「うつ病で食事の準備ができない…」
「ちゃんとしなきゃ、と思うほど辛い…」
そんな罪悪感でいっぱいになっていませんか？
この記事は、栄養学の難しい話をするものではありません。
かつての私がそうだったように、「作れない」ことで自分を責めているあなたに、まず読んでほしいメッセージです。
食事を作れないのは、あなたの怠けや努力不足が原因ではありません。
脳の働きが低下することによって起こる症状の一つ、と考えられています。
まずは、その事実を受け入れることから始めましょう。
この記事を読めば、今のあなたにピッタリの「作らない」食事の選択肢が見つかり、心の負担がふっと軽くなります。
なぜ、うつ病になると食事を作れなくなるの？【体験談】
料理は「献立考案→買い出し→調理→片付け」という、実はとても高度なタスクの連続です。
脳のエネルギーが枯渇し、様々な機能が低下しているうつ病の時に、できなくなってしまうのは無理もないことなのです。
当事者の私が特に強く感じていた理由は、以下の3つです。
理由1: 思考力の低下
「何を食べたいか」ということすら、全く考えられなくなります。
レシピを見ても文字が頭に入ってこないし、冷蔵庫に何があるかを確認するのすら億劫でした。
理由2: 意欲・気力の低下
キッチンに立つためのエネルギーが完全にゼロの状態です。
お腹は空いているはずなのに、食べること自体が面倒に感じてしまい、一日中何も口にできないこともありました。
理由3: 身体的な倦怠感
体が鉛のように重く、腕を上げるのさえ一苦労。
包丁を握る、フライパンを持つといった、普段なら何気ない動作の一つひとつが、とてつもない苦痛に感じられました。
【症状レベル別】心の負担が軽くなる「作らない」食事のリアルな選択肢
ここからは、あなたの今の心と体の状態に合わせて、具体的な選択肢を3つのレベルに分けて紹介します。
「これならできそう」と思えるものから、試してみてください。
レベル1：生存優先フェーズ（ほとんど動けないとき）
ベッドから動くのも辛い、そんな時は「口に入れられたら100点満点」です。
罪悪感は一切必要ありません。
まずは生きるためのエネルギーを最優先で補給しましょう。
- ゼリー飲料（inゼリー エネルギーなど）
- 栄養調整食品（カロリーメイト、ソイジョイなど）
- プロテインバー、プロテインドリンク
- バナナ、カップのヨーグルト
私自身、最も症状が重かった時期は幸いにも家族のサポートがありました。ですが、「もし一人だったら…」と考えると、枕元にすぐ口にできるものを常備しておくことが、文字通り「命綱」になっただろうと痛感しています。誰にも頼れない状況なら、なおさら自分を守る工夫が必要です。
ポイント：枕元に「食の備え」を
可能であれば、少し調子の良い時にAmazonやネットスーパーでまとめ買いしておき、枕元やベッドサイドに常備しておくと安心です。
Amazonのネットスーパーで探す
レベル2：エネルギー補給フェーズ（少しだけ動けるとき）
コンビニやスーパーまで、なんとか歩いて行ける。
そんな時は「温めるだけ」「組み合わせるだけ」を合言葉にしましょう。
調理は一切しません。
- サラダチキン、焼き魚・煮魚のパック
- カット野菜、袋のサラダ
- 冷凍野菜、冷凍うどん・パスタ
- 納豆、豆腐、もずく酢
- レトルトのお粥、フリーズドライのスープ
- 【おすすめ】コンビニの「豚汁」や「具だくさんスープ」（これ1つで野菜と温かさが摂れます）
私が独身で一人暮らしをしていた時、少し動けるようになってからはコンビニに本当に助けられました。お弁当を買って、そこに納豆や温泉卵をプラスするだけでも、少しだけ自分を褒めてあげられた記憶があります。今は当時よりチルド惣菜も充実しているので、選択肢も増えていますよね。
【少し余裕が出てきたら】栄養について、頭の隅に
無理は禁物ですが、もし選べる余裕が少しだけあるなら、「タンパク質を含む食品を取り入れてみるのも一つの方法」と言われています。
サラダチキンや納豆、豆腐などの食品は手軽に選べますが、負担に感じるときは無理をする必要はありません。
まずは「食べられた」ということが、何よりも大切です。
レベル3：回復準備フェーズ（プロの力を借りるとき）
コンビニには行けるようになったけど、まだ献立を考えたり調理をしたりする気力はない。
そんな回復準備の段階で心強い味方になるのが、プロの力を借りられるサービスです。
それぞれの特徴を理解して、今のあなたの心と体の状態に一番合うものを選んでみてください。
1. 食事宅配サービス（冷凍弁当）
管理栄養士が監修した栄養バランスの整ったお弁当が冷凍で届き、電子レンジで温めるだけで食べられるサービスです。
これらのメリット・デメリットを踏まえると、このサービスは特に次のような方におすすめです。
こうした食事宅配サービスの中でも、特に有名なのが「nosh（ナッシュ）」です。
noshはすべてのメニューが糖質30g以下・塩分2.5g以下の栄養基準で、管理栄養士と一流シェフが開発しているのが特徴です。
「食事の準備はできないけれど、栄養面は気になる」という回復期において、「献立を考える」という思考の負担から解放してくれる、心強い選択肢の一つになります。
2. ネットスーパー・食材宅配
スマホやパソコンで注文した商品を、自宅の玄関先まで届けてくれるサービスです。
重いお米や飲み物、日用品までまとめて頼めるのが大きな魅力です。
これらのメリット・デメリットを踏まえると、このサービスは特に次のような方におすすめです。
代表的なサービスには、イオンネットスーパーやイトーヨーカドーネットスーパーなどがあります。イオンでは自社ブランド（トップバリュ）の商品も扱っており、価格を抑えやすいのが特徴です。
置き配に対応しているサービスも多く、人と顔を合わせずに受け取れるのも嬉しいポイントです。
3. ミールキット
献立に必要な分だけのカット済み食材と調味料がセットになって届き、簡単な調理（炒める、和えるなど）だけで食事が完成するサービスです。
これらのメリット・デメリットを踏まえると、このサービスは特に次のような方におすすめです。
Kit Oisix（オイシックス）やヨシケイといったサービスが有名です。
Oisixでは有機野菜や特別栽培の食材が使われ、20分で主菜と副菜が作れる手軽さが特徴です。
FAQ：うつ病の食事でよくある悩み
栄養バランスが偏りそうで心配です。
お気持ちはとてもよくわかります。
ですが、まずは「食べられること」が何よりも優先です。
栄養バランスは、元気になってから考えれば大丈夫。
どうしても気になる場合は、主治医や薬剤師に相談してみるのもひとつの手です。
食費がかさむのが気になります。
確かに、自炊に比べると宅配サービスなどは割高に感じられるかもしれません。
しかし、これはあなたの心と体を守るための「必要経費」であり、「未来の自分への投資」です。
公的支援制度などを活用して生活費の負担を減らすこともできるので、一人で抱え込まないでくださいね。
家族の分の食事が作れず申し訳ないです。どう考えれば楽になりますか？
ご家族に申し訳ないと感じてしまうお気持ち、とてもよく分かります。その優しい気持ちが、かえってご自身を追い詰めてしまっているのかもしれませんね。ですが、今あなたにとって一番大切なのは、治療に専念して少しでも早く元気になることです。それが、長い目で見ればご家族にとっても一番の安心に繋がります。
勇気を出して「食事を作れない」と正直に伝え、ご家族も一緒にレトルトや宅配サービスを利用するなど、“チームで乗り越える”という意識を持ってみてください。
まとめ
ゼリー飲料一つからでも、それは回復への大きな一歩です。
この記事では、うつ病で食事が作れずに悩んでいるあなたへ、心の負担を軽くするための現実的な選択肢をお伝えしてきました。
- 食事を作れないのは、病気の症状であり、あなたのせいではない。
- 今の自分を許し、症状レベルに合った「作らない」選択肢を頼ろう。
あなたは一人ではありません。
今日、この記事を読んで「これでいいんだ」と思えたことが、何よりの回復の証です。
自分を責めず、どうかゆっくり休んでください。
「休む」こと自体が辛いと感じる時は、こちらの記事がきっとあなたの心を軽くしてくれます。
この記事では「作れない」状況にフォーカスしましたが、食事と心の関係について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。
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