それでも、また雨が降る日を
こわく思う朝もある。
「おはよう、今日のわたし」
小さくつぶやいて、
ゆっくりと一日を始める。

できるようになったのは、ほんの少しのこと。
おひさまの暖かさを感じること。
風のにおいを、深く吸い込むこと。
昨日より、一歩だけ多く歩いてみること。

今、感じることを、ありのままに。
無理に前を向かなくてもいい。
立ち止まる自分を、責めなくてもいい。
そう教えてくれたのは、
これまでの道のりだった。

からっぽの心で天井を見つめた日。
自分のこころの声に、初めて耳をすませた日。
ひとつひとつが、
今のわたしに繋がっている「お守り」。

無理のない範囲で、
また世界と繋がってみる。
完璧な元気じゃなくても、笑える日はある。
それで、いいんだ。

この先も、きっと何度も立ち止まるだろう。
でも、もう知っている。
雨が降っても、立ち止まっても、
わたしはもう、ひとりじゃないこと。
この物語が、今こころに雨が降る
あなたの小さな「お守り」になりますように。
大丈夫。雨上がりの空は、もうすぐそこに。
VOICEVOX:小夜/SAYO





VOICEVOX:小夜/SAYO / Music: Til Death Parts Us
あとがき:この物語に込めた想い
最後まで「こころの絵本」シリーズに寄り添っていただき、本当にありがとうございます。作者のななころです。
うつ病の治療を始めた頃、私は「早く治して、元の完璧な自分に戻らなきゃ」とばかり焦っていました。しかし、回復の道のりは決して一直線ではありません。少し良くなったと思っても、また雨が降ってベッドから起き上がれなくなる日が何度もあり、「私だけ治らないんじゃないか」と絶望した夜もありました。
でも、長いトンネルを抜けつつある今、私は「元の自分に戻る」のではなく「新しい自分として、うつ病の波と手をつないで生きていく(寛解)」ことなのだと気づきました。昔のように無理をして走り続けることはできなくなったけれど、その代わりに、おひさまの暖かさや、道端に咲く花の色に立ち止まれる「やさしい視点」を手に入れることができました。
もし今、あなたが先のみえない不安の中にいたとしても、どうか焦らないでください。あなたが流した涙も、ベッドから動けなかった日々も、すべてが「あなたを守るための大切なお守り」に変わる日が必ず来ます。
この絵本が、あなたの心に架かる小さな虹になれば、これほど嬉しいことはありません。




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