うつ病の治療でお休みしていると、「自分だけ時間が止まっているような気がする」——そんな瞬間に、ふと襲われることはありませんか。
「もう一度、働きたいな…」
そう思う気持ちとは裏腹に、心と体は思うように動いてくれない。
スマホで求人を眺めては、ため息と一緒に閉じてしまう。
そんな毎日が、何も変わらないまま過ぎていく…。
私も、ずっとそうでした。
特に、病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)さんから「就労支援」を勧められたとき、真っ先に感じたのは「怖さ」でした。
制度の入り口として、私がMSWさんに相談した時の体験談はこちらです。
そもそも、自宅の玄関のドアを開けることすら、大きな負担に感じていました。
そんな状態で、場に馴染めるのか、通い続けられるのか……。
うつ病当事者として自立訓練に1年間向き合い、現在は「休所」という選択をして社会との繋がりを温存している私が、作業を続けることが難しくなっていった日々の葛藤も含め、すべて正直にお伝えします。
これは、少し未来の私からの手紙です。
【準備の壁】外に出るための準備が、なぜこんなに重かったのか
私の場合、就労支援が怖かったのは、外出そのものだけでなく、髭を剃る、着替える、シャワーを浴びるといった準備の段階から、すでに心身に大きな負担がかかっていたからです。
通うことを検討した際、私は次のような不安を抱え、身動きが取れなくなっていました。
- 外出する準備の重さ:髭剃りや着替えが億劫で、前日にシャワーを浴びられていない日は、自分の匂いが気になってしまい外に出られなくなる。
- 不透明な緊張感:最初の頃は「行ったら具体的に何をするのか」が分からず、常に不安を抱えていた。
- 対人関係への不安:他の通所者は自分より若い人が多く、「うまくコミュニケーションがとれるだろうか」と心配だった。
午前中のわずか2時間という短いスタートでしたが、当時の私にとっては、その2時間がとてつもなく長く感じられたのを覚えています。

【私の選択】いきなり働くのは無理だから。私が「自立訓練」を選んだ理由
社会復帰を目指す福祉サービスには複数の選択肢がありますが、体調が不安定な段階だった私は、まず「起きる・通う・過ごす」に特化した自立訓練から始めるのが、自分に合っていると考えました。
福祉サービスには主に、以下のような性質の異なる4つの支援があります。
- 自立訓練生活リズムを整える「まずは安定して外出したい」方のための場所。(私が利用したのはこのサービスです)
- 継続支援B型自分のペースを優先する雇用契約を結ばず、無理のない範囲で作業を行い、工賃をもらいます。
- 継続支援A型支援を受けながら働く雇用契約を結び、給料をもらいながら、より実践的に働く場所です。
- 就労移行就職のスキルを学ぶ一般企業への就職を目指し、PCスキルや面接練習などを行います。
当時、私にはしばらく無職の期間が続いていたため、いきなり雇用契約を結んで働く「A型」に通うのは難しいと感じていました。
「B型」という選択肢もありましたが、少なからず作業が発生するため、どうしても責任が伴うプレッシャーを重く捉えてしまっていました。
そのため、まずは自立訓練で生活リズムを整えることから始めて、少しずつ体調に自信がついてからB型に移ろうという計画を立てました。
初日の個別面談を終えた後、他の利用者とのやり取りについて不安がありましたが、実際には他の人と深く関わる必要のない、非常に静かな場所だったのも、私にとっては安心材料となりました。
【葛藤の1年】週2回・2時間から始まったリハビリと、消えない「罪悪感」
私の自立訓練は、週に2回、午前中の2時間というペースから始まりました。
手先を使う細かな軽作業が苦手だったため、PC作業を希望したところ、職員さんが状況を汲み取って必要な作業を割り振ってくれました。
職員さんとは困ったときに話をすることができていたため、最初のうちは順調に進んでいました。
しかし、通い続けるうちに体調の波が押し寄せてきました。
前日の準備(シャワー)ができなかったこと、当日の体調の悪さ、「遅れて通所すること」への心理的な抵抗感が重なり、結果として「欠席」を選択する日が増えていきました。
私の通っていた事業所では、欠席する際は電話連絡がルールでした。
朝の電話口に、所長と職員(2名)の誰が出るかわからないことも、電話をする際の緊張につながりました。
電話をすれば優しく受け答えをしてくれましたが、受話器を置いたあとに「また休んでしまった」という罪悪感がありました。
【個室面談】プログラムが難しくなった私をすくい上げてくれた「避難所」
通所が不安定になり、作業を続けることが難しくなってきた私に対し、事業所側は別の選択肢を提案してくれました。
まず、「午前」だった通所時間を「午後」にずらしてはどうかと声をかけてもらい、それでも作業を行うのが難しい状態が続くと、今度は通常のプログラムを一度お休みして、事業所にいる「常駐看護師さんとの個別面談」に切り替えることを提案されました。
そこからしばらく、個室で体調や制度についての面談だけを行う時期が続きました。
個別面談では、自分の状態をゆっくり整理することができました。
何より、他の通所者の方の視線を気にする必要が全くない個室という空間は、当時の私にとって心が休まる大切な「避難所」でした。
【戦略的休息】「休所」は逃げではない。私が利用期間を温存して「ホッとした」理由
個室での面談で細く繋がりを保っていましたが、時期が冬になり、その面談すら休みがちになっていきました。
その段階で、職員さんから提案されたのが「休所」という選択でした。
自立訓練(生活訓練)には、原則2年間という「標準利用期間」があります。
私は、体調が悪くて通えないまま利用期間だけが過ぎていくことに焦りを感じていました。
職員さんからの提案を受け、私は休所という形で一度利用を一時中断することにしました。
休所を決めた瞬間、私の心の中にあったのは、罪悪感よりも「正直、ホッとした」という安堵感でした。
大学には「休学」があり、会社には「休職」があります。
同じように、福祉サービスにも「休所」という選択肢があり、一度立ち止まることが許されるのは、精神的に非常に大きかったです。
元気になったら、また戻っていける場所が残っている。
その事実が確認できただけで、当時の張り詰めていた気持ちがふっと軽くなりました。
現在も私は休所の状態を続けていますが、通院した際などに、その様子を職員さんにメールで報告するようにしています。
細い糸ではありますが、社会との繋がりを完全に切ってしまわないための、私なりの「今の訓練」です。
【選び方の本質】プログラムよりも「休みやすさ」と「確認ポイント」を見よう
事業所を選ぶ際、どうしても「どのようなカリキュラムがあるか」に目が行きがちです。
しかし、私の場合、体調に強い不安を抱えていた時期に特に大切だと感じたのは、プログラムの充実度よりも、「体調が悪い時に、どれだけ休みやすいか」でした。
見学の際には、以下のポイントを事前に確認しておくことをおすすめします。
これらは、私が実際に葛藤し、確認の必要性を痛感した項目です。
- 連絡方法:欠席連絡は電話のみか、LINEやメールでの送信でも受け付けてもらえるか(朝の電話に強い緊張を感じる方にとって、文字での連絡ができるかどうかは非常に重要なポイントです)。
- 遅刻の扱い:少し遅れて通所する場合、どのような扱いになるか(遅刻への抵抗感から、そのまま休んでしまうことを防ぐために事前に確認しておくと安心です)。
- 休みが続いた場合の対応:「体調が悪くて通えない日は、どのような対応になりますか?」と聞いてみてください。事業所が利用者を急かさず、どれだけ寄り添って待ってくれるかという姿勢が見えてきます。
まとめ:就労支援は、あなたの「止まり木」であっていい
私が利用した事業所は、私を無理に先へ進ませるのではなく、体調に合わせて通い方を変えたり、個室面談を提案してくれたり、最後には休所という選択肢も示してくれました。
私にとって、就労支援は「止まり木」のような場所でした。
今はまだ、動けなくても大丈夫。
焦って進まなくても、自分のペースで少しずつ歩んでいければ大丈夫です。
お金の不安を全体的に整理したい方へ





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