシーを重視する人
- 費用目安:保険適用外が多く、1回5,000円~15,000円程度
- ワンポイント:カウンセラーとの相性が大切。合わないと感じたら変更も検討しましょう。
カウンセリング(心理療法)の全体像については、こちらの記事も参考にしてみてください。
3. 独学・セルフCBT:自分のペースでできる最も手軽な方法
書籍やアプリを使って、自分一人でCBTを実践する方法です。
うつ病のときは、つい自分を責めたり、悲観的な考えにとらわれてしまうことがあります。
たとえば、こんな思考に心が支配されることもあります。
私はまず、「もうダメだ…」という口癖に気づき、自問自答ノートを作ることから始めました。
自分のペースで進められる手軽さが最大のメリットですが、一人だと考えが堂々巡りになりやすい、という側面もあります。
- 向いている人:まずは気軽にCBTを試してみたい人、自分のペースを大切にしたい人
- 費用目安:書籍代やアプリ利用料のみ(数百円~数千円)
- ワンポイント:後述するアプリなどを活用すると、客観的な視点を取り入れやすくなります。
4. 夫婦CBT:日常の会話が一番の“お守り”に
これは少し特殊ですが、妻との日常会話の中でCBTの考え方を取り入れる、というものです。
たとえば、私が仕事で失敗して「もうダメだ…」と落ち込んだ時、妻が「本当にそうかな?」と穏やかに声をかけてくれるだけで、視点が少し変わりました。
この対話で、一人で抱え込みがちだった不安を客観的に見つめられるようになりました。
- 向いている人:パートナーの協力を得られる人、日常の中で安心感を得たい人
- 費用目安:0円
- ワンポイント:相手に「CBTを手伝ってほしい」と素直にお願いすることが最初の一歩です。
- ステップ1気分を記録する
まずは、どんな時に気分が落ち込むのか、ノートやアプリに書き出してみましょう。「いつ」「どこで」「どんな気持ちになったか」を記録するだけでOKです。今夜から試してみませんか? - ステップ2考え方のクセに気づく
記録を見返して、「自分はこういう時に落ち込みやすいんだな」というパターンを探してみましょう。「どうせ~」「絶対に~」といった言葉が、あなたのクセのサインかもしれません。 - ステップ3別の考えを探す(反証)
あなたの心を苦しめている考え方に対して、「本当にそうかな?」「100%そうだと言い切れる?」と問いかけ、別の可能性を探してみましょう。 - ステップ4小さな行動で試してみる(行動実験)
「どうせ誰も私のことなんて気にしていない」と頭では分かっていても、不安はなかなか消えませんよね。そんな時は、あえて少しずつ行動してみるのがおすすめです。まずはコンビニの店員さんに目を見て「ありがとうございます」と言う、といった小さな目標から始めましょう。 - ステップ5自分をほめる
どんなに小さなことでも、できたら「よくやったね」「えらいぞ」と自分をほめてあげてください。自分の一番の味方は、あなた自身です。
かつて、「人混みに行ったら、身だしなみが整っていない自分をみんなが見るに違いない」という考えに苦しんでいました。そこで、妻と一緒にお祭りに5分だけ行ってみる、という行動実験をしました。結果、誰も私のことなど気にしていませんでした。この「大丈夫だった」という小さな成功体験が、大きな自信につながりました。
セルフCBTを力強くサポート!2025年最新ツール(アプリ&AI)
「一人で続けるのは不安…」そんなあなたを、最新のテクノロジーが支えてくれます。
スマホアプリ:日々の記録を手軽に
日々の気分の記録や思考の整理を、ゲーム感覚でサポートしてくれます。
記録が苦手な人には、音声入力に対応したアプリがおすすめです。
私もCBT支援アプリ「Awarefy」を試しました。特に、自分の考え方に対してAIが別の考え方の例(反証リスト)を提案してくれる機能が、一人で考えが煮詰まった時に本当に助かりました。
AIチャット:24時間寄り添う相談相手
「cotomo(コトモ)」などのAIチャットアプリに、いつでも気兼ねなく気持ちを打ち明けられます。
客観的なフィードバックが欲しい時や、考えを整理したい時にぴったりです。
選び方のポイント
- 無料で試せるか:多くのアプリに無料プランがあります。まずは気軽に試して相性を見ましょう。
- 記録のしやすさ:音声入力、選択式など、自分が続けやすい方法に対応しているかが重要です。
- 専門家の監修:医師やカウンセラーが監修しているアプリは、より信頼性が高いと言えます。
認知行動療法を始める前に知っておきたい注意点
- 効果には個人差があり、誰にでも合うわけではありません。
- 自分の心の深い部分と向き合うため、一時的に気分が落ち込むこともあります。
- 体調が良い時に、少しずつ試すことから始めましょう。
まとめ
この記事では、私の体験を基に4種類の認知行動療法(CBT)と、セルフでの始め方をご紹介しました。
たくさんの方法をご紹介しましたが、一度に全部やる必要はありません。
まずは今日、寝る前に「今日できたこと」を一つだけ、自分自身のためにほめてあげてみませんか?
それが、あなたの心を軽くする、尊い第一歩です。
認知行動療法(CBT)でよくある質問
Q. CBTは薬の治療と併用できますか?
はい、併用できます。多くの場合は、薬物療法で心身のエネルギーを回復させながら、CBTで考え方のクセを修正していくという形で、並行して進められます。ただし、必ず主治医に相談し、許可を得てから始めるようにしてください。
Q. 効果が出るまでどれくらいかかりますか?
効果を実感するまでの期間には、個人差が非常に大きいです。私の場合、集団CBTでは数週間で少し楽になり、個別CBTでは半年ほどかけてじっくり向き合いました。大切なのは、焦らずに自分のペースで継続することです。
Q. 自分には向いていないと感じたらどうすればいいですか?
無理に続ける必要は全くありません。CBTが合わないと感じたら、正直に主治医やカウンセラーに伝えましょう。自分を責めずに、あなたに合う治療法を一緒に探していくことができます。
Q. 続けるコツはありますか?
完璧を目指さないことです。「今日はできなかった」と自分を責めるのではなく、「疲れているんだな。明日また試そう」とやさしく受け流してあげてください。100点を目指すより、10点を続ける方がずっと大切です。
あなたの心が、ほんの少しでも軽くなりますように。
一歩ずつ、あなたのペースで。あなただけの答えを見つけていく旅を、これからも応援しています。
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