「うつ病で本を読む気力なんてない…」
「文字が頭に入ってこなくて、内容がまったく理解できない」
長い闘病生活の中、そんなふうに感じる日は一度や二度ではありませんよね。
かつての私も、大好きだった読書が苦痛になり、活字から離れてしまった時期がありました。
心のエネルギーが少しつらい中でも、このページにたどり着いてくれたあなたへ、心を込めて書きました。
この記事は、単なる「おすすめ本のリスト」ではありません。
19年以上うつ病と向き合ってきた私が、「どんなに苦しい状態で、どの本に心を救われたのか」という、実体験のすべてを詰め込んだ、いわば私自身の闘病記でもあります。
うつ病の症状は、時期によってまったく違います。
だからこそ、今のあなたの心と体の状態に、本当に寄り添ってくれる一冊が必要だと思うのです。
この記事を読み終える頃には、きっとあなたの心をそっと支えてくれる「お守りのような一冊」が見つかるはずです。
【症状・悩み別】あなたの「今」に寄り添う一冊を見つける
ここからは、今のあなたの心と体の状態に合わせて本を選べるよう、5つのカテゴリに分けて紹介していきます。
気になるところをタップ(クリック)すると、その場所までジャンプできます。
あなたにぴったりの本だけを、すぐに読むことができます。
(1) 【気力ゼロのあなたへ】活字が読めなくても、心に届く「お守りマンガ」6選
頭が働かず、文字を追うことすら苦痛な時期。
それでも、この暗いトンネルから抜け出すヒントが欲しい…。
そんな時は、まずマンガの力を借りましょう。
難しいことを考えず、ただページをめくるだけで、少しだけ心が軽くなるはずです。
『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』
作者自身を含む17人の体験談をマンガ化した一冊。うつ病のきっかけも、回復の仕方も、本当に人それぞれなんだと気づかされます。

『うつ逃げ ~うつになったので全力で逃げてみた話~』
うつ病で休職した著者が、世間の「普通」から「逃げる」ことを決意し、自分らしい生き方を見つけるまでのコミックエッセイです。

『うつ病になってマンガが描けなくなりました』
大好きだったマンガが描けなくなった絶望と、そこから少しずつ回復していく過程を、著者は優しいタッチで描いています。

『うつを甘くみてました』
うつ病から双極性障害になった著者の、壮絶な闘病記。猫の擬人化マンガで読みやすいですが、自傷行為などの描写も。公的制度のリアルな申請体験も参考になります。

『うつ病九段』
プロ棋士がうつ病で休場し、現役復帰を果たすまでの軌跡。一流の勝負師でさえ無力になる病の怖さと、回復へのリアルな葛藤が、私たちの胸に迫ります。

『マンガでわかるうつ病のリアル』
うつ病の「あるある」や世間の誤解を、フルカラーのマンガで解説。当事者の「わかる!」が詰まっていて、あなたの心をそっと軽くしてくれるはずです。

(2) 【孤独でつらいあなたへ】「ひとりじゃない」と思える、心温まる物語
「この苦しみは、誰にもわからってもらえない」
そんな孤独感で胸が張り裂けそうになった時、物語の主人公たちが、あなたの隣にそっと寄り添ってくれます。
『ツレがうつになりまして。』シリーズ
バリバリのサラリーマンだった夫(ツレ)がある日突然うつ病になり、漫画家の妻(ハルさん)と二人三脚で病気と向き合っていく日々を描いたコミックエッセイ。映画化もされた名作で、3部作のシリーズになっています。

(3) 【少し前を向きたいあなたへ】回復のヒントが見つかる、知識と体験談
少し気力が湧いてきて、「自分の状態を客観的に知りたい」「回復のために、何かできることはないか」と考え始めたあなたへ。
知識と、同じ道を歩んだ仲間の体験談は、不安な心を照らす光になります。
『マンガでわかる認知行動療法』 / 『マンガでやさしくわかる認知行動療法』
うつ病治療の柱「認知行動療法」の基本を、マンガで学べる入門書。少し専門的ですが、回復期に読むと大きな学びがあります。

『うつを治す努力をしてきたので、効果と難易度でマッピングしてみた』
著者が試した34個もの対処法が「効果」と「手軽さ」で評価されている画期的な一冊。「患者目線の情報があまりに少ない」という問題意識に、強く共感しました。

(4) 【人間関係に疲れたあなたへ】「ぐるぐる思考」がふっと軽くなる処方箋
他人の言動に一喜一憂したり、頭の中で同じことを何度も考えてしまったり…。
うつ病の時は特に、人間関係のストレスが心に重くのしかかりますよね。
『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』
SNSや職場での人間関係の悩みを、可愛い猫のキャラクターが痛快に吹き飛ばしてくれるイラストエッセイ。タイトルがすべてを物語っています。

(5) 【自分の「繊細さ」と向き合いたいあなたへ】HSP気質を強みに変えるヒント
「もしかして、うつ病の背景にHSP(とても繊細な人)の気質があるのかも?」
もしあなたがそう感じているなら、その繊細さは、決して弱さではありません。
自分の特性を正しく理解することは、自分自身を守り、上手に付き合っていくための大きな一歩になります。
私自身、HSPという概念を知ったことで、長年の生きづらさの理由がわかり、心が楽になりました。
まず手に取ってほしいのは、この一冊です。
『「繊細さん」の本』
HSPの概念を日本に広めた第一人者による代表作。読み終える頃には、「どうしてこんなに疲れやすいのか」という長年の謎が、すっと腑に落ちるはずです。

さらに多くの本の中から選びたい、という方は、こちらの記事で8冊を比較解説しています。
まとめ:焦らないで、あなたのペースで「読むお守り」を見つけよう
今回は、うつ病当事者の私が本当に救われた本たちを、私の体験と共にご紹介しました。
今のあなたの心に響きそうな一冊は、見つかったでしょうか。
もし、読んでみて「合わないな」「疲れるな」と感じたら、すぐに本を閉じて大丈夫です。
大切なのは、本を読むことではなく、あなたの心が少しでも穏やかになることだから。
「読めない自分」を、決して責めないでくださいね。
焦らなくて大丈夫です。あなたのペースで、ゆっくりと。
この記事が、あなたの足元をそっと照らす小さな光となれば、これほど嬉しいことはありません。



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