【書籍レビュー】うつを甘くみてました&家族もうつを甘くみてました

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「うつを甘くみてました」の書籍レビュー

書籍の情報

  • タイトル:うつを甘くみてました#拡散希望#双極性障害#受け入れる#人生
  • 著者:ブリ猫。
  • 形式:漫画
  • 出版日:2018年8月10日
  • 出版社: ぶんか社
  • ページ数:224ページ
  • 読了目安時間:1時間30分

あらすじ

夫の不貞がきっかけで、うつ病を発症。 そして双極性障害となり、はや十数年がたった…。 双極性障害は躁とうつが入れ替わる心の病。 きっかけも症状も、ホントにさまざま。 この本は“病気克服の成功体験本”にあらず! あくまでも、あくまでもイチ事例書。 ただこの『うつ甘』を読むと… 【その1】安心できる! うつ病の肯定、サポートする患者家族の視点 【その2】学べる! ヘルプマーク、自立支援医療制度、障害年金…etc. 【その3】繋がれる! 読者が書籍そのものに書き込み、それをSNSでつぶやいたり拡散したくなる仕様 ※ぜひ本書はSNSで「#うつ甘」でつぶやいてください♪

出典:ぶんか社 うつを甘くみてました

読んでみた感想・書評

著者(ブリ猫。さん)の冒頭のあいさつにも書かれていますが、これはうつ病から双極性障害へなった一人の闘病記であり、うつ病の治療法が書かているものではありません
また、一般的に表現されるうつ病(大うつ病性障害)より、双極性障害の方がメインであるため、タイトルから誤解される方もいると思いますので、あらすじをご覧下さい。

形式は猫の擬人化の漫画なので、長い文章が読むのがつらい人にも読みやすいです。
ページ数は多いですが、ゆっくり読んでも2時間ほどで読み切れます。

また、著者はもともとpixivで漫画を掲載していましたが、150万PVの人気が出て出版に至りました。
そして、タイトルにもある通り、本の内容をスマホで撮影してSNSにアップして拡散してほしい、という現代ならではの面白いスタイルを取っています。
また、各章のタイトルもハッシュタグ(#)にしており、SNSを強く意識しているのがわかります。

著者は夫の浮気がきっかけでメンタル疾患となり、そこから壮絶な闘病生活が始まります。
症状が悪化していくにつれて、自傷行為・OD(大量服薬)・自殺企図じさつきとなどの過激な描写も描かれているのでびっくりしましたが、私にも思い当たる節があるので、理解できる部分でした。
逆にメンタル疾患に理解がない人にはちょっと過激な内容かもしれません。

あらすじにもありますが、家族でどのようにサポートすればいいのかの実例やヘルプマークや自立支援医療制度、精神障害者保健福祉手帳、障害年金の実際の申請体験が紹介されていますので、制度自体知らない人や利用を検討している人には有益な情報になります。

最終的には「受け入れる」という表現をしてますが、結局メンタル疾患の「治る」とはどういうことなのか。
それを著者が持論で語っています。

共感ポイント

実は私はツイッターのあるアカウントでブリ猫。さんと繋がっているので、ツイートは日々拝見しています。
かわいらしい猫の写真やメンタル疾患のニュースまで幅広くツイートされています。

本の内容についてですが、初期の頃のうつ病の診断のときの「不安神経症」「強迫性障害」「広場恐怖」「予期不安」については私も当てはまる部分があったので、共感ポイント!
これは本人にしかわからないつらさです。今まで当たり前にできていたことが、ある日を境に突然できなくなって、それが続いてしまう。
自分が別人に変わってしまったんではないか、元の自分に戻りたいと私も一時期思っていました。

私のブログでも紹介していますが、ヘルプマークや自立支援医療制度、精神障害者保健福祉手帳、障害年金などの制度は認知度がまだ低いですので、積極的に発信してくれていることに共感ポイント!
制度というのは知らなければ何の意味もないですからね。
しかも実体験を紹介してくれていますので、貴重な体験談だと思います。

読む人のメンタル疾患への理解度によって受け取り方が変わる一冊ですが、私はうつ病から双極性障害になった一人の闘病記として読んでよかったと思います
最終的には安心して終わる結末ですのでご安心を。

「家族もうつを甘くみてました」の書籍レビュー

書籍の情報

  • タイトル:家族もうつを甘くみてました#拡散希望#双極性障害#受け入れる#人生
  • 著者:ブリ猫。
  • 形式:漫画
  • 出版日:2020年1月10日
  • 出版社: ぶんか社
  • ページ数:160ページ
  • 読了目安時間:1時間30分

あらすじ

「こんなボロボロになるまで、なぜ相談してくれなかったんだ…?」 ブリ猫。父は定年間近でもバリバリ働き、娘・ブリ猫。は二人目の子供を出産したばかり。 公私ともに順風満帆! …のはずだった。 ある日、ブリ猫。が意識混濁で緊急搬送されたことで、初めて娘が”精神科”にかかっていること、 薬を大量に飲んでOD(オーバードーズ)したことを知り……!? 「何が原因?」「うつ?」「心の病気?」わからないことだらけだけど、 患者とその家族が”双極性障害”を受け入れて生きていく……その半生を描いた感動の実録エッセイ!

出典:ぶんか社 家族もうつを甘くみてました

読んでみた感想・書評

2018年に発売され反響を呼んだ「うつを甘くみてました」。
2020年に続編が発売されたので、最初はその後が描かれているのかと思いましたが、実はこの本は患者目線ではなく、患者の家族目線で書かれた体験談です。
患者本人が闘病体験を出版することは最近増えてますが、患者の家族の視点から描かれる本というのは私が知る限り初めてです。

映画やドラマに言い換えれば、主人公が中心に描かれたエピソード1に続き、別の人物から描かれるスピンオフとも言えるのではないでしょうか。

内容はあらすじにもある通り、主人公は著者のお父さん(ブリ猫。父)です。
時系列は「うつを甘くみてました」とほぼ同じですが、父目線でストーリーが進行していきます。
なので、この本を読む前には前作を読んでからがいいですね。

この本は患者本人だけでなく、ぜひサポートする側の家族(両親、配偶者、子供など)や友人に読んでほしいです
支える側がどういうことで悩んできたか、何を工夫したか、どう乗り越えようとしたかが具体的にリアルに紹介されています。
また、ブリ猫。さんは双極性障害ですが、これはうつ病(大うつ病性障害)や他のメンタル疾患に置き換えても得られるものが多いです

工夫してきた点の1つに「心の交換メモ」が紹介されています。
「今の感じ」「やってほしいこと」「連絡事項」が書かれた一枚のメモです。
これを家族はコミュニケーションとして活用しています。
体調が悪い時は話すことはもちろん、文章を書くことすらできません。
このメモは◯(丸)で囲むだけで完結するようにできています。
本書に付録が付いているので、活用してみてはいかがでしょうか。

前作同様に、自傷行為・OD(大量服薬)などの描写があるので、家族や友人に読んでもらうには、ある程度の覚悟が必要になります。
ブリ猫。さんの場合は家族に恵まれて理解されていきますが、メンタル疾患に理解のない人には受け入れられない心配もあるので、そこが注意点です。

共感ポイント

著者は診断され体調が悪化しても最初は家族に隠しています。
それは心配をかけないためです。
そして、あることがきっかけで両親に病気のことを打ち明け、理解されたくて病気の解説本を読んでほしいと頼むシーンがあります。
実は私も全く同じことを過去に経験しており、共感ポイント!

家族からすれば「なんでもっと早く言ってくれなかったんだ」と思いますが、実際に病気になると心配かけたくないと思ってしまいます。
特にすでに結婚していて、一緒に住んでなければなおさらです。

コラムの中の「病気を理解するの一番必要だったのは時間」。
情報を調べて知識を得たとしても、それは正確な理解とは言えず、長い年月での体験が理解へと繋がったようです。
また、お父さん自身の物の捉え方が変わったと言っています。
これはメンタル疾患を抱えた家族の本心ではないでしょうか。

最後のインタビューのシーンで
「幸せになりました的な終わりはやめてほしい」
とあります。
この意味は、本のタイトルにもある「受け入れる」とはどういうことがわかります。

家族目線の体験談を読んだことで、私も自分の両親がこういうことを考えていたのかなぁとふと思いました。
ある家族の一つの事例ですが、読んでみてよかった一冊です。

お気軽に感想をどうぞ

  1. いつも、ありがとうございます。
    今日応援させていただきました。

    本もいろいろ出版されているんですね。
    私も昔、少し読みました。
    白隠禅師「夜船閑話」、佐藤幸治「心理禅」、
    D・カーネギー「道は開ける」などを覚えています。
    森田療法の本なんかも読みました。

    • Taniさん、コメントありがとうございます。

      うつ病に関するものだけでも、本当にさまざまな本が出版されていますね。
      むしろ、最近増えている気がします。それだけ悩んでいる人が多いってことですかね…

      Taniさんは色んな本を読まれているんですね。
      森田療法は私は概要しか知らないのでぜひとも読んでみたいと思っています。