「ツレがうつになりまして。」はどの順番で読む?シリーズ全作レビュー・感想【ネタバレなし】

「ツレがうつになりまして。」シリーズを読む順番や感想をレビューする記事のアイキャッチ画像。グレーとオフホワイトの2枚のしおりが、互いを支えるように優しく重なり合っている。物語の核である、夫婦が寄り添い病と向き合う温かい関係性と、「二人なら大丈夫」という希望を象徴している。
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「ツレがうつになりまして。」(通称:ツレうつ)、どの順番で読むのがいいんだろう?
うつ病と向き合う多くの方にとって、この物語は特別な存在ですよね。

19年以上うつ病と歩んできた私も、この物語に心を救われた一人です。
うつ病の夫「ツレ」と、彼を支える妻「ハルさん」。二人三脚で病と向き合う姿は、温かくて、優しくて、「ひとりじゃない」と教えてくれました。

この記事では、私の実体験から感じた感想やレビューを交えながら、ネタバレなしで「ツレうつ」シリーズ全3作と映画版の魅力を徹底解説します。

この記事を読めばわかること

  • シリーズ全作品の、おすすめの「読む順番」
  • 今のあなたの心に寄り添う一冊が、ひと目でわかる比較表
  • 当事者だからこそ共感できた、物語の深い魅力と感想

作品別 早わかり比較表

まずはじめに、どの作品が今のあなたに合っているか、下の表でチェックしてみてください。

作品名心に響きやすい状態特徴メリット注意点
ツレがうつになりまして。発症初期・不安が強い時原点の一冊、優しいタッチ救われる言葉が多い症状の深刻さは控えめ
その後のツレうつ病気が長期化・自分のペースを探し中生活と共存する姿具体的な対処法が参考になる展開は日常が中心
7年目のツレうつ少し前向き・寛解を知りたい時7年後の姿と希望回復後のリアルがわかる初期症状の描写は少ない
映画版活字を読むのがつらい時実写ならではの表現力俳優の温かい演技が素晴らしい爬虫類のシーンあり

「ツレうつ」シリーズ、おすすめの読む順番は?

「ツレうつ」シリーズは、書籍3冊と映画1本で構成されています。
初めてこの世界に触れるなら、物語の時間軸に沿って、以下の順番で読み進めるのが、一番ストーリーに没入できるのでおすすめです。

おすすめの鑑賞・読書順

  1. 【原点】『ツレがうつになりまして。』
  2. 【回復期】『その後のツレがうつになりまして。』
  3. 【寛解後】『7年目のツレがうつになりまして。』
  4. 【映像で】 映画『ツレがうつになりまして。』

もちろん、比較表を見て気になった作品から手に取るのも、素敵な出会い方です。
ここからは、それぞれの作品が持つ魅力と、私の心に響いたポイントを詳しくレビューしていきますね。

各作品のレビュー・感想【ネタバレなし】

1.『ツレがうつになりまして。』のレビュー・感想|すべての始まり、原点の一冊

書籍の情報

  • 著者:細川貂々
  • 形式:漫画
  • 出版日:2006年3月23日

スーパーサラリーマンだった夫(ツレ)がある日突然、うつ病に。
この一冊は、そんな衝撃的な出来事から始まる、夫婦の闘病記です。うつ病のつらさだけでなく、病気になったからこそ気づけた優しさや夫婦の愛情が、温かく描かれています。

ななころ
ななころ
この本を読んで、まず「これは、かつての私のことだ」と思いました。曜日ごとにネクタイを決めるような、絵に描いたような几帳面な性格。昔の自分にそっくりで…。だからこそ、ツレが理想と現実のギャップに苦しむ姿が、痛いほどよくわかりました。そして、ツレが語る「夜は、必ず、明ける」という言葉。家族に言われた「終わらないトンネルはない」という言葉と重なり、今でも私の心を支えてくれる大切なお守りです。
注意点
優しいタッチで描かれている分、症状の深刻さは控えめです。そのため、人によっては「実際のうつ病のつらさとは少し違うかも?」と感じる部分があるかもしれません。
こんなあなたにおすすめ

  • うつ病になったばかりで、先の見えない不安を感じている
  • 家族やパートナーがうつ病になり、どう接したらいいか悩んでいる
  • まずは「ツレうつ」の世界観に触れてみたい

2.『その後のツレがうつになりまして。』のレビュー・感想|自分との向き合い方が見つかる

書籍の情報

  • 著者:細川貂々
  • 形式:漫画
  • 出版日:2007年11月21日

シリーズ第2弾では、診断から3年が経ったツレの「その後」が描かれます。
病気と付き合いながら、夫婦で作り上げてきた「ウチ流ルール」。真面目だったツレが、少しずつ「だらだらする」ことを覚えていく姿。焦らず、ゆっくりと自分たちのペースで歩んでいく二人の姿に、うつ病が長期化している方ほど、共感できるのではないでしょうか。

ななころ
ななころ
この本を読んだ時、まさに当時の私と同じステージにいると感じました。病気と長く付き合う中で、できること・できないことがわかり、自分なりの対処法が見えてくる。ツレがマイペースでスローライフな生き方を見つけていく過程は、そのまま今の私に重なります。「あとで(焦らない・特別扱いしない・できるできないを見分ける)」というコラムには、思わず何度も頷きました。
注意点
夫婦の日常が中心のため、物語として劇的な展開は少なめです。そのため、大きな変化や回復を期待すると、少し物足りなく感じるかもしれません。
こんなあなたにおすすめ

  • 病気との付き合い方が、少しずつわかってきた回復期の方
  • 自分なりのペースで、ゆっくり回復していくヒントが欲しい
  • 公的制度など、闘病生活に役立つリアルな情報に触れたい

3.『7年目のツレがうつになりまして。』のレビュー・感想|病気がくれた、新しい人生

書籍の情報

  • 著者:細川貂々
  • 形式:漫画
  • 出版日:2011年9月7日

シリーズ完結編では、発症から7年が経ち、寛解へと至ったツレの姿が描かれます。
うつ病は、多くのものを奪っていく苦しい病気です。でも、この物語は、失うだけではない、病気から学ぶこともあるのだと、確かな希望を私たちに示してくれます。

ななころ
ななころ
私の座右の銘は「七転び八起き」なのですが、この本の「転んでもただでは起きない」というコラムを読んだ時、私と重なり嬉しくなりました。そして、「ツレうつは二人だけの作品ではない、うつ病に関わっている人全員の作品だ」という言葉。この物語が、ただの闘病記ではなく、多くの人の想いを乗せた「希望の物語」なのだと改めて感じ、胸がジーンとなりました。
注意点
寛解後の二人が中心のため、今まさに苦しい時期の方とは少し距離があります。そのため、うつ病のどん底で共感を求めている方にとっては、まぶしく感じてしまうかもしれません。
こんなあなたにおすすめ

  • 少し心が前向きになり、回復後の生活に希望を見出したい
  • うつ病を経験したからこそ得られる、新しい生き方や価値観に触れたい
  • 「ツレうつ」シリーズのファンで、二人のその後を見届けたい

4. 映画『ツレがうつになりまして。』のレビュー・感想|実写だからこそ伝わる、心の機微

映画の情報

  • 出演:宮﨑あおい, 堺雅人
  • 監督:佐々部清
  • 公開日:2011年10月8日

書籍シリーズを読んだ後に観ることで、物語の感動がより一層深まる作品です。
1作目と2作目をベースに夫婦の愛情を深く描いており、宮﨑あおいさんと堺雅人さんの温かい演技が、物語に新たな命を吹き込んでいます。

ななころ
ななころ
原作ファンとして、映画も本当に素晴らしい出来栄えでした。ストーリーは原作に忠実でありながら、映画オリジナルの要素が物語に深みを与えています。原作を読む前でも楽しめますが、読んだ後だと感動が倍増します。実は、原作者の細川貂々さんご夫婦がこっそり出演されているんですよ。探してみるのも楽しいかもしれません。
ペットのイグアナが登場するシーンがあります。爬虫類が苦手な方は少しだけご注意くださいね。
こんなあなたにおすすめ

  • 活字やマンガを読む気力がないけれど、物語には触れたい
  • 俳優の繊細な演技を通して、夫婦の心の機微を感じたい
  • 原作の世界観を、映像で改めて楽しみたい
コラム:「ツレうつ」の世界をさらに楽しむために
「ツレうつ」には、この記事で紹介した作品以外にも、関連書籍やドラマ版が存在します。

『ツレと貂々、うつの先生に会いに行く』は、夫婦が専門家と対談する形式で、うつ病をより深く学べる一冊です。

また、2009年にはテレビドラマ版(藤原紀香さん・原田泰造さん主演)も放送されました。映画版とはまた違った魅力があるので、興味のある方は探してみてはいかがでしょうか。

まとめ:あなたの心に寄り添う、温かい物語の世界へ

今回は、私のバイブルでもある「ツレがうつになりまして。」シリーズのレビューと、おすすめの読む順番をご紹介しました。

うつ病の暗く長いトンネルの中で、私たちはときどき孤独を感じます。
でも、この物語は、いつでも「あなたはひとりじゃないよ」と、そっと隣で語りかけてくれるような存在です。

あなたの今の心に、一番しっくりくる一冊から、ぜひ手に取ってみてくださいね。
きっとそこには、あなたの心を温めてくれる、優しい光があるはずです。

うつ病で本を読むのがつらいあなたへ
この記事で紹介した本以外にも、うつ病当事者の私が本当に救われた本たちを、症状や悩みに合わせて紹介している「まとめ記事」があります。
活字がつらくても読めるマンガを中心に厳選しているので、ぜひこちらの記事も覗いてみてくださいね。

お気軽に感想をどうぞ

  1. おはようございます。
    この映画は、以前、amazonビデオ(ですか)で見ました。
    たしか、なかのいい若い夫婦のはなしで、こうありたいものだと思った記憶があります。

    • Taniさん、コメントありがとうございます。
      今はオンラインで見れるので便利ですよね。
      うつになった夫を支える妻側の視点で描かれていて素敵でした。

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