うつ病の人は精神障害者保健福祉手帳の制度は知っておいた方が良い

精神障害者手帳を持つべきか悩む方へ。メリット・デメリットを比較し、申請の流れを解説するアイキャッチ。 役に立つ制度
本記事には広告を含む場合がありますが、信頼できる情報の提供に努めています。

この記事でわかること

  • 精神障害者保健福祉手帳のメリット・デメリット
  • 受けられる支援やサービス(割引など)の具体例
  • 申請から取得までの具体的な流れと必要書類
  • 等級の目安や、よくある疑問への答え

精神障害者保健福祉手帳を手に入れることを考えているあなたへ。

「どんな良いことがあるの?」
「手続きってむずかしいのかな?」
「持っていることで、何か不利になったりしない?」

そんなあなたの不安や疑問に、この記事が一つひとつ丁寧にお答えします。

私自身もこの手帳(3級)を持っていて、その経験や、同じく手帳を持つ友人へのインタビューで聞いた「当事者のリアルな声」も交えながら、制度の全体像をどこよりも分かりやすく解説します。

そもそも精神障害者保健福祉手帳とは?

障害者手帳のシンプルなイラスト

精神障害者保健福祉手帳とは、うつ病や統合失調症、発達障害など、こころの不調が原因で、長いあいだ日常生活や社会生活に難しさを感じている方のために発行される手帳のことです。

あなたが社会に戻ったり、自分らしく生活したりするのを応援することが目的で、いろいろな福祉サービスを受けるための「証明書」のような役割を果たします。

ちなみに、障害者手帳には下の3つの種類があって、この記事では主に「精神障害者保健福祉手帳」について詳しくお話ししていきます。

障害者手帳の種類(横にスクロールできます)
身体障害者手帳 療育手帳 精神障害者保健福祉手帳
根拠法など 身体障害者福祉法 療育手帳制度について(通知) 精神保健福祉法
対象となる障害 視覚・聴覚障害、肢体不自由など 知的障害 統合失調症、うつ病などの気分障害、発達障害など
持っている人の数 5,133,000人 1,293,000人 1,379,000人

出典:厚生労働省 令和4年度 福祉行政報告例の概況

障害等級の目安

手帳には、症状の重さにあわせて1級(最も重い)から3級までの等級があります。

国が決めた基準は少し分かりにくいので、日々の生活の状況にあわせた目安を下にまとめてみました。

障害等級 判定基準の目安
1級 身の回りのことは、ほとんど誰かの助けが必要な状態。一人での外出はほぼむずかしい。
2級 日常生活には助けが必要な場面が多い。一人での外出はできるけれど、強いストレスを感じ、活動できる範囲は限られる。
3級 日常生活や身の回りのことは一人でできるが、状況によっては助けが必要。お仕事には制限がある。
ななころ
ななころ
2級と3級の違いは、少しむずかしく感じるかもしれません。これはよく言われることで、「自分は2級くらいかな」と思って手続きしても、3級と判断されるケースは少なくありません。最終的な等級は、お医者さんの診断書や役所の審査によって決まります。もし等級に納得できない場合は、不服申し立てという制度もあります。

メリット・デメリットをくらべてみよう

手帳を持つべきか判断するために、まずは良いところと、知っておきたい注意点を具体的に見ていきましょう。

メリット(受けられる応援) デメリット(知っておきたいこと)
【お金のサポート】

  • 公共料金・税金の割引や控除
  • 交通機関・携帯電話料金の割引
  • 公共施設の入場料割引 など
【こころの側面】

  • 「障害者」と自分を認めることへの葛藤
  • まわりの目が気になる場面があるかも
【お仕事のサポート】

  • 障害者雇用枠に応募できるようになる
  • ハローワークなどで専門的な応援を受けられる
【そのほか】

  • 2年ごとに更新の手続きが必要

メリットの詳細と当事者の声

経済的な負担がかるくなる

税金(所得税・住民税など)が安くなったり、公共料金の割引が受けられたりします。
また、お住まいの地域や会社によっては、いろいろな割引サービスが用意されています。

当事者の声:友人・とうふさん👩

一番のメリットは、お金のことです。
私の住んでいる地域だとバスの運賃が半額になります。
あとは携帯電話の基本使用料が安くなったり、水族館などの施設が割引になったり。
収入が安定しないとき、お金の心配はこころの負担になるので、とても助かります。

お仕事の選択肢が広がる

一般の会社で働くことを目指すとき、「障害者雇用枠」という特別な入り口から応募できるようになります。
これは手帳を持っていることが応募の条件です。
あなたのつらさに理解や配慮をしてもらいながら働ける環境を探す上で、大きな選択肢の一つになります。

当事者の声:友人・とうふさん👩

私が手帳をもらおうと思ったきっかけは、ハローワークで障害者雇用のお仕事を探そうと考えたからです。
手帳を持っていると、お仕事探しの幅が広がると思いました。

デメリットの詳細と当事者の声

こころの葛藤や、まわりの人との関係

手帳を持つということは、自分自身が「障害者である」と公に認めることでもあります。
これに、こころが少し抵抗を感じる方も少なくありません。
また、割引などを受けるときに、人の前で手帳を見せるのをためらってしまう場面もあるかもしれません。

当事者の声:友人・とうふさん👩

自分で持つと決めたものの、「障害者手帳を持っている=障害者」って自分で認めなきゃいけないのが、少しつらかったです。
あと、友達と水族館に行くときなど、受付で手帳を見せることになるので、病気のことを話していない相手だと使うのをためらってしまいます…。

2年ごとの更新手続き

手帳を使える期間は2年間です。
続けて利用したい場合は、2年ごとにお医者さんの診断書をもらって、更新の手続きをする必要があります。
期限が切れる3ヶ月前から手続きができます。

申請から受け取りまでの流れ【4ステップで解説】

STEP1. 主治医の先生に相談

まず、いつもかかっている精神科の主治医の先生に、手帳の手続きを考えていることを相談してみましょう。
申請にはお医者さんの診断書が必ず必要になるので、主治医の先生の協力が大切になります。

STEP2. 必要書類の準備

お住まいの市区町村の役所(障害福祉担当の窓口)で、申請の書類一式をもらいます。
主に下のものが必要です。

  • 申請書
  • 診断書(主治医の先生に書いてもらいます)※
  • あなたの顔写真(縦4cm×横3cm)
  • マイナンバーがわかるもの
  • 印鑑

障害年金をもらっている場合、年金証書のコピーなどで診断書がいらなくなることがあります。

STEP3. 窓口で手続き

準備した書類を、市区町村の担当窓口に提出します。
あなたのかわりに、ご家族などが手続きをすることもできます。

STEP4. 審査と受け取り

提出した書類をもとに審査が行われ、手帳が発行できると決まると、お家に手紙が届きます。
その手紙を持って窓口へ行き、手帳を受け取ります。
手続きをしてから手帳がもらえるまでは、だいたい1~2ヶ月くらいかかります。

最近は「ミライロID」も便利です

障害者手帳をスマホアプリで管理できる「ミライロID」というサービスも広がっています。
バスや電車、施設などで、手帳そのもののかわりにアプリの画面を見せて割引を受けられることがあるので、便利です。

よくある質問(Q&A)

Q. 会社やまわりの人に知られずに使えますか?

はい、基本的には知られません。
手帳を持っていることを、あなたから伝える義務はありません。
役所や病院には個人情報を守る厳しいルールがあります。
障害者雇用枠でお仕事を探さないかぎり、会社に知られることはありません。

Q. 障害者控除を申請すると、会社に知られますか?

はい、会社の年末調整で税金の控除(障害者控除)を申請した場合は、経理担当の方には知られます。
もし会社に知られたくない場合は、ご自身で確定申告をすることで、控除を受けることも可能です。

Q. 手帳をなくしてしまったら、どうすればいいですか?

大丈夫です、再発行できます。
お住まいの市区町村の役所の窓口で、再発行の手続きをしてください。
顔写真や身分証明書などが必要になることが多いので、事前に電話などで確認しておくとスムーズです。

Q. 一度もらったら、返すことはできますか?

はい、いつでも返せます。
症状が良くなって、もう手帳は必要ないなと感じたら、あなたの気持ちで市区町村の窓口に返すことができます。

Q. 更新手続きを忘れてしまったらどうなりますか?

有効期限が切れると、手帳は使えなくなり、いろいろなサービスも受けられなくなってしまいます。
でも、もしそうなってしまっても、もう一度新しく手続きをすれば、また手帳をもらうことはできますので、安心してください。

Q. 手帳を持っていると、就職や転職で不利になりますか?

一般の採用枠でお仕事を探すときに、手帳を持っていることを伝える義務はありません。
なので、持っていること自体が不利になることはありません。
むしろ「障害者雇用枠」という選択肢が増えるので、お仕事探しのチャンスは広がると言えます。

Q. 家族も割引などのサービスを受けられますか?

基本的には、割引やサービスは手帳を持っているあなた一人が対象です。
ただ、映画館や美術館など、場所によっては付き添いの人1名まで一緒に割引してくれることもあります。

まとめ:あなたらしい選択のための「お守り」として

精神障害者保健福祉手帳は、国や社会からの応援を受けながら、安心して治療や生活を送るための、とても大切な制度です。
お金の心配が少し軽くなったり、障害者雇用という新しい働き方の道が開けたりと、たくさんのメリットがあります。

一方で、当事者だからこその、こころの葛藤が伴うことも、また事実です。

手帳は、だれかに強制されて持つものでは決してありません。
この記事で知ったことをもとに、主治医の先生や信頼できるご家族とよく相談して、あなた自身が「持っていたいな」と思えたなら、その時が手続きをするタイミングです。

これからのあなたの人生を支える、心強い「お守り」の一つとして、この制度を考えてみてはいかがでしょうか。
私が実際に手帳をもらってから、どんな風に使っているかという具体的な流れは、こちらの記事で詳しくお話ししています。

https://nana-coro.com/mental-handbook-experience/

お気軽に感想をどうぞ

  1. 初めまして。
    うつ病youtuberのぺぇすけです。
    私も今うつ病で働かない状況なので
    障害者手帳申請を迷っていました。
    しかし、この記事を読み、申請しようと決意できました。
    分かりやすく、また読んでいて
    安心感をもてました。
    ありがとうございます。

    今後も読んでいきますので、
    頑張ってください!

    • ぺぇすけさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
      障害者手帳の申請する際の参考になれたのであれば嬉しいです。
      文章の書き方には細心の注意をしていますが、それが伝わってよかったです。
      まだ駆け出しブロガーですが記事をどんどん更新していきますので、ぜひまた見てきて下さいね♪
      ぺぇすけさんはYouTubeされてるとのことなので、あとで動画観に行きますね。