休めない罪悪感
「うつ病です。まずはお休みしましょう」
お医者さんにそう言われて、
ベッドに横になる、こころさん。
でも、心は少しも休まらない。
「みんな働いているのに」
「私がいないと迷惑が……」
黒くてトゲのある鎖のような罪悪感が、
心をぎゅうっと縛りつける。

鎖と涙
焦れば焦るほど、
鎖はきつく、きつく体に食い込んでくる。
「どうして、休むことって
こんなに苦しいんだろう……」
こころさんの瞳から、
ぽろりと涙がこぼれ落ちた。

一番大切なお仕事
涙の向こうに、
あの日の光景がよみがえる。
丸いめがねの先生が、
やさしく言った。
「焦らなくて、いいんですよ」

あなたにとって一番大切なお仕事です」

解放と眠り
「”お仕事”……そっか」
休むことは、逃げじゃない。
未来の自分のための、
今できる、たったひとつの大切なこと。
ぎゅっと握りしめていたこぶしを、
こころさんは、そっと開いた。

こころさんは、
深い、深い眠りに落ちていった。
夜明けの光のような、
やわらかな温もりに包まれながら。
VOICEVOX:小夜/SAYO





VOICEVOX:小夜/SAYO / Music: Til Death Parts Us
あとがき:この物語に込めた想い
最後まで物語に寄り添っていただき、ありがとうございます。作者のななころです。
「うつ病だから、休んでください」。お医者さんにそう言われて、素直に「はい、休みます」とベッドでぐっすり眠れる人は、ほとんどいません。私自身も休職した当初は、「みんなが忙しく働いているのに、私だけ休んでいていいのだろうか」「私のせいで職場に迷惑がかかっている」という強烈な罪悪感で頭がいっぱいになり、ベッドの中で焦りと涙に暮れる毎日でした。物語の中でこころさんを縛り付けていた「黒い鎖」は、当時の私を苦しめていた感情そのものです。
そんな私を救ってくれたのは、当時の主治医から言われた「今は、何もせずしっかり休むことが、あなたに与えられた唯一の仕事ですよ」という言葉でした。
その言葉で、私はハッとしました。「休むこと=サボり、逃げ」ではなく、「休むこと=回復するための積極的な治療(仕事)」なのだと、視点を切り替えることができたのです。
もし今、あなたが罪悪感に押しつぶされそうになりながらこの物語を読んでいるのなら、どうか自分を責めないでください。「休むのが怖い、申し訳ない」と感じてしまうほど、あなたは今日まで責任感を持って、限界を超えて頑張りすぎてしまっただけなのです。今はただ、ぎゅっと握りしめたこぶしを開いて、からっぽになることを自分に許してあげてくださいね。
「でも、やっぱり休むのがつらい…」
もしあなたがそう感じてしまうなら、大丈夫。
その理由と、心を軽くするための具体的なヒントを、こちらの記事にまとめました。





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