この記事でわかること
- うつ病での休職中に「やってよかったこと」「やらなければよかったこと」の体験談
- 回復状況に応じた「3つのステージ」別の具体的な過ごし方
- 焦りや罪悪感から解放され、安心して療養に専念するためのヒント
- 「復職」というゴールを見失わないための、休職期間の本当の目的
「うつ病で休職に入ったものの、毎日何をすればいいかわからない…」
「ただ休んでいるだけで、社会から取り残されたような罪悪感がある…」
先の見えない不安の中、あなたは今、そんな焦りを抱えているかもしれません。
大丈夫です。
その焦りや罪悪感は、多くの人が経験する自然な感情です。
そして、その貴重な休職期間を「復職」という未来につなげるためには、回復状況に合わせた「過ごし方のコツ」があります。
この記事では、私自身の体験談をもとに、うつ病での休職期間を3つのステージに分け、「やってよかったこと」と「やらなければよかったこと(後悔したこと)」を具体的にお伝えします。
この記事を読み終える頃には、あなたの今の状況に合った過ごし方がわかり、焦りや罪悪感を手放して、安心して療養に専念できるようになっているはずです。
【結論】休職の本当の目的は「再発しない心身づくり」
本題に入る前に、私が休職期間を通じて学んだ、最も大切な「たった一つの結論」からお伝えさせてください。
「復職後に、うつ病を再発させない心身の状態を作ること」です。
私は一度目の休職の際、ただ症状を和げることだけを考えていました。
その結果、復職はできたものの、根本的な問題は解決しておらず、常に再発の不安が付きまといました。
あなたには、同じ失敗をしてほしくありません。
この「本当の目的」を常に心に留めながら、これからのステージ別の過ごし方を読み進めてみてください。
【ステージ別】休職中にやってよかった事・やらなければよかった事
うつ病からの回復の道のりは、一直線ではありません。
ここでは、休職期間をうつ病が回復する3つの段階に沿って大きく3つのステージに分け、それぞれの時期に適した過ごし方を私の体験談と共に解説します。
ステージ1:急性期|「何もしない」が仕事の時期にやるべき事・注意点
医師から「とにかく休んでください」と言われ、心身ともにエネルギーが枯渇している時期です。
【やらなければよかった事】焦りから始めた過度な運動
休職して数ヶ月、食べて寝るだけの生活で体重が増えたことに焦りを感じた私は、親の勧めもありスポーツジムに入会しました。
当時の私にとっては、筋トレやスタジオプログラムは明らかに負荷が強すぎました。
良かれと思って始めた運動が、かえって心身を疲れさせてしまったのです。
- 急性期に必要なのは「刺激」ではなく、徹底した「休養」。
- 「何かをしなければ」という焦りこそが、回復を妨げる最大の敵になる。
この時期のあなたへ
「何もしない」ことに罪悪感を抱く必要はありません。
脳と体をしっかり休ませること、それが今のあなたに与えられた最も重要な「仕事」です。
専門家や経験者が口を揃えて言う「休養の大切さ」を信じて、心ゆくまで休みましょう。
ステージ2:回復期|心と頭のリハビリ時期にやってよかった事・後悔した事
少しずつ意欲が湧き、何かを始めたくなる時期。
この時期から、生活リズムの改善を意識し始めます。
【やってよかった事①】漫画や図解で「うつ病の正体」を知る
「うつ病って一体何なんだろう?」という疑問から、まずは漫画や図解など、やさしい本から読み始めました。
病気のメカニズムや回復過程を知ることで、「これは治らない病気じゃないんだ」という安心感が得られ、先の見えない不安が大きく和らぎました。
- 敵の正体を知ることで、漠然とした不安は具体的な「課題」に変わる。
- 活字を読む行為そのものが、少しずつ脳を活性化させる良いリハビリになる。
【やってよかった事②】「うつノート」で思考を記録・整理する
診察や面談で話した内容、主治医からのアドバイス、その日の体調や気分などを一冊のノートに全て記録しました。
書くことで頭の中が整理され、自分の状態を客観的に把握できるようになりました。
診察前に話したいことをまとめておけるので、短い診察時間を有効活用できたのも大きなメリットです。
- 自分の状態を「記録」することは、自分自身を理解するための第一歩。
- 思考を書き出すことで、ネガティブな感情のループから抜け出しやすくなる。
【やってよかった事③】生活リズムを整えるための軽い散歩
急性期に失敗したジムとは違い、この回復期に始めた「外に出て太陽の光を浴びながら散歩する」という習慣は、非常に効果的でした。
毎日少しずつでも同じ時間に起き、散歩することで、乱れがちだった生活リズムを整える意識が芽生えました。
- 社会復帰の土台は、規則正しい生活リズムを「意識し始める」ことから作られる。
- 「できそうなこと」を一つずつ積み重ねることが、自信の回復に繋がる。
【後悔した事①】SNSでの人付き合いに消耗する
孤独感からSNSで同じ病気の仲間を探し、多くの人と繋がりました。
「一人じゃない」と思えたのは大きな救いでしたが、次第に他人の相談に乗ることが増え、精神的に疲弊してしまいました。
顔が見えないコミュニケーションは、些細な言葉のすれ違いでストレスになることも多かったです。
- 共感できる仲間は大切。しかし、回復期は「他人の感情」から自分を守ることも同じくらい大切。
- SNSとは「自分が心地よいと感じる距離感」を保つ意識が必要。
【後悔した事②】カウンセリングを「受け身」で受けてしまう
産業医に勧められカウンセリングも受けましたが、当時は「話を聞いてもらう場所」だと勘違いしていました。
ただ雑談するだけで終わってしまい、「自分で問題を見つけ、解決する」という本来の目的を理解できていなかったため、その効果を最大限に引き出せませんでした。
- カウンセリングは「お任せ」ではなく、カウンセラーと二人三脚で「自分と向き合う」作業。
- 認知行動療法など、治療の目的を事前に理解しておくことで効果は何倍にもなる。
ステージ3:再発予防期|社会復帰へ向けた具体的な準備を始める時期
体調が安定し、「復職」が現実的な目標として見えてくる時期です。
回復期に整え始めた生活リズムを土台に、より社会生活を意識した準備を行います。
【やってよかった事①】復職後の働き方を具体的にシミュレーションする
ただ漠然と復職を待つのではなく、「朝9時に出社するとしたら、何時に起きる必要があるか」「通勤時間と同じ時間、図書館で過ごしてみよう」といったシミュレーションを始めました。
これにより、現在の自分の体力や集中力で何ができて、何がまだ難しいのかを客観的に把握でき、主治医や会社に具体的な相談をする際の重要な材料になりました。
- 「今の自分」の現在地を正しく知ることが、無理のない復職計画の第一歩。
- 具体的なシミュレーションは、復職への漠然とした不安を「対処すべき課題」に変えてくれる。
【やってよかった事②】リワーク支援の活用を検討する
私の休職時代、リワークに通ったものの昼夜逆転が治らず休みがちで、「なぜ自分はちゃんとできないんだ」と自己嫌悪に陥った苦い経験があります。
しかし、それは回復期に無理をした結果でした。
体調が安定したこの再発予防期にこそ、リワークは真価を発揮します。
職場に近い環境でストレス対処法を学んだり、集団でのコミュニケーションに慣れたりすることは、再発しないための強力な土台作りになります。
- リワークは「適切なタイミング」で活用することが最も重要。
- 多くの企業で復職の条件とされることもあり、主治医と相談の上で検討する価値は非常に高い。
まとめ:休職は寄り道ではない!未来のための大切な準備期間
うつ病での休職期間の過ごし方について、私の体験談を交えながら3つのステージに分けて解説しました。
この記事のポイント
- 休職の本当の目的を忘れない:「再発しない心身を作ること」がゴール。
- 自分のステージを理解する:「急性期」「回復期」「再発予防期」でやるべきことは違う。
- 焦らないことが最大の近道:「何もしない」ことも、未来に向けた大切な準備の一つ。
- 体験談はヒントと捉える:あなた自身のペースと感覚を何よりも大切にする。
休職は、キャリアの終わりでも、人生の寄り道でもありません。
あなたがこの先、もっと自分らしく、健やかに働き続けるために与えられた、必要不可欠な「準備期間」です。
この記事が、あなたの不安を少しでも和らげ、有意義な休職期間を送るための一助となれば幸いです。
次のステップへ|復職準備の全体像を知りたいあなたへ
休職中の過ごし方がイメージできたら、次は復職に向けた具体的な準備を始めましょう。
復職準備の全体像については、現在ロードマップ記事を準備中です。
まずは、回復の各段階について詳しく解説したこちらの記事をもう一度読み返し、ご自身の現在地を確認しておくことをお勧めします。
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