- うつ病などのメンタル疾患で治療中である
- 経済的に困っていて公的制度を活用したい
やおこさん、障害年金って聞いたことある?
なんとなく名前だけは…。
でも年金制度って複雑だからよく知りません。
重度のメンタル疾患の人にとっての「1つの選択肢」として知っておいてほしいので調べてみたよ。
障害年金とは何か
国民年金法、厚生年金保険法などに基づき、病気や怪我で障害がある状態になった人に対して支給される公的年金です。
年金って、ちゃんと納めて仕事を勤めあげた世代が貰えるものじゃないの?
通常はそうなんだけどね。
この障害年金制度は本当に複雑なので、なるべくわかりやすく説明するね。
障害年金の種類は2つある
障害基礎年金
初診日が国民年金加入中の人が対象です。
自営業者、農業者、漁業者、専業主婦、専業主夫、学生、フリーター、無職など
障害厚生年金
初診日が厚生年金加入中の人が対象です。
会社員、公務員など
障害年金の申請には初診日が重要
障害年金の申請には初診日(障害の原因となる病気や怪我で初めて医師の診療を受けた日)が認定基準の1つとなります。
その際に、どの公的年金制度に加入していたかによって、受けられる条件が異なってきます。
また、初診日から1年6ヶ月経過した日(障害認定日)以降に申請ができるので、初診日が確定していなければいけません。
障害年金の受給要件(どんな人がもらえるの?)
障害認定日において障害等級1級、2級、3級に該当する程度の障害の状態にあることです。
どのような病気や怪我が該当するのかはさまざまですが、障害により生活や仕事などの制限の度合いにより認定基準が変わります。
障害等級の分類
障害年金と障害等級の分類は複雑ですので表で説明します。
障害等級 | 初診日が国民年金加入者 | 初診日が厚生年金加入者 |
---|---|---|
1級 | 障害基礎年金 | 障害基礎年金 障害厚生年金 |
2級 | 障害基礎年金 | 障害基礎年金 障害厚生年金 |
3級 | なし | 障害厚生年金 |
3級より軽い | なし | 障害手当金 |
障害年金を受給するための必須条件!
大きく分類すると3つです。
言い換えると、この3つのすべてを満たせないと受給はできません。
- 初診日が証明できること
- 一定の障害の状態と認められること
- 保険料納付要件を満たしていること
1.初診日が証明できること
障害年金において初診日は重要です。
最初に受診した病院にいまも通院していれば問題ないのですが、転院などを繰り返した場合は、さかのぼってその書類を用意する必要があります。
2.一定の障害の状態と認められること
一定の障害状態であることは、当然のことですね。
年金を受給するのですから、その判定は慎重に行われます。
3.保険料納付要件を満たしていること
これは過去の年金納付状況で決まります。
以下の2つのどちらかを満たしてないといけません。
- 初診日の月の前々月までの年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
- 初診日において65歳未満であり、初診日の月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと
少しわかりづらいので、OKパターンとNGパターンを例にします。
- 初診日が20歳未満で納付義務がない場合
- 初診日30歳(加入期間が120ヶ月として)でAを満たしている場合
- 加入期間:120ヶ月で2/3である80ヶ月以上を納付または免除している場合
- 初診日30歳(加入期間が120ヶ月として)でBを満たしている場合
- 過去1年間(正確には初診日の月前々月までの1年間)に未納がない場合
- 初診日30歳(加入期間が120ヶ月として)でAとBの両方を満たしていない場合
- 加入期間:120ヶ月で2/3である80ヶ月の納付または免除が足りない(Aを満たさない)
- 過去1年間(正確には初診日の月前々月までの1年間)に未納がある(Bを満たさない)
- 初診日が65歳以上の場合(一部、例外はあります)
NGパターンで考えられるのが、20歳になったあとに年金の未納が多く、かつ会社を退職したあとに国民年金を支払わず、過去1年間に未納がある場合などです。
障害年金の金額(いくら受給できるの?)
障害基礎年金か障害厚生年金により異なります。
また家族構成によって決まります。
障害等級 | 障害基礎年金 | 障害厚生年金 | 障害手当金 |
---|---|---|---|
1級 | 月額 81,427円+子供の加算(※1) | 報酬比例の年金×1.25 配偶者加給年金(※2) |
なし |
2級 | 月額 65,141円+子供の加算(※1) | 報酬比例の年金 配偶者加給年金(※2) |
なし |
3級 | なし | 報酬比例の年金 (最低保証 月額 48,858円) |
なし |
3級より軽い | なし | なし | 報酬比例の年金の2年分 (最低保証 1,172,600円) |
※1 子供の加算:第一子、第二子(月額 18,741円)、第三子(月額 6,250円)
※2 配偶者加給年金:月額 18,741円
報酬比例の年金は厚生年金の加入期間や収入によって異なります。
うつ病と障害年金について
うつ病でも障害年金を受給できるの?
うつ病というメンタル疾患で障害年金は受給できるのでしょうか。
身体的な怪我や病気と違って目に見えない部分が多く障害認定基準がどのように判断されるかはいくつかポイントがあります。
- いまの症状のみでの認定は不十分であり、症状の経過や日常生活などの状態が考慮されます
- 別の精神疾患が併発しているときは、併合認定は行われず、諸症状を総合的に判断されます
- 日常生活能力の判定では、身体的・精神的機能を考慮のうえ、社会的な適応性状況が判断されます
- 働いている場合は、その療養状況の考慮と、仕事の種類や就労状況、援助内容、従業員との意思疎通の状況など確認して日常生活能力を判断されます
うつ病の場合は病状だけでなく、療養状況、生活環境、勤労状況など総合的に判断されます。
申請すれば確実に認可されるわけではないようです。
まずは、ご自分の病状や生活状況などを見て、必要な人は主治医にまず相談してみましょう。
自分で申請することも可能ですが、提出する資料の準備にかかる負担は大きいため、専門家である社会保険労務士に相談するのも選択の1つです。
うつ病で障害年金を受給している人の人数は?
2011年のデータで少し古いですが、全受給者が約195万人で、その中で精神障害は約32万人です。
身体的な病気や怪我などさまざまな理由で受給している方がいますが、傷病別だと実は精神障害が一番多いようです。
精神障害といってもさまざまなメンタル疾患がありますので、うつ病の内訳が何%なのかは厚生労働省には掲載されていません。
うつ病をはじめとするメンタル疾患の受給の認可率は現実的には厳しい数値です。
理由としては、外見からは見えない疾患であり、判断する数値となる根拠を判断するのが簡単ではないからです。
精神障害者保健福祉手帳との関係性は?
障害年金と精神障害者保健福祉手帳は全く別の制度で、審査する機関が違います。
障害者手帳の等級が障害年金の等級になるわけではないですが、審査する際の判断材料にはされるようです。
うつ病の人の障害年金制度という1つの選択肢のまとめ
ここでは、障害年金制度という存在があるということを紹介しました。
病気が長期化して、働くことや日常生活に支障が出るほど重症化しているような場合は、1つの選択肢として知っておいてほしいです。
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