うつ病の障害年金|申請から受給までの流れをモデルケースで徹底解説

「うつ病の障害年金申請ガイド」のアイキャッチ。キャラクターが申請の流れを示すチェックリストを持ち、希望を象徴する灯台を指し示している。もう迷わない、申請への第一歩を伝えるイメージ。 役に立つ制度
本記事には広告を含む場合がありますが、信頼できる情報の提供に努めています。
傷病手当金の期間満了が近づき、次の生活の支えを探しているあなたへ

「傷病手当金がもうすぐ終わってしまう…でも、まだ働ける自信はない」
「この先、どうやって生活していけばいいんだろう…」

出口の見えない不安の中、あなたは今、必死に情報を探しているのかもしれません。

大丈夫です。
この記事では、複雑な制度をわかりやすく解説するため【モデルケース】を用いて、障害年金の申請の流れや注意点を一緒に整理していきます。
未来の安心のために、まずは第一歩を踏み出しましょう。
※この記事は個人の体験談ではなく、制度をわかりやすくお伝えするためのモデルケースです。

まず確認したい、障害年金受給で大切になる3つのポイント

障害年金の申請を考える上で、大切になる3つのポイントがあります。

  1. 初診日が証明できること
  2. 一定の障害の状態と認められること
  3. 保険料納付要件を満たしていること

「なんだか難しそう…」と感じたかもしれませんね。
でも、一人で抱え込む必要はありません。
もし、あなたがこれらのポイントを満たせそうなら、次のモデルケースはきっとあなたの道しるべになります。

実際にうつ病で休職しているAさんが、障害年金を申請して受給に至るまでの流れを、会話形式で一緒に追ってみましょう。

【モデルケース】障害年金の申請から受給までの流れ

<モデルケース:Aさんの状況>

  • 35歳・会社員(厚生年金に加入中)
  • うつ病の初診日から2年が経過
  • 会社を1年4ヶ月休職し、傷病手当金を受給中
  • 主治医からは、まだ治療に専念すべきと言われている
Aさん
Aさん
ななころさん…実は、傷病手当金があと2ヶ月で終わってしまうんです。まだ復職は難しい状態で、これからどうしたらいいか不安で…。
ななころ
ななころ
Aさん、お辛い状況ですね。傷病手当金の受給が終わった後の生活を支える制度として「障害年金」があります。今回はAさんの状況に合わせて、申請の流れを具体的に見ていきましょう。

Step 1:障害年金申請の準備編 - まず何から始める?

ななころ
ななころ
焦らなくて大丈夫ですよ。最初にやるべきことは2つです。まずはお住まいの地域を管轄する「年金事務所」に電話をして、相談の予約を取りましょう。その際に、Aさんの状況(初診日や年金の納付状況など)を伝えると、必要な書類を教えてくれます。
Aさん
Aさん
障害年金…名前は聞いたことがあります。でも、何から手をつけていいのか全く分かりません。

Step 2:障害年金の必要書類と“つまずきポイント”

ななころ
ななころ
申請で特に重要になるのが、「診断書」と「病歴・就労状況等申立書」です。特に診断書は、主治医に現在の状態を正確に伝えて書いてもらう必要があります。
Aさん
Aさん
診察の短い時間で、うまく伝えられるか不安です…。それに、自分で病状を書く書類なんて、どう書けばいいのか…。
ななころ
ななころ
その不安、とてもよく分かります。ポイントは、事前にメモを準備することです。「日常生活で何が、どのくらいできないのか」を具体的に書き出して主治医に見せると、伝わりやすいですよ。申立書も、家族や病院の相談員と一緒に整理しながら書くのがおすすめです。

Step 3:申請・審査編 - 書類の提出と“不安な期間”の過ごし方

ななころ
ななころ
お疲れ様でした!大きな一歩ですね。ただ、ここから審査結果が出るまで、だいたい3ヶ月から4ヶ月ほどかかります。この期間、連絡が来なくて不安になる方も多いんですよ。
Aさん
Aさん
なんとか書類を全部揃えて、年金事務所に提出してきました。そんなに時間がかかるんですね…。「もし不支給になったらどうしよう」って、毎日考えてしまいそうです。
ななころ
ななころ
そのお気持ち、よく分かります。この期間は「やるべきことはやった」と考えて、意識して心穏やかに過ごすことが大切です。体調を整えることに集中して、結果を待ちましょう。

Step 4:結果通知・受給開始編

Aさん
Aさん
ななころさん!自宅に分厚い封筒が届いて、「年金証書」という書類が入っていました!これで少し、お金の心配をせずに治療に専念できます。
ななころ
ななころ
Aさん、良かったですね!無事に障害厚生年金3級の受給が決定したんですね。申請、本当にお疲れ様でした。
Aさん
Aさん
はい!初回の振込はいつ頃になるんでしょうか?
ななころ
ななころ
年金証書が届いてから、だいたい50日以内に最初の年金が振り込まれますよ。その後は2ヶ月に1回、偶数月の15日に定期的に振り込まれます。

これでAさんは、経済的な基盤を整え、安心して治療に専念できるようになりました。

【補足】等級と金額の目安

ななころ
ななころ
参考までに、障害年金で受け取れる金額の目安も見ておきましょう。受給額はこれまでの収入や家族構成によって大きく変動するので、あくまで目安として捉えてくださいね。
障害年金の金額(2024年度版・年額目安)
障害等級 障害基礎年金 障害厚生年金
1級 約102万円 +子の加算 報酬比例の年金額)× 1.25 + 配偶者の加給
2級 約81万円 +子の加算 報酬比例の年金額)+ 配偶者の加給
3級 なし 報酬比例の年金額)※最低保証額 612,000円

※金額はあくまで目安です。子の加算や配偶者の加給、個人の報酬額によって変動します。

障害年金のよくある疑問(Q&A)

Q. 精神障害者保健福祉手帳を持っていないと申請できませんか?
A. いいえ、手帳の有無は申請に関係ありません。障害年金と精神障害者保健福祉手帳は全く別の制度です。ただし、診断書を流用できる場合もあるので、同時に申請を進める方もいます。
Q. 働きながらでも受給できますか?
A. 就労していることだけで不支給になるわけではありません。しかし、仕事内容や勤務時間、職場で受けている配慮などが審査で考慮され、日常生活能力がどの程度あるかを判断する材料の一つになります。
Q. もし不支給(もらえない)と決定されたら、もう諦めるしかないですか?
A. いいえ、諦める必要はありません。決定に不服がある場合は「審査請求」という不服申し立ての手続きができます。また、その後症状が悪化した場合には、再度申請(再請求)することも可能です。まずは決定内容をよく確認し、年金事務所や専門家に相談してみましょう。
Q. 専門家(社会保険労務士)にお願いした方がいいですか?
A. ご自身で申請することも十分可能ですが、「体調が優れず、書類作成が難しい」「審査請求を考えたい」といった場合は、専門家に依頼するのも有効な選択肢です。ただし費用がかかるため、まずは年金事務所や病院の相談員に話を聞いてから判断するのが良いでしょう。

まとめ:未来の安心のために、まずは相談から始めよう

うつ病で働けない状況が続くと、経済的な不安がさらに心を追い詰めてしまいます。
障害年金は、そんなあなたの生活と治療を支えるための大切な権利です。

申請は決して簡単ではありませんが、Aさんのように一つひとつのステップを着実に進めていけば、道筋が見えてくる可能性があります。
もし一人で進めるのが不安なら、専門家の力を借りることも大切です。
制度や金額は毎年改定されるため、最新の情報は日本年金機構の公式サイトで確認することも心がけましょう。

まずは、病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)や年金事務所に「相談してみる」という小さな一歩から始めてみてください。

この記事が、あなたの不安を少しでも軽くする道しるべになりますように。

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