「うつ病でつらいのに、一番わかってほしい親が理解してくれない……」
一番の味方でいてほしいはずの親から、心ない言葉をかけられたり、見当違いのアドバイスをされたりして、孤独感にさいなまれていませんか?
「どうしてわかってくれないの?」と涙が出たり、「自分が弱いからダメなんだ」と自分を責めてしまったり。
そのお気持ち、痛いほどわかります。
そして、その辛さは、決してあなたのせいではありません。
この記事は、親を説得したり、変えたりするためのものではありません。
これ以上あなたが傷つかず、あなたの心を、あなた自身が守るための具体的な方法を、私の体験談と共にお伝えするためのものです。
親との関係に、たった一人で頑張り続ける必要はもうありません。
少しだけ、この記事にあなたの時間をいただけませんか。
なぜ、いちばん身近な親が病気を理解してくれないのか?
「普通に考えれば、自分の子どもが苦しんでいたら心配するはずなのに…」
そう思えば思うほど、理解してくれない親の態度に、怒りや悲しみがこみ上げてきますよね。
でも、少しだけ冷静になって、その背景にあるかもしれない「構造」を見てみませんか。
親を許すためではありません。
あなたが、あなた自身の状況を客観的に捉え、心を落ち着かせるためのステップです。
世代間の埋めがたい「価値観」の壁
特に私たちの親世代(50代〜60代以上)は、「気合と根性」「頑張れば報われる」という価値観が当たり前の時代を生きてきました。
親の世代にとって「心が疲れる」という概念は理解しがたく、「精神的な不調=気の持ちよう、甘え」と結びついてしまいがちなのです。
悪気があるのではなく、それが彼らの生きてきた世界の「常識」ということも考えられます。
目に見えない病気への「知識不足」と「想像力の欠如」
骨折なら、ギプスを見れば誰でも「大変だね」とわかります。
でも、うつ病は目に見えません。
外からは普段と変わらないように見えるため、その内側でどれほどの苦しみを抱えているのか、想像することが非常に難しいという事情もあります。
「うつ病」という言葉は知っていても、その本当の辛さについての知識がなければ、どうしても表面的な言動で判断してしまうのでしょう。
「心配」の表現方法を知らない不器用さ
信じられないかもしれませんが、親があなたにかける厳しい言葉は、不器用な「心配」の裏返しである可能性もあります。
どうすれば子どもが元気になるのかわからず、自分が成功してきた唯一の方法である「叱咤激励」という形で、あなたを励まそうとしているのかもしれません。
もちろん、それは当事者にとって良い方法ではなく、逆効果になってしまうことさえあります。
でも、「あなたを傷つけたい」のではなく、「どうすればいいかわからない」結果、そうなってしまっているケースもあるというわけです。
自分以外の誰かを変えるのは、たとえ親子であっても、ほとんど不可能です。
「どうすれば親がわかってくれるか?」と考えるのをやめて、「この人には通じない」という前提に立つこと。そして、「完璧な理解を求めるのをやめる」「無理に説明しようとしない」と決めること。
それは冷たいことのように聞こえるかもしれません。でも、通じない相手にボールを投げ続けて心を消耗するより、ずっと賢明で、あなた自身を大切にするための選択なのです。
【体験談】「良かれと思って」が一番つらかった。親の間違ったアドバイスに心をすり減した日々
私自身、親との関係で深く悩んだ経験があります。
私の親は、「うつは甘えだ」と頭ごなしに否定するようなタイプではありませんでした。
病気になったこと自体には、一定の理解を示してくれようとしたのです。
でも、だからこそ、つらかった。
病気の知識が全くない親は、私を元気づけようと、様々な「間違ったアドバイス」をしてきました。



まさに、親の善意と自分の限界との間で、心が引き裂かれそうでした。
「天気がいいから散歩に行こう」「家に引きこもってばかりじゃダメだ」
そんな言葉を何度もかけられました。
私が本当に望んでいたのは、ただただ「そっとしておいてほしい」ということだけでした。
でも、親にしてみれば、「何もしない」という選択肢はなかったのかもしれません。
子どもが苦しんでいるのに、何もしないでいることに耐えられなかった。
だから、自分たちが知っている唯一の方法で、もがいていたんだと今なら思えます。
とはいえ、ここに至るまでには本当に長い時間がかかりました。
幸いにも、19年という歳月を経て、今では親も私の病気との付き合い方を理解してくれるようになりました。
でも、これは本当に稀なケースだと思っています。
だからこそ、あなたには「いつかわかってくれるはず」と、長すぎる期待を抱いてほしくないのです。
【最重要】あなたのエネルギー残量に合わせた「心の守り方」3ステップ
あなたの今の状態に、いちばん近いところから読んでみてください。
すべてを読む必要はありません。
今のあなたに「これならできるかも」と思えるものだけ、試してみてください。
【ステップ1:残量10%】もう何も考えられない…「物理的に自分を守る」
親の言葉に反論したり、何かを説明したりする気力さえ湧かない時。
そんな時は、心を無にして「刺激」から物理的に距離を置きましょう。
- 会話が始まったら、黙ってトイレや自室に移動する
- 自室にいる時は、ドアを閉めて鍵をかける
- リビングにいても、イヤホンやヘッドホンで心を遮断する
- 食事の時間や場所をずらす
「親を無視するなんて…」と罪悪感を感じる必要は一切ありません。
これは「無視」ではなく、あなたの心がこれ以上傷つかないようにするための、賢明で正当な「避難」です。
【ステップ2:残量40%】少しだけ反論したい…「心をすり減らさない会話術」
何か言われた時に、少しだけ言い返せるエネルギーがあるなら、相手を刺激せず、かつ自分の意思を伝える「魔法のフレーズ」を使ってみましょう。
ポイントは、会話の主語を「相手(You)」ではなく「私(I)」にして伝えることです。(アイメッセージと呼ばれる伝え方です)
他にも、こんなフレーズが使えます。
- 「心配してくれてありがとう。でも、お医者さんと相談しながら進めてるから大丈夫だよ。」
- 「そのアドバイス、ありがとう。でも、今はエネルギーがなくてできそうにないんだ。ごめんね。」
- 「気持ちだけ受け取っておくね。」
相手の善意(かもしれない部分)だけは一旦受け止め、その上で自分の状況を簡潔に伝えるのがコツです。
【ステップ3:残量70%】伝える努力をしたい…「期待せずに情報を渡す」
もし、あなたの心にまだ余力があって、「伝える努力を一度だけしてみたい」と思うなら、感情でぶつかるのではなく、客観的な「情報」を渡す方法があります。
ただし、大前提として「理解されたらラッキー」くらいの、軽い気持ちでいることが大切です。
期待しすぎないことが、あなた自身を守ることにも繋がります。
- 専門家の力を借りる: 診察やカウンセリングの場に親に同席してもらい、医師やカウンセラーから直接説明してもらうのが最も効果的です。
- 公的なパンフレットや書籍を渡す: 国や専門機関が出している資料、専門書など、「あなたの意見」ではない客観的な情報を渡します。
「伝えない」「諦める」は、自分を守るための賢い選択
いろいろ試しても、親は変わらないかもしれない。
その時、どうか「自分の努力が足りなかった」なんて思わないでください。
あなたの人生の主役は、他の誰でもなく、あなた自身です。
親の価値観に合わせて生きる必要なんて、どこにもありません。
あなたの心と体の健康を、何よりも優先していいのです。
たとえ血の繋がった親であっても、あなたの心を傷つける存在からは、堂々と距離をとっていい。
「わかってもらおう」と努力することをやめる。
「理解してもらう」ことを諦める。
それは「逃げ」ではなく、自分の人生を大切にするための、賢くて、とても勇気ある選択なのです。
どうしても他に相談できる相手がいないあなたへ
親に理解されない上に、他に頼れる人がいない…
そんな状況で、たった一人で悩みを抱え込まないでください。
もし、今すぐ消えてしまいたいほど辛いなら、専門の窓口に頼ることをためらわないでください。
あなたの話を、ただ静かに聞いてくれる場所が必ずあります。
もしあなたが学生などで、すぐに家を出ることが難しい場合は、学校の先生やスクールカウンセラーなど、身近な信頼できる大人に相談することも大切な選択肢です。
あなたを否定せず、あなたの辛さに寄り添ってくれる人は、必ずどこかにいます。
どうか、一人で抱え込まないでください。
まとめ:あなたはもう、十分に頑張っています
親に病気を理解されない苦しみは、経験した人にしかわからない、深く暗いものです。
「わかってほしい」と願うのは、あなたが親のことを大切に思っているからこそ。
その気持ちは、決して間違っていません。
でも、その優しさを、これからはどうかあなた自身のために使ってあげてください。
あなたは一人じゃない。
何も悪くない。
そして、もう十分に頑張っています。
自分を守ることを、何よりも大切にしてくださいね。




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