嵐みたいな毎日は、少しだけおさまった。
でも、心の奥にはまだ
言葉にならないモヤモヤが残っている。
先生に勧められた「カウンセリング」
…何を、話せばいいんだろう。

あたたかい日差しが差し込む
やさしい場所だった。
カウンセラーさんは、穏やかな笑顔で
ただ、そこにいてくれた。
言葉が出てこない私を
急かすことなく、静かに待っていてくれた。

その一言に
かたくなっていた肩の力が
ふっと、抜けていくのがわかった。
ぽつり、ぽつり。
自分でも忘れていた気持ちが
言葉にならない思いが
涙と一緒に、こぼれていった。

良いとか悪いとか、判断されずに
すべてを受け止めてもらうこと。
あんなに重かった心の荷物が
ほんの少しだけ
軽くなったような気がした。

すぐに何かが解決したわけじゃない。
でも、がちがちに固まっていた心が
きつく結ばれた結び目が
ほんの少しだけ、ほどけた気がした。
見上げた空は
来たときよりも、少しだけ広く見えた。
VOICEVOX:小夜/SAYO




VOICEVOX:小夜/SAYO / Music: Til Death Parts Us
あとがき:この物語に込めた想い
最後まで物語に寄り添っていただき、ありがとうございます。作者のななころです。
「カウンセリング」と聞くと、「自分のダメなところを指摘されるのではないか」「理路整然と悩みを説明できないと怒られるのではないか」と、なんだかテストを受けるようなプレッシャーを感じてしまう方も多いかもしれません。私自身も初めてカウンセリングルームのドアを開けた日は、緊張で手汗が止まりませんでした。
いざ先生を前にしても、頭の中が真っ白で言葉が出てこず、最初の10分間くらい、ただ下を向いて沈黙してしまったことを覚えています。「何か話さなきゃ」と焦る私に、カウンセラーさんは優しく「無理に言葉にしなくてもいいんですよ。ここは、あなたが安心するための場所ですから」と声をかけてくれました。その瞬間、張り詰めていた糸がプツリと切れ、ポロポロと涙があふれてきました。
カウンセリングは、劇的な解決策をもらう場所ではなく、「ジャッジされずに、ただただ受け止めてもらう体験」をする場所です。うまく話せなくても、沈黙してしまっても、あるいは泣いてしまっても大丈夫です。
もしあなたが今、心に言葉にならないモヤモヤを抱えているのなら。その重たい荷物を、ほんの少しだけ安全な場所に下ろしてみませんか。





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