「良くなってきたはずなのに、なぜか焦る…」うつ病回復期の”焦り”の正体と、心が軽くなる3つの心のヒント

「うつ病 回復期の焦り」に関する記事のアイキャッチ画像。「回復期の焦りは 実は、良くなるサイン」という大きな白いタイトルと共に、不安や混乱を象徴するもつれた灰色の糸が、希望を象徴する鮮やかな緑の双葉へと繋がるイラストが描かれています。
本記事には広告を含む場合がありますが、信頼できる情報の提供に努めています。

「良くなってきたはずなのに、なぜか以前のように動けない…」
「周りのみんなは前に進んでいるのに、自分だけが取り残されている気がする…」

うつ病の治療を経て、少しずつ心と体にエネルギーが戻ってくる「回復期」。
暗くて長いトンネルの出口がようやく見えてきたはずなのに、なぜか襲ってくる言いようのない「焦り」に、戸惑いを隠せない方も多いのではないでしょうか。

ご安心ください。
その焦りは、あなただけが感じているものではありません。
そして何より、それはあなたの心が「もっと良くなりたい」と前を向き始めている、大切なサインなのです。

この記事では、19年にわたってうつ病と付き合ってきた私が、回復期に特有の焦りの正体と、その波に飲み込まれず、自分のペースで着実に回復への道を進むための具体的なヒントを、体験談を交えてお伝えします。

読み終える頃には、焦りの正体がわかり、心が少し軽くなっているはずです。

なぜ?うつ病の回復期に「焦り」が生まれる3つの理由

回復期に焦りが生まれるのは、決してあなたの気持ちが弱いからではありません。
そこには、回復の過程で誰もが通りうる、ちゃんとした理由があります。

理由1: 心と体の回復スピードのズレ

一番大きな理由が、この「心と体の回復スピードのズレ」です。

休養によって体力が戻り、「少し動けるようになったぞ」と感じる時期。
しかし、心のエネルギー、例えば「集中力」や「判断力」「意欲」といったものは、体の回復よりも少し遅れて、ゆっくりと回復していきます。

頭では「あれもしたい、これもやらなきゃ」と思っているのに、心がまだついてこない。
このもどかしいギャップが、「思うように動けない自分」への焦りや苛立ちを生んでしまうのです。

理由2: 「できていた頃の自分」との比較

病気になる前の、バリバリ働けていた自分。
趣味や人付き合いを思う存分楽しめていた自分。

回復期には、ふとそんな「できていた頃の自分」の姿を思い出しては、現在の自分と比べて落ち込んでしまうことがあります。

「早く元の自分に戻らなければ」
「いつになったら、前みたいになれるんだろう」

過去の自分を基準にしてしまうことで、自分で自分に過剰なプレッシャーをかけ、焦りを増幅させてしまうのです。

理由3: 再発への無意識の不安

うつ病のつらい症状を一度経験したからこそ、心のどこかには常に「またあの状態に戻ってしまったらどうしよう」という再発への恐怖が潜んでいます。

この無意識の不安が、「順調に回復し続けなければいけない」「後戻りしてはいけない」という強迫観念のような焦りにつながることがあります。

少しでも調子が悪くなると「再発の兆候かも…」と過敏に反応してしまい、心が休まらなくなってしまうのです。

「焦り」の波に飲み込まれないための3つの心のヒント

では、この焦りの感情とどう向き合っていけばいいのでしょうか。
私が実際に試して効果があった、心が軽くなる3つのヒントをご紹介します。

ヒント1: 今日の「できたこと」にだけ目を向ける"スモールステップ記録"

焦っている時ほど、私たちの意識は「できなかったこと」に向きがちです。
そんな時こそ、意識的に「できたこと」に目を向ける練習をしてみましょう。

ポイントは、ハードルを極限まで下げること。

「今日は5分だけ散歩ができた」
「ベッドから起きて着替えができた」
「お昼ご飯をちゃんと食べられた」

こんな些細なことで構いません。
手帳やスマホのメモに今日の「できたこと」を一つだけ記録する。あるいは私のように、X(旧Twitter)のようなSNSに投稿するのもおすすめです。
これを続けると、「自分はちゃんと前に進めているんだ」という小さな自信が積み重なり、焦りが安心感に変わっていきます。

ヒント2: 「〜べき思考」を「〜でOK思考」に置き換える練習

「早く復職するべき」
「もっと家事をこなすべき」
「一日中寝ているべきではない」

こうした「〜べき思考」は、自分を追い詰める焦りの大きな原因です。
これは「認知の歪み」の一つで、無意識のうちに自分を縛り付けてしまう考え方のクセのようなもの。

もし「〜べき」という言葉が頭に浮かんだら、それを「〜でOK」という、自分を許可する言葉に置き換える練習をしてみてください。

(例)「早く復職すべき」 → 「今は休むのが仕事。自分のペースでOK」
(例)「もっと家事をこなすべき」 → 「今日は一つだけできれば上出来でOK」
(例)「一日中寝ているべきではない」 → 「心と体を休める必要があるんだからOK」

自分を縛るルールを一つひとつ緩めてあげることで、心はずっと自由になれます。
「考え方のクセ」については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

ヒント3: "自分だけの時間軸"を持つ意識

私たちはつい、他人や過去の自分と今の自分を比べてしまいます。
しかし、回復への道のりは、本当に人それぞれ。マラソンのように、決まったコースやペースがあるわけではありません。

比べる相手は、他人でも過去の自分でもなく、「1ヶ月前の自分」だけで十分です。

「1ヶ月前は、ベッドから起きるのもつらかったな」
「それに比べたら、今日は少しだけ気分がいいかもしれない」

そう思えたなら、あなたは間違いなく前進しています。
周りは気にせず、あなただけの時間軸で、あなただけのゴールを目指していきましょう。

【体験談】私が「再発の不安」とどう付き合ったか

ここからは、私の体験談をお話しさせてください。

私も回復期には、ひどい焦りと再発への不安に何度も飲み込まれそうになりました。

悲しい表情のななころ
ななころ
少し動けるようになったからって、焦って予定を詰め込みすぎたことがあったんです。「早く遅れを取り戻さないと!」って。でも、案の定すぐに心がガス欠を起こしてしまって、数日間寝込むことに…。「やっぱり私はダメなんだ」って、ひどく落ち込みました。

この失敗から、「回復期こそ、正しい休み方が大切なんだ」と痛感しました。具体的な休養の過ごし方については、こちらの記事で詳しく解説しています。

そんな失敗を繰り返す中で気づいたのは、「焦り」や「不安」という感情を、無理になくそうとしなくていい、ということでした。

微笑むななころ
ななころ
焦りや不安が出てきたら、「お、また来たな。それだけ良くなりたいってことだよね。大丈夫、ちゃんと進んでるよ」って、心の中で自分自身に声をかけてあげるようにしたんです。敵対するんじゃなくて、チームメイトとして認めてあげるような感覚ですね。

そうやって感情を客観的に眺められるようになってから、不思議と焦りの波に飲み込まれることが減っていきました。

波が来ても、「今はそういう時期なんだな」とやり過ごせるようになったのです。

まとめ:焦ってもいい。それも回復の一部だから。

焦りは“前に進もうとする心”の証

うつ病の回復期に焦りを感じるのは、あなたがそれだけ一生懸eqn、回復しようと前に進んでいる証拠です。
それは決して、悪いことではありません。

焦ってもいい。
不安になってもいい。

大切なのは、そんな感情を抱いている自分を責めないこと。
「今は焦っているんだな」と、その気持ちごと、今日の自分をまるっと認めてあげてください。

この記事でご紹介した3つのヒントが、あなたの心を少しでも軽くするお守りになれば、これほど嬉しいことはありません。

お気軽に感想をどうぞ

タイトルとURLをコピーしました