【復職面談 想定問答集】体験談で学ぶ、うつ病の不安が軽くなる準備マニュアル

復職面談に不安を感じる人に向け、サイトのキャラクターが笑顔で「Q&A形式の想定問答リスト」を指し示している、安心感のあるアイキャッチ画像。 役に立つ制度
本記事には広告を含む場合がありますが、信頼できる情報の提供に努めています。

この記事でわかること

  • 復職面談で「落ちるかも…」という不安が軽くなる具体的な準備
  • 面談で実際に聞かれる質問と、自信を持って答えられる「想定問答集」
  • 会社と“協力関係”を築き、スムーズな復帰を実現するための話し方
  • 私の体験談から学んだ「やってはいけないNG回答例」

「いよいよ復職面談の日が近づいてきた…」
「何を、どこまで話せばいいんだろう」
「もし、厳しいことを言われて復職できなかったらどうしよう…」

主治医から復職の許可が出て、少し安堵したのも束の間。
今度は「面談」という大きな壁を前に、あなたは再び強い不安とプレッシャーを感じているかもしれません。

大丈夫です。
その不安は、復職を経験した誰もが一度は通る道です。

そして、その不安の正体は、復職面談を「合否を決める試験」や「会社との戦いの場」だと誤解していることにあるのかもしれません。

この記事は、私自身の1度の復職と、退職に至った経験をもとに作りました。
最後まで読むことで、面談への誤解が解け、自信を持って当日を迎えられるようになります。

【結論】復職面談の成否は「アピール」ではなく「準備」で決まる

本題に入る前に、私が2度の休職を通じて痛感した、最も大切な結論からお伝えさせてください。

私の経験上、復職面談は「やる気」や「熱意」を主観的にアピールする場ではありませんでした。

むしろ、主治医の診断書やリワークの報告書といった「客観的な事実」をもとに、会社側が「この人は安全に働ける状態か?」を判断し、そのための「協力体制」を築くための対話の場だったのです。

つまり、大切なのは「うまく話すこと」よりも「きちんと準備すること」。
この記事では、その「準備」を誰にでもできるように、一つひとつ丁寧に解説していきます。

【大前提】もし面談がうまくいかなくても、あなたの価値は変わらない

具体的な準備を始める前に、どうかこれだけは心に留めておいてください。

もし、一度の面談で復職が認められなくても、それはあなたの「不合格」を意味するものでは決してありません。

それは、会社があなたのことを真剣に考え、より安全な復帰プランを模索している証拠です。

復職はゴールではありません。
あなたのキャリアも、人生も、面談一回で決まるほど単純なものではありません。

この大前提を心のセーフティネットとして、安心して準備に取り組みましょう。

Part 1:【面談前夜】不安を自信に変える「3つの準備」

面談の成功は、9割が準備で決まります。
ここからは、あなたの不安を具体的な自信に変えるための「3つの準備」をステップ・バイ-ステップで解説します。

準備1:客観的な「回復の証拠」を集める

あなたの「もう大丈夫です」という言葉を、何よりも力強く裏付けてくれるのが、専門家による「客観的な証拠」です。

これは、面談における最強の武器になります。

  • 主治医の診断書(意見書):「就労可能な状態まで回復している」という医学的なお墨付き。これは必須アイテムです。
  • 第三者の所見(リワーク報告書など):もしリワークなどに通っていた場合、そこでの出席状況やスタッフからの所見が書かれた報告書は絶大な効果を発揮します。
  • うつノート(自己分析の記録):休職中につけていた記録は、日々の体調や気分の波、そしてそれがどう改善していったかを具体的に説明する際の強力な根拠になります。
  • 睡眠リズム表:毎日の就寝・起床時間を記録した表です。生活リズムが安定していることを視覚的に示すことができ、回復度合いを伝える上で説得力が増します。

2度目の休職時、私はリワークに通えず、この「第三者の所見」を用意できませんでした。
結果、主治医も「客観的な判断材料がない」として診断書を書けず、最終的に退職に至りました。
この経験から、これらの書類がどれほど重要かを痛感しています。

準備2:「話すこと」を具体的に整理する

集めた証拠をもとに、面談で伝えるべきことを具体的に整理していきましょう。
ポイントは「抽象的」ではなく「具体的」に話すことです。

【現在の体調について】

悪い例 「体調はもう万全です。
元気になりました!」
良い例 「毎日7時間の睡眠がとれ、
朝は決まった時間に散歩ができています。
日中は図書館で2時間ほど
集中して読書もできるようになりました」

【再発防止策について】

悪い例 「これからはストレスを溜めないように
頑張ります」
良い例 「休職中に学んだのですが、
私の場合『寝つきが悪くなる』のが
不調のサインのようです。
そのサインを感じたら、
意識的に休息をとり、
早めに上司の〇〇さんに
相談させていただきたいと考えています」

【復帰後の働き方の希望について】

悪い例 「何でもやりますので、
よろしくお願いします!」
良い例 「就業規則で定められている
『慣らし勤務制度』を
活用させていただきたいです。
可能であれば、最初の1ヶ月は
時短勤務から始め、
徐々にペースを戻していく形で
ご相談できないでしょうか」

準備3:会社の「ルール」と「義務」を把握する

あなたの希望を伝えるだけでなく、会社のルールを知っておくことも重要です。
これは、あなたを守る知識でもあります。

  • 就業規則の確認:復職に関する規定や、慣らし勤務の期間・給与の扱いなどを事前に確認しておきましょう。知らないと、本来受けられる配慮を見逃す可能性があります。(参考:心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き|厚生労働省
  • 産業医の役割を理解する:産業医は、あなたと会社の間に立ち、専門的な視点から円滑な復職をサポートしてくれる味方です。決して敵ではありません。
  • 会社の「安全配慮義務」を知る:会社には、法律で「従業員が安全で健康に働けるように配慮する義務」が定められています。(参考:労働契約法 第五条|e-Gov法令検索)会社が面談で慎重になるのは、この義務を果たそうとしているからです。これは、あなたを無理な働き方から守ってくれる大切なルールでもあります。

【総仕上げ】復職面談・最終準備チェックリスト

Part 2:【面談当日】想定問答集と「協力」を引き出す話し方

準備が万全なら、当日は自信を持って臨めます。
ここでは、よくある質問への回答例と、心構えについて解説します。

基本の心構え

「審査される」という意識を手放し、「相談する」という姿勢で臨みましょう。
大切なのは、誠実に、正直に、そして前向きに対話することです。

【完全版】復職面談・想定問答集(回答のポイント解説)

Q. 現在の体調や生活リズムはどうですか?
A. 準備2で整理した「良い例」のように、睡眠時間、日中の活動内容、集中力の回復具合などを具体的な事実として伝えましょう。「睡眠リズム表」や「うつノート」を見せながら話すのも有効です。
Q. 休職に至った原因を、ご自身ではどう考えていますか?
A. ここでは、誰かを責めるのではなく、自分自身の課題として話すことが大切です。「長時間労働が続いた中で、一人で抱え込みすぎてしまった点が課題だったと考えています」のように、状況と自分の行動の両面に触れると良いでしょう。
Q. 再発防止のために、具体的にどうしますか?
A. これも準備2の通り、「頑張ります」ではなく具体的なアクションを伝えましょう。「不調のサインに気づくこと」「サインが出たらどう行動するか(相談する、休むなど)」の2点をセットで話せると、非常に説得力があります。
Q. 本当に、もう大丈夫なんですか? また休むことはないですか?
A. 少し厳しい質問ですが、これはあなたの覚悟を試しているのではなく、会社の不安の表れです。正直に、誠実に答えましょう。

(回答例)「ご心配をおかけして申し訳ありません。正直に申し上げて、再発リスクが100%ないとは言い切れません。ですが、そのリスクを最小限にするために、先ほどお伝えした再発防止策を徹底し、皆様と密に連携させていただきたいと考えております」

これは避けたい!NG回答例とその理由

  1. NG:「もう完璧に元気です!何でもできます!」
    理由:やる気を見せたい気持ちはわかりますが、これは会社の安全配慮義務を無視した発言です。必要な配慮を受ける機会を自ら失い、再発リスクを高めてしまいます。
  2. NG:「原因はすべて会社(上司)にあります」
    理由:たとえそれが事実だとしても、他責の姿勢は「協力して働いていく」という信頼関係の構築を困難にします。あくまで「自分自身の課題」として話す姿勢が求められます。
  3. NG:「体調は…まあ、大丈夫だと思います」と曖昧にごまかす
    理由:自信のなさが伝わり、会社に「まだ復職は早いのでは?」という不安を与えてしまいます。準備してきた事実をもとに、自信を持って具体的に話すことが信頼に繋がります。

「逆質問」のチャンスを活かす

面談の最後に「何か質問はありますか?」と聞かれたら、それは協力体制を築くチャンスです。
いくつか準備しておきましょう。

  • 「慣らし勤務中の業務内容について、現時点で想定されていることはありますでしょうか?」
  • 「業務量や体調について、主にどなたにご報告・ご相談すればよろしいでしょうか?」
  • 「復帰にあたり、チームの皆様にはどのようにお伝えいただけるご予定でしょうか?」

Part 3:面談を終えたあなたへ

面談を終えた後、結果がどうであれ、まずは自分をねぎらってあげてください。
その上で、次のステップに進みましょう。

  • 一度でOKが出た場合:おめでとうございます!ただし、ここがゴールではありません。慣らし勤務は「リハビリ期間」と心得て、決して無理をせず、「60点主義」で臨みましょう。
  • 追加の調整が必要になった場合:落ち込む必要は全くありません。「大前提」でお伝えした通り、これは不合格ではなく、より安全な復帰のための調整です。会社側が求める追加情報(例:主治医との面談など)に、誠実に対応していきましょう。

そして、常に忘れないでほしいのが「もう一つの道」です。
もし、どうしても復職が難しいと感じたり、会社との調整がうまくいかなかったりした場合は、あなたの心と体を守ることを最優先してください。

まとめ|復職面談は「対話」の場。準備すれば、もう怖くない

復職面談は、決してあなたを追い詰めるための「テスト」ではありません。
会社とあなたが、お互いに安心して「これから」を踏み出すための大切な「対話の場」です。

体調のこと、働き方のこと、そして、あなたが不安に思っていること。
正直に、でも前向きに伝えられるよう、この記事で紹介した準備を一つひとつ進めてみてください。

この記事で紹介した想定問答集は、いわば復職に向けた「あなただけのお守り」です。
面談当日、もし頭が真っ白になっても、これを見返せば大丈夫。
自信を持って、あなたの言葉で、未来への一歩を踏み出してください。

Next Step

無事に復職が決まったら、次はいよいよ「慣らし運転」のフェーズです。
本格復帰へのソフトランディングを成功させるための具体的な過ごし方については、後日公開予定の記事で詳しく解説します。
まずは、復職までの全体像をもう一度確認し、次のステップに備えましょう。

お気軽に感想をどうぞ