この記事でわかること
- うつ病が回復していく3つの段階の全体像
- 「急性期」「回復期」「再発予防期」各段階の症状と過ごし方のポイント
- 私のリアルな失敗談から学べる教訓
- 焦らず、自分を責めずに治療と向き合うためのヒント
うつ病の治療は、本当に暗くて長いトンネルのように感じられますよね。
「今のつらさは、いつまで続くんだろう…」
「少し良くなったと思ったら、また真っ暗闇に突き落とされた…」
そんな出口の見えない不安を抱えるあなたへ。
この記事では、うつ病が回復していく一般的な「3つの段階」について、私自身の七転八倒した体験談も交えながら、できるだけやさしく、正直にお話しします。
今のあなたがどの段階にいて、次がどんな道のりなのかを知ることは、きっと先の見えない不安を和らげる「心のお守り」になるはずです。
うつ病の回復過程とは?3つの段階の全体像
うつ病の回復は一直線に進むわけではありません。
多くの場合、波のように良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、ゆっくりと快方へ向かっていきます。
この回復曲線は、多くの医師や専門家が説明に用いる一般的なモデルです。
まずは、その全体像をイメージで掴んでみましょう。
※これは回復過程の一般的なモデルであり、期間や症状の波には個人差があります。
このように、回復の道のりは大きく3つの段階に分けて考えられることが多いです。
それぞれの段階で、こころと体の状態や、過ごし方で大切にしたいポイントが少しずつ変わってきます。
第1段階:急性期|まずは「休む」に専念する時期
うつ病の症状が最も強く現れる、一番つらい時期です。
脳のエネルギーが完全に尽きてしまった「バッテリー切れ」のような状態をイメージすると分かりやすいかもしれません。
- 何をしても楽しめず、興味が湧かない
- ひどく落ち込み、涙もろくなる
- 頭が働かず、集中できない
- 食欲がない、または食べ過ぎてしまう
- 眠れない、または寝すぎてしまう
- 「消えてしまいたい」と考えてしまう(希死念慮)
私の場合、最初にうつ病と診断されたときは新婚でした。
「妻に迷惑をかけられない」という焦りから、身体が鉛のように重いのに無理に家事をしたり、心配をかけたくなくて両親に病気のことを隠したり…。
結果的に、無理がたたって回復が遅れ、夫婦関係もこじれてしまいました。
そして最終的に、離婚という大きな決断をこの時期にしてしまったのです。
今振り返ると、あの時の自分は正常な判断ができていませんでした。
→ この時期に何より大切なのは「休むことへの罪悪感を手放し、周りを頼る勇気」です。
第2段階:回復期|焦らず「一進一退」と付き合う時期
急性期を過ぎ、少しずつ心と体のエネルギーが戻ってくる時期です。
冒頭のグラフで見たように、回復は一直線に進むわけではなく、「少し調子が良い日」と「また落ち込む日」を波のように繰り返しながら、ゆっくりと回復していくのが特徴です。
- 少しずつ外出や趣味などを楽しめるようになる
- 日や時間帯によって、気分の浮き沈みが激しい
- 調子が良い日に動きすぎて、翌日に疲れ果ててしまうことがある
- 「早く元に戻らないと」という焦りが生まれやすい
- 焦らない:「一進一退」は回復の証です。調子が悪くなっても「後退した」と自分を責めず、「これも回復の一部なんだ」と捉えることが大切です。
- 自己判断で薬をやめない:症状が軽くなったと感じても、医師の指示なく服薬を中断すると、症状が悪化する危険性があります。
- 生活リズムを整える:少しずつで良いので、朝日を浴びる、決まった時間に起きるなど、生活リズムを整える意識を持つと、気分の安定に繋がりやすくなります。
- リハビリを始める:調子が安定してきたら、認知行動療法を学んだり、リワークプログラム(職場復帰に向けたリハビリテーションのこと)を検討したりするのも良いでしょう。(必ず主治医に相談の上で進めましょう)
離婚後、少し動けるようになった私は「早く元気にならなきゃ」と必死でした。
友人と夜遅くまで出かけたり、暴飲暴食をしたり。でも、楽しんだ次の日は決まってベッドから起き上がれませんでした。
リワークに通い始めたものの、昼夜逆転が治らず休みがちで、「なぜ自分はちゃんとできないんだ」と自己嫌悪に陥る悪循環に陥っていたのです。
→ この時期の回復の鍵は「焦らず、調子が良い日こそ無理をしない」という自己管理です。
第3段階:再発予防期|自分らしいペースで社会と繋がる時期
症状がかなり安定し、日常生活や社会生活に復帰していく時期です。
ここで大切なのは、うつ病が「治った(完治した)」と考えるのではなく、「症状が落ち着いている(寛解した)」と捉え、再発させないための工夫を続けていくことです。
- 気分は安定しているが、以前と同じように頭や体が動かないと感じることがある
- 環境の変化やストレスによって、調子を崩しやすい
- うつ病になった原因と向き合い、今後の対策を考える段階
- 治療を継続する:医師が必要と判断する限り、薬物療法やカウンセリングは続けます。
- ストレス対処法を身につける:自分が何にストレスを感じやすいのかを理解し、その原因から物理的・心理的に距離を置くなど、対処法を身につけておくことが再発予防の鍵となります。
- 無理のないペースを保つ:復職や復学をしても、いきなり100%を目指す必要はありません。自分なりのペースを大切にしましょう。
- 自分の「不調のサイン」を知る:「眠れなくなる」「食欲がなくなる」など、自分なりの不調のサインに早めに気づき、対処(休む、相談するなど)できるようになることが重要です。
職場復帰後、私は「もう大丈夫」と思い込もうとしていました。
しかし、簡単な事務作業ですら頭が回らず、常に焦りと不安を抱えていました。
その辛い経験から、本当の意味での再発予防は「自分を深く知ること」だと学びました。
以前カウンセリングを通して自分の考え方のクセ(認知の歪み)を理解した経験を活かし、今はストレスを感じたら無理せず休息を取るなど、自分を労わることを最優先にしています。
→ 寛解はゴールではなく、「自分を深く知り、うつと上手に付き合っていく」という新たなスタートです。
まとめ:回復の道のりは人それぞれ。自分のペースを大切に
うつ病の回復には「急性期」「回復期」「再発予防期」という3つの段階があることをご紹介しました。
忘れないでほしいのは、この道のりは誰一人として同じではないということです。
期間も、症状の波も、人それぞれ。
周りと比べたり、「早く治さなきゃ」と焦ったりする必要はまったくありません。
この記事が、あなたの現在地を知り、少し先の見通しを立てるための、心強い地図のような存在になれたら嬉しいです。
どうか、「焦らない、比べない、自分を責めない」を心のお守りにして、ご自身のペースを何よりも大切にしながら、一歩ずつ進んでいってください。
お気軽に感想をどうぞ
うつ病を治そうとしてくても治すのが怖いって思うのはおかしいことなのかな?、、、
学校でカウンセリングしてて、そのときは楽しかったけどすぐに落ち込むんですよ
治したいけど治したくない、怖い、っていうのが半年以上続いてる、、、
みゆうさん、コメントありがとうございます。
カウンセリング自体が負担になる人は珍しくないと思います。
その場合は、正直に伝えてカウンセリングを一旦中止した方がいいのか、相談するのも手ですね。
うつ病を治すということは、今の状態から変わろうとしてるので、怖いと思うのは自然なことだと思いますよ。
ありがとうございます!
元気が出ました
みゆうさん、元気が出たなら嬉しいです。
また、いつでも遊びに来てくださいね。
勇気を持って書いてくださり有難う御座います。参考になります。
コメントありがとうございます。
私自身の失敗談が少しでも参考になれば嬉しいです。
よろしければ、また遊びにきて下さいね。