「うつは甘え」と言われて傷ついたあなたへ。その違いと具体的な心の守り方を、当事者が解説します

『「うつは甘え」その一言に傷ついた心を 守るためのヒント』という記事のアイキャッチ画像。絆創膏で手当てされたハートのイラストが、この記事で心が癒やされることを象徴しています。
本記事には広告を含む場合がありますが、信頼できる情報の提供に努めています。

「うつは甘えだ」「気合が足りないだけ」

そんな心ない言葉に、あなたは一人で心を閉ざしてきたのかもしれませんね。

この記事では、「うつ」と「甘え」の明確な違いと、今後もう深く傷つかないための具体的な心の守り方をお伝えします。
かつて同じように傷ついた私が、あなたのための「心の盾」を見つけるお手伝いをします。

私は、直接そう言われたわけではありませんが…

まず結論からお伝えします。
あなたは決して、甘えているわけではありません。

私の体験談:「甘え」という言葉を使わない、鋭い刃

実は私自身は、「うつは甘えだ」と面と向かって言われた経験はありません。
ですが、言葉にしなくても、態度や言動で深く心を傷つけられた経験は、数え切れないほどあります。

ななころ(悲しい表情)
ななころ
一番近くにいてほしかった元パートナーからは、理解の言葉すらなかったな…
ななころ(真面目な表情)
ななころ
復職の時、当時の上司に「みんなに謝罪しろ」と言われた時は、本当に悔しくて情けなかった…

あなたも、似たような経験があるかもしれませんね。
直接的な言葉がなくても、理解されない辛さや孤独感は、心を深くえぐります。
あなたのその痛みは、決して大げさなものではありません。傷ついて当たり前なのです。

【自分を守る知識】「うつ病」と「甘え」は医学的に全くの別物です

結論:うつ病は「脳の機能障害」、甘えは「心のあり方」

うつ病と甘えは、根本的に異なります。
国が運営するこころの情報サイトでも、うつ病は「脳の機能障害が起きている状態」と説明されています。

うつ病は、精神的ストレスや身体的ストレスが重なることなど、様々な理由から脳の機能障害が起きている状態です。
うつ病 | こころの情報サイト

意思の力や気合だけでコントロールできないのは、このためです。
一方、甘えは心理的な状態、つまり「心のあり方」です。
この二つは全くの別物なのだと知っておくだけでも、少し心が軽くなるはずです。

症状で見分ける5つの視点【比較表】

ここからは、もう少し具体的に「違い」を整理してみましょう。

(1) 興味・喜び (2) 身体症状 (3) 自分への感情 (4) 持続性 (5) 生活への支障
【うつ病】
好きだったことが楽しめなくなる
【うつ病】
睡眠・食欲の問題、倦怠感など体に不調が出る
【うつ病】
「自分が悪い」と過剰に自分を責める
【うつ病】
2週間以上、ほぼ毎日不調が続く
【うつ病】
日常生活そのものが困難になる
【甘え】
好きなことなら楽しめる
【甘え】
体に不調が出ることは少ない
【甘え】
「誰かが何とかしてくれる」と他人に期待する傾向
【甘え】
一時的で、状況により変動する
【甘え】
生活全般が破綻することは少ない
これは一般的な情報です。自己判断はせず、気になる症状があれば必ず医療機関へご相談ください。最終的な診断は、必ず医師が行います。

「“甘えかも…”と感じてしまうのは、あなたのせいではありません」

自分を責めてしまうのは、うつ病の症状の一つです

「この比較表を見ても、やっぱり自分は甘えているだけなんじゃないか…」

もしあなたがそう感じてしまったとしても、どうか自分を追い詰めないでください。
そのように自分を責めてしまうこと自体が、うつ病の代表的な症状の一つである「認知の歪み」の影響かもしれないからです。

つまり、「甘えかも」と考えてしまうのは、あなたの心が弱いからではなく、病気がそうさせている可能性が高いのです。

“ぐるぐる思考”から抜け出すための小さな習慣

もし、自分を責める思考が頭の中をぐるぐると回り始めたら、試してみてほしいことがあります。

それは、「事実」と「感情(考え)」を分けてみることです。

例えば、

  • 事実: 今日、会社に行けなかった。
  • 感情(考え): だから自分はダメな人間だ。社会人失格だ。

このように書き出してみるだけでも、少しだけ客観的になれて、心が楽になることがあります。

【実践編】「うつは甘え」と言われた時の具体的な心の守り方

ここからは、実際に心ない言葉や態度に傷ついた時に、あなたの心を守るための具体的な対処法をお伝えします。

大原則:相手を変えず、自分を守ることに集中する

一番大切な心構えは、相手を「変えよう」「論破しよう」としないことです。
今のあなたに必要なのは、言い負かすことではなく、あなたの心を守り、エネルギーを回復させること

そのために、これから紹介する方法を「心の盾」として使ってみてください。

STEP1:言われた瞬間に心を守るための「魔法の言葉」

もし、エネルギーが残っていたらで大丈夫ですよ。
心ない言葉を投げかけられた瞬間に、心の中で唱えるだけで効果がある言葉があります。

  • 「この人は、知らないだけなんだな」
  • 「病気の私と、健康なあなたが見ている世界は違うんだ」
  • 「これはただの感想であって、事実ではない」

STEP2:相手別(家族・上司・友人)の「受け流し方」

相手との関係性によって、適切な距離の取り方は変わってきます。
無理のない範囲で試してみてくださいね。

  • 親/家族の場合:
    直接言い返すのが難しい場合は、専門家の力を借りましょう。通院に付き添ってもらい、医師から客観的に説明してもらうのが最も効果的なことがあります。
  • 上司/同僚の場合:
    診断書など、客観的な事実だけを淡々と伝え、感情的な議論は徹底して避けましょう。「産業医の先生はこのように言っています」と、第三者の力を借りるのも一つの手です。(休職や復職の手続きについては、こちらの記事で詳しく解説しています
  • 友人/パートナーの場合:
    もし、あなたの辛い気持ちに寄り添ってくれないのであれば、それは今後の関係性を見直すきっかけかもしれません。少し距離を置き、あなたの心を大切にしてくれる人を優先しましょう。

もし、言い返す気力が少しだけ残っていたら

もし、ほんの少しだけエネルギーが残っているなら、相手に自分の気持ちを伝える選択肢もあります。
感情的にではなく、冷静に、「私はこう感じる」と伝えるのがポイントです。

  • 「そう言われると、とても悲しい気持ちになります」
  • 「医師からは、脳の機能に不調が起きている状態だと説明されています」
  • 「あなたの言う通りにできなくて、私自身も苦しいです」

「分かってもらえない辛さ」を一人で抱えないで

この記事を読んでくださっているあなたは、すでにご自身の病気と向き合い、治療を続けている方かもしれません。周りに理解されない辛さを一人で抱え込まず、専門家に相談するという選択肢があることを、どうか忘れないでください。
  1. 主治医に、今の気持ちを正直に話す
    「周りからこう言われて辛い」という気持ちは、治療においても非常に重要な情報です。遠慮なく主治医に伝えましょう。対話の中から、解決の糸口が見つかることは少なくありません。
  2. カウンセリングで、専門家と深く話す
    主治医とは別に、話を聞くプロであるカウンセラーに相談することで、心の整理がつき、新たな視点が得られることがあります。自分に合うカウンセリングの探し方についても解説しています。
  3. 暮らしの専門家(医療ソーシャルワーカー)を頼る
    治療費や人間関係、仕事のことなど、暮らしの中での困りごとは、病院にいる「医療ソーシャルワーカー(MSW)」に相談できます。原則無料で話を聞いてくれる、心強い味方です。
  4. 公的な相談窓口に電話する
    今すぐ誰かに話を聞いてほしい、という時は、厚生労働省が支援する「まもろうよこころ」などの公的なホットラインがあります。匿名で、無料で相談できます。

まとめ:あなたの人生の主役は、あなたです

最後に、これだけは忘れないでください。

  • うつ病と甘えは、医学的に全くの別物です。
  • 理解のない言葉や態度に傷つくのは、当然のことです。
  • あなたには、自分の心を守るための対処法を選ぶことができます。
  • あなたの価値は、他人の言葉一つで揺らぐものではありません。(これは、紛れもない事実です)

どうか、誰よりもあなた自身が、あなたの味方でいてあげてくださいね。

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