「もしかして、うつ病かも?」と感じたら|体験談でわかる こころ・からだ・行動の3つのサイン

うつ病のサインについて解説する記事のアイキャッチ画像。「なんだか、自分じゃないみたい…」というコピーと、頭に靄がかかった男性のイラスト。 うつ病を知る
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この記事でわかること

  • うつ病の「本当のつらさ」と「誤解」
  • 自分や周りが気づきやすい「3つの変化」
  • うつ病経験者の「生々しい体験談」
  • 心が少し軽くなるための、最初の小さな一歩

「最近、何だか自分じゃないみたい…」
「笑い方を忘れてしまったような気がする…」

そんな、言葉にしにくいモヤモヤとした不安を抱えて、ここにたどり着いてくれたのかもしれません。
わかります。
その正体不明の不安は、本当に心細いですよね。

この記事では、かつて同じように暗いトンネルの中にいた私が、うつ病のサインについて、体験を交えながら正直にお話しします。
これは診断をするためのものではありません。
ただ、あなたのその不安の正体を少しだけ言葉にして、心を軽くするための「あたたかい手紙」だと思って読んでみてください。

もし文字を読むこと自体がつらいと感じたら、無理はしないでくださいね。
こちらのイラスト解説が、少しでもお役に立てるかもしれません。

うつ病は「心の弱さ」じゃない。脳のエネルギー切れです

うつ病は、よく「こころの風邪」と言われますが、私はこの言葉があまり好きではありません。
「誰でもなるけれど、少し休めばすぐに治る」というような、軽い誤解を生んでしまうからです。

うつ病は、根性や気合いで乗り越えられるものではありません。
厚生労働省も、うつ病は脳の機能的な問題だと説明しています。

脳のエネルギーが欠乏した状態であり、それによって憂うつな気分やさまざまな意欲の低下といった心理的症状が続くだけでなく、さまざまな身体的な自覚症状を伴うことも珍しくありません。

出典:厚生労働省 こころの耳「うつ病とは」

車がガス欠になったら走れないように、脳もエネルギーが切れたら正常に働けなくなります。
つまり、うつ病は「心の弱さ」ではなく、誰にでも起こりうる「脳のエネルギー切れ(ガス欠)状態」なのです。
だから、自分を責める必要はまったくありません

もしかして? こころ・からだ・行動に現れる「3つの変化」

私の場合はそうでしたが、うつ病のサインは、ある日突然やってくるというより、静かに、じわじわと日常を侵食してくるような感覚でした。
ここでは、そのサインを「こころ」「からだ」「行動」の3つの側面に分けてご紹介します。

1. こころの変化(精神症状)
  • 理由もなく気分がひどく落ち込む、涙もろくなる
  • 今まで好きだったことに興味がわかない、楽しめない
  • 何事にも不安を感じ、常に焦ってしまう
  • 集中力が続かず、考えがまとまらない
  • 自分はダメな人間だと、いつも責めてしまう
2. からだの変化(身体症状)
  • 「鉛の鎧を着ているように」体が重く、常にだるい
  • 夜眠れない、または逆に一日中眠りすぎてしまう
  • 食欲が全くない、または食べ過ぎてしまう
  • 頭痛、めまい、動悸、吐き気、肩こりなどが続く
3. 行動の変化
  • 仕事や約束の時間に遅刻することが増える
  • 服装や髪型など、身だしなみが整えられなくなる
  • 仕事や家事で、これまでしなかったようなミスが増える
  • 人と話すのが億劫になり、口数が減る
  • ささいなことでイライラし、物に当たったり家族にきつく当たったりする

特に「夜眠れない」といった悩みは、うつ病と睡眠障害の関連性も考えられます。

これはあくまで一般的なサインです。
すべて当てはまらなくても、全く心配いりません。
人それぞれ、サインの現れ方は違いますからね。

【体験談】順風満帆だった私が「自分じゃなくなっていく」まで

今思えば、私にも「3つの変化」は確かにありました。
でも、渦中にいるときは、それが病気のサインだなんて、全く気づけなかったのです。

当時は新婚で、仕事も順調。
友人からも祝福され、公私ともに順風満帆な生活を送っていました。
まさか自分が、と思うでしょう? 私もそうでした。

気づけなかった「こころ」の変化

一番最初に訪れたのは、たぶん「こころ」の変化でした。
あれほど好きだったゲームをしても、映画を見ても、心がまったく動かない。
感情のスイッチが壊れてしまったみたいに、ただ時間が過ぎていくだけ。

ななころ
ななころ
「楽しい」って、どういう気持ちだっけ…? 本気でそう考えていました。

でも、当時は「疲れているから」と自分に言い聞かせ、周りには平気なフリをしていました。
「心配や迷惑をかけたくない」「弱い人間だと思われたくない」という見えないプライドが、自分の心の悲鳴にフタをしてしまっていたのです。

目に見えてきた「行動」の変化

心の変化にフタをし続けていると、次に行動に現れ始めました。
深夜までの残業と慣れない家事。
思考にはいつも濃い霧がかかっているようで、簡単な判断すらできません。
その結果、仕事でのミスが増え、朝起きられずに遅刻を繰り返すようになりました。
「しっかりしなきゃ」という焦りだけが心を空回りさせ、状況は悪化する一方でした。

限界を知らせる「からだ」の変化

そしてついに、体が強制終了のサインを出してきました。
夜は目が冴えて眠れず、朝は鉛の鎧を背負わされたように起き上がれない。
体が動かない自分を責め、眠れない夜は将来への不安に押しつぶされそうになる。
この頃には、もう自分の力ではどうすることもできませんでした。

信頼していた会社の先輩の勧めで病院に行き、「うつ病」と診断されたとき、正直ほっとしたのを覚えています。
「気のせいじゃなかったんだ」「休んでいいんだ」と。
もっと早く病院で相談していれば、と後悔もしましたが、これが私の回復への第一歩でした。

大丈夫。あなたは一人じゃありません

もし、あなたが今、この記事で紹介したような変化に心当たりがあるのなら、きっとすごく不安ですよね。
でも、忘れないでください。
それはあなたの心が弱いからではありません。
少しだけ脳のエネルギーが切れてしまっているだけです。

そして、あなたは一人じゃありません。
かつての私のように、今この瞬間も、同じように見えない不安と闘っている人はたくさんいます。SNSの闘病垢で、その存在を感じられるかもしれません。

「病院に行くのは怖い」「誰に相談すればいいかわからない」
そう思うのは、当然のことです。
焦る必要はまったくありません。
まずは、今日一日をなんとか乗り切った自分を、少しだけ認めてあげることから始めてみませんか。

もし、ほんの少しだけ前に進む元気が湧いてきたら、そのときは回復までの道のりをぼんやりと眺めてみるのもいいかもしれません。
「ああ、こういう風に進んでいくのか」と知るだけで、少しだけ霧が晴れるような気持ちになれるはずです。

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