うつ病の治療中は、本当に苦しいですよね。
先の見えない不安な気持ち。
思うように動かない心と身体。
まるで、霧の中を一人で歩いているような、心細さ。
そんな中で、ふと頭をよぎる、お金のこと。
「治療費は、これからどうなっていくんだろう…」
「働けない間の生活は、大丈夫かな…」
その心配が、あなたの心をさらに重くしているかもしれませんね。
でも、どうか安心してください。
あなたが今、真っ暗闇だと感じているその場所にも、ちゃんと道は続いています。
今のあなたを支えるための制度は、あなたが思うよりもずっと多く、きちんと用意されているのです。
この記事は、そんなあなたのための、温かい「道しるべ」です。
19年以上にわたり、うつ病と共に生き、様々な制度に助けられてきた私が、この先の道を照らす「お金の羅針盤」として、あなたの状況に合わせて「どの制度が使えるのか」「次に何をすべきか」を、一つひとつ丁寧に、やさしく解説します。
もう、一人で頑張りすぎなくていいんです。
私と一緒に、あなたを守るための大切な知識を、一つずつ確認していきましょうね。
【最初に確認】あなたの状況で使える「お金の支援」がわかるマップ
今のあなたの状況に合わせて、必要な情報がどこにあるかを示した、やさしい地図です。
状況に応じた
支援の選択肢
【まず知っておきたい】生活の土台を支える基本的な制度
ここでは、多くの方が最初に検討する、基本的な制度を紹介します。
自立支援医療制度
うつ病などの精神疾患にかかる医療費の自己負担額を、3割から1割に軽減してくれる制度です。
毎月の通院費やお薬代の負担が、目に見えて軽くなります。
安心して治療を続けるための、心強い制度ですので、多くの方が利用されています。
傷病手当金
うつ病が原因で仕事を休み、会社からお給料が支払われないときに、あなたが加入している健康保険から支給される手当です。
給与のおよそ3分の2が、原則として、最長で1年6ヶ月にわたって支給されることになっています。
(※加入状況によっては例外もあります)
まず、あなたの療養生活をしっかりと支えてくれる、大切な制度です。

【必要に応じて検討したい】あなたの状況に合わせた支援制度
精神障害者保健福祉手帳
税金の負担が軽くなったり(減免)、公共料金や交通機関の割引が受けられたり、様々な経済的メリットを受けられる手帳です。
いわゆる「障害者」と認定されることに、抵抗を感じる方もいるかもしれません。
ですが、これはあなたにレッテルを貼るものではなく、あなたが社会的な支援を受けやすくするための、いわば「パスポート」のようなものだと、私は考えています。
失業給付(雇用保険の基本手当)
会社を退職した後に、次の仕事を見つけるまでの生活を支えるための手当です。
うつ病であっても、主治医から「仕事を探せる状態です」という許可が出れば、受給できる場合があります。
治療に専念すべきか、再就職を目指すのか、焦らず主治医とよく相談することが大切ですよ。

障害年金
うつ病の治療を始めてから一定期間が経過しても症状が改善せず、生活や仕事に大きな支障がある場合に、国から支給される年金です。
傷病手当金の支給が終わった後の生活を支える、とても重要な選択肢の一つとなります。
高額療養費制度
万が一の入院などで、同じ月に支払った医療費の自己負担額が上限を超えた場合に、その超えた分が後から払い戻される制度です。
自立支援医療が「外来」の費用を対象とするのに対し、こちらは「入院」も含む高額な医療費に備えるための大切な知識になります。
このような制度があると知っておくだけで、いざという時の心の負担が少し軽くなりますよね。
(こちらも、今後詳細な記事を作成予定です)
生活保護
病気やその他の事情で収入や貯金がほとんどなく、どうしても生活ができない場合に、国が最低限の生活を保障してくれる制度です。
これは、あなたの命と暮らしを守るための、最後の、そして最も大切なセーフティネットです。
もしあなたが本当に追い詰められているなら、ためらわずに、お住まいの地域を管轄する「福祉事務所」の相談窓口を訪ねてみてください。
【社会復帰とその先の未来へ】暮らしと仕事のサポート制度
住宅確保給付金
離職などにより家賃の支払いが困難になり、住む場所を失うおそれのある場合に、自治体から家賃相当額の給付を受けられる、国の制度です。
生活の基盤である「住まい」を守ることは、安心して療養するための第一歩になります。
生活福祉資金貸付制度
低所得世帯や障害者世帯などが、生活を立て直すために一時的にお金を借りることができる、全国共通の公的な貸付制度です。
これは「給付」ではなく「貸付」ですが、金融機関からの借入が難しい場合の、大切な選択肢の一つになります。
障害福祉サービス(就労支援など)
障害者総合支援法に基づき、社会生活を送る上での様々な困難をサポートしてくれる公的なサービスです。
あなたの希望や状態に合わせて、以下のような多様な支援が用意されています。
- 就労移行支援:一般企業への就職を目指すための訓練や準備をサポート
- 就労継続支援(A型・B型):すぐに一般企業で働くのが難しい場合に、働きながら訓練できる場を提供
- 自立訓練:自立した日常生活や社会生活を送るための訓練をサポート
- 就労定着支援:就職後に、長く働き続けられるように職場との間に入ってサポート
(今後、これらのサービスについて、私の体験談も交えて詳細な記事を作成予定です)
自治体独自の割引・減免制度
これまで紹介した全国共通の制度のほかに、お住まいの自治体が独自に行っている支援もあります。
例えば、精神障害者保健福祉手帳を持っていると、以下のような料金の負担が軽くなる場合があります。
- 住民税、軽自動車税
- 水道料金、下水道料金
- その他、公共施設の利用料など
内容は自治体によって大きく異なるため、一度、お住まいの市区町村の役所の窓口で「どんな支援が受けられますか?」と尋ねてみることをお勧めします。
ヘルプマーク
外見からは分かりにくい困難を抱えていることを、周囲にさりげなく伝えるためのマークです。
これを持つことで、例えば満員電車で席を譲ってもらえるきっかけになったり、困っているときに声をかけてもらいやすくなるなど、必要な配慮を得るための一助となることがあります。
日々の生活の安心に繋がる、大切なお守りのような存在です。
【重要】制度を組み合わせる際の注意点(併給調整について)
それは「併給調整」といって、受け取れる金額が調整されたり、そもそも同時に受け取れなかったりするルールがあることです。
知らずに計画を立ててしまうと、後から「思ったように受給できなかった」という事態になりかねません。
ここでは、特に重要な組み合わせについて解説します。
制度A | 制度B | 併給可否・調整 | 解説 |
---|---|---|---|
傷病手当金 | 失業給付 | 不可 | 「働けない人」と「働ける人」が対象のため、目的が相反します。原則として同時受給はできません。 |
傷病手当金 | 障害年金 | 調整あり | 両方受給できる場合、傷病手当金の額が調整(減額または支給停止)されます。 |
失業給付 | 障害年金 | OK | 目的が異なるため、原則として両方を満額受給できます。 |
障害年金 | 老齢年金 | 選択制 | 両方の受給権がある場合、どちらか有利な方を一つ選択して受給します。(一人一年金の原則) |
各種制度 | 労災保険 | 労災優先 | うつ病の原因が「業務上」と認定された場合、労災保険が最優先で適用されます。 |
各種制度 | 生活保護 | 他制度優先 | 生活保護は最後の手段です。他に利用できる制度をすべて利用した上で、不足する分が支給されます。 |

一人で抱え込まないで:あなたの伴走者となる相談窓口
あなたの病状を一番理解している主治医の先生に「こういう制度を使いたいのですが」と相談することから、全てが始まります。
他にも、お住まいの市区町村の担当窓口(障害福祉課など)や、病院にいる医療ソーシャルワーカさんは、制度利用のプロです。
あなたの話に丁寧に耳を傾け、一緒に考えてくれる、心強い伴走者になってくれますよ。
おわりに:あなたに伝えたい、たった一つのこと
ここまで、たくさんの制度を紹介してきました。
もしかしたら、情報量の多さに少し疲れてしまったかもしれませんね。
でも、どうか忘れないでください。
これらの知識は、あなたを縛るものではなく、あなた自身を守るための「武器」であり、そして「お守り」です。
これまで、あなたは十分に頑張ってきました。
だから、今は社会の仕組みに少しだけ頼って、心と身体を休めることを、自分に許してあげてください。
支援を受けることは、あなたの正当な権利なのですから。
明けない夜はありません。
この記事が、あなたの心の重荷を少しでも軽くし、明日へ一歩踏み出すための、小さな温かい光になることを、心から願っています。
お気軽に感想をどうぞ
精神的に病んでいる時に、お金のことまで考えると余計に病んでしまいそうですね。
でも、こういういろいろな制度を知っておくと心強いし安心できそう(*^^*)
ららぽさん、コメントありがとうございます。
精神的な病気はもちろん、身体的なものも、いつ誰がなるかわかりませんからね。
事前に知っておくだけでも役立つかなって思って調べてみました。
また遊びにきてくださいね&遊びにいきますね♪